平岩アナは、朝日放送で高校野球やサッカーなどの実況を担当していたが、韓国でeスポーツ大会を観戦したことが人生の転機になったと振り返った。ゲームを愛する選手や観客、スタッフが一体となって大会をつくり上げる熱気に圧倒され、「この世界で仕事がしたいと思った」と決意。帰国翌日に辞表を提出し、新たな道へ踏み出したという。
独立当初は先行きへの不安も抱えていたが、退社のニュースが大きく取り上げられたことで状況は一変。「翌日には約70件の問い合わせが寄せられた」と振り返り、「思い切って挑戦したからこそ、今がある」と当時を回顧した。
現在はeスポーツキャスターとして実況を務めるほか、キャスターのマネジメントやイベント制作、スポンサー事業などを展開。約25人のキャスターが所属し、年間600件以上の出演案件を手がけている。
一方で、「実況は本番より準備が仕事」と語る場面もあった。大会前には選手やチームの情報を徹底的に調べ、資料を作り込むものの、「準備した内容の7割は本番で使わない」という。それでも、「使わない努力が、本番の安心感や言葉の厚みにつながる」と、積み重ねの重要性を強調した。
講演では、eスポーツの魅力についても言及。高校生大会で敗れた選手が勝者へ歩み寄り、握手を交わした場面を紹介し、「ゲームでも、こんなにも相手をたたえ合う姿がある。その瞬間、この仕事を選んで良かったと心から思った」と振り返った。
また、新型コロナウイルス禍では大会中止が相次ぐ中、YouTube配信へ本格参入。約6ヶ月でチャンネル登録者が約9万8000人増加し、オンライン大会の普及も後押しとなった。「環境が変わっても挑戦を続けることが大切だ」と語った。
会社経営については、19歳だったキャスターにSNS運用の発言権を与えたエピソードも紹介。「若い世代に向けた発信は、若い世代が一番分かっている」と話し、年齢や経験だけにとらわれず、現場の声を取り入れる組織づくりが成果につながったと説明した。
生成AIについては、「資料や情報整理はAIが得意な時代になった」としながらも、「人と人との間に入り、信頼関係を築いたり、現場をまとめたりする力は、人間だからこそ発揮できる価値だ」と指摘。学生には「AIを使いこなしながら、自分にしかできない強みを磨いてほしい」と呼びかけた。
さらに、「本ほどコストパフォーマンスの高い学びはない」と読書を勧め、「本は長年積み重ねられた知識や経験が凝縮されている。読んだ内容を人に話すことで、自分の知識として定着していく」と説明。就職活動についても、企業だけでなく業界全体を知ることが重要だとアドバイスを送った。
講演の最後には、「好きなことを仕事にすることは決して楽ではない。好きだからこそ、人より努力し、人より責任を負わなければならない」と学生へエールを送った。11月にサウジアラビアで開催予定の「Esports Nations Cup 2026」では日本代表ナショナルチームマネージャーを務める予定で、「世界へ挑戦する選手たちを応援してほしい」と呼びかけ、講義を締めくくった。

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