舞台はナチス大本営のキッチン裏。総統の食事の毒見役に若いドイツ人女性が集められた。
愛する人を戦争で亡くした者、若い男性不在の村で恋愛に思いをはせる者、夫の帰りを待ち続ける者、皆、戦争に人生を狂わされ、その上さらにヒトラーに命をささげろなんて、納得できるわけない。
 大きな音をたて、銃を突きつけ、恐怖で手っ取り早く女性たちを言いなりにする軍人たち。一方、女性たちは次第に毒見に慣れ、少しずつ連帯しはじめる。協力して逃げ出すとかそういうことじゃなく、休憩中に他愛もないことを話し、互いを知り、困っていたら助けながら、恐怖を和らげていく。
 女性が集まると自然現象のように穏やかで平和な時間が生まれ、軍人たちさえもその空気に取り込まれる。まるで戦争も毒見役もないことのように。でもドイツの敗戦は着実に近づいていた。
(桜坂劇場・下地久美子)
◇22日から桜坂劇場で上映
【桜坂劇場・下地久美子の映画コレ見た?】『ヒトラーの毒見役』...の画像はこちら >>
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