「戦争は始めるよりも、止めるのが難しい」
 古くから言い伝えられてきた格言を現実が再現しているかのようだ。今、複数の戦争が世界で同時進行し、出口が見いだせないまま泥沼化している。

 2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、24日で4年半になるが、依然として終結が見通せない。
 ロシアの軍事侵攻は、武力による紛争解決を禁じる国連憲章に違反する。
 日本や欧米各国がいち早くウクライナ支援を表明したのは、「法の支配」が脅かされ「力による現状変更」がまかり通ってしまう危機感からだ。
 ロシアは、戦争がこれほど長期化するとは思っていなかったに違いない。
 ウクライナの反撃は、ある段階から一線を越え、無人機を使ってロシア内陸部の製油所や物流拠点を攻撃するまでになった。
 ロシア軍による民間施設への攻撃で住民の犠牲も相次いでいる。
 米国がイスラエルと共にイランを空爆し、最高指導者のハメネイ師を殺害したのは今年2月末のことである。トランプ政権は国際法を無視し議会の承認も得ずに、軍事力を行使した。
 イランの頑強な抵抗にあって原油価格が高騰し、戦争そのものが長引いたことは、トランプ大統領にとって大きな誤算だった。
 ここへ来てトランプ政権は交渉の行き詰まりを打開するため「史上最大」と自称する経済制裁の発動を表明した。
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 制裁拡大によってイランを経済的に孤立させたい考えだ。ベセント財務長官は「世界中に広がるイランの金融網に猛攻を仕掛ける」とし、今回の措置を「経済的追放作戦」と名付けた。

 米国のあまりにも一方的な「大国の論理」を認めてしまえば、「力による支配」を是認することになる。
 イランとの間で航空や海運、デジタル資産などの取引を続ける国に対して制裁を科すと言うが、これこそ大国の横暴ではないのか。
 「終わりなき戦争」という言葉は、2001年の9・11テロ後に米国が始めたアフガニスタン戦争やイラク戦争を指すものとして使われてきた。
 就任前、「新たな戦争は起こさない」と繰り返してきたトランプ大統領は、自らの判断で着手したイランとの戦争をどのように終わらせるつもりなのか。
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 戦争の犠牲になるのはたいてい住民である。ウクライナがそうだ。
 イランでも空爆によって学校が攻撃され、多くの児童が犠牲になった。
 戦争で親を失った子どもたちは、心に深い傷を負う。そうでなくても、長引く戦争が子どもたちの心理面に与える影響は大きい。
 パレスチナ自治区ガザでは、停戦発効後も住民犠牲が絶えない。
 優先すべき課題は、戦争から住民や子どもたちを守り、生活の再建を保障することだ。そのためには、国際規範に基づく交渉による解決を図る必要がある。
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