■オフィシャルライブレポート
1982年に歌手デビューして以来、幾多の名曲・ヒット曲を発表してきた小泉今日子。俳優として映画や演劇などに多数出演し執筆家としても活躍してきたが、2015年に株式会社明後日を立ち上げて以降は、舞台・映像・音楽・出版などジャンルを問わずさまざまな作品を精力的にプロデュース。長いキャリアを通じて、常に日本のエンターテインメントシーンの最前線に立ち続けている。今年1月からは還暦を記念した25会場31公演におよぶ全国ツアーを敢行、訪れた各地で熱狂の渦が巻き起こった。
40周年を迎えた2022年以来継続的に行なってきた音楽活動の集大成となる今回のツアー。そのハイライトとなったのは、自身初となる単独での日本武道館公演だ。チケットは即ソールドアウトとなり、急きょサイドビュー&バックビューシートも解放。2日間で約2万4000人の大観衆が集った。開演前には高木完によるDJパフォーマンスが繰り広げられ祝祭感が高まっていく。そして、場内が暗転する中、亡き忌野清志郎が訳詞を手掛けた「イマジン」(RCサクセション)が鳴り響く。荘厳なオープニングでコンサートが始まった。
“KK60”と描かれた巨大なネオンサインが上がっていくと、煌びやかなゴールドのドレスを身にまとった小泉今日子が登場する。
「Celebration」でミュージシャンたちを紹介したあと、バンドの爆音がパーティーの始まりを告げる。高らかな宣言曲「なんてったってアイドル」でステージと客席がひとつになるコール&レスポンスを繰り広げると、ミディアムポップな「キスを止めないで」では、ホーンセクションをフィーチャーしたサウンドで広がりのある音楽空間を創出していく。
圧巻だったのはファンコールメドレーと題されたコーナーだ。ステージ真後ろにスポットが当たり、法被姿の親衛隊「サリー・バディーズ」(当時のメンバーと、新しい世代の女性たちで構成)による、かつて名物だった掛け声が再現される。「私の16才」「素敵なラブリーボーイ」「春風の誘惑」「半分少女」「渚のはいから人魚」「ヤマトナデシコ七変化」。単なるヒット曲パレードではなく、デビューしたあの頃へのオマージュに長年の感謝も込めた演出が見事だった。
このブロックをスタンダードナンバー「The Stardust Memory」で締めくくると、マイナーなメロディーが胸に沁みる「夜明けのMEW」を熱唱し、艶やかなボーカルに哀しみや切なさを織り交ぜる。シンガーとしての絶妙なニュアンスに誰もが酔いしれていく。
フィンガー5の原曲をロックアレンジした「学園天国」で突っ走ったところで前半が終了し、ブレイクタイムへ。「夏のタイムマシーン1966-2026」では、幼い頃からの写真をスクリーンに映し出していく。フロアから驚きの声が上がったのは、懐かしい写真たちがAIを駆使して動き出したこと。過去があるから現在があり、そして未来へとつながっていく。大切な何かを伝えてくれるような映像が素晴らしかった。
衣装替えをして再び登場した小泉は、バンマスの上田ケンジが爪弾くギターを伴奏にアコースティックアレンジされたデビュー曲「私の16才」を歌い上げる。ダンスミュージックのマナーでリズムを刻んだ「艶姿ナミダ娘」を経て、筒美京平作曲・松本隆作詞の「水のルージュ」、近田春夫が手掛けた求心力の強い「Fade Out」では、ハウス+歌謡の神髄を見せつける。骨太なクリエイターたちとコラボレーションを重ねてきたアーティストとしての磁力に改めて感じ入った。渡辺シュンスケが奏でるピアノをバックにしっとりと歌った「優しい雨」では、武道館が慈しむようなぬくもりに包まれていった。
特筆すべきは14年ぶりの新曲「バディ」だ。
本編最後は爆風スランプとのコラボレーションによる風刺曲「東の島にブタがいたVol.3」。世界各地で紛争が絶えない混迷の現代だからこそ、自らの願いを歌に託す。その揺るぎない姿勢は一長一短で出来上がったものではない。デビューから44年、いや、もっと言えば60年間の人生を通じて培ってきたものなのだろう。そして、小泉の軸が一度たりともブレたことが無いことは、関わってきた多くの人たちが証言する通りだ。圧倒的な感慨を覚えて迎えたアンコール。恋愛だけにとどまらない大きな“愛”を綴った「あなたに会えてよかった」を歌うと、最後の曲はソウルフルな「100%」でエヴァーグリーンな魅力を振りまいて、特別な夜を締めくくった。
最強のアイドル、キョンキョンとして君臨した1980年代。
M00. Opening(イマジン)
M01. ビューティフル・ネーム
M02. 恋のブギ・ウギ・トレイン
M03. Celebration
M04. なんてったってアイドル
M05. キスを止めないで
M06. ファンコールメドレー
・私の16才
・素敵なラブリーボーイ
・春風の誘惑
・半分少女
・渚のはいから人魚
・ヤマトナデシコ七変化
M07. The Stardust Memory
M08. 夜明けのMEW
M09. 木枯しに抱かれて
M10. 学園天国
(映像「夏のタイムマシーン1966-2026」)
M11. 私の16才(Acoustic Ver.)
M12. 艶姿ナミダ娘
M13. 水のルージュ
M14. Fade Out
M15. 優しい雨(Piano Ver.)
M16. バディ
M17. Sweet & Spicy
M18. T字路
M19. ダンスに間に合う
M20. 東の島にブタがいた Vol.3
<アンコール>
EN1. あなたに会えてよかった
EN2. 100%
■ミュージシャン
Bass & Band Master:上田ケンジ
Percussion:中北裕子
Guitar:akkin
Keyboard:渡辺シュンスケ
Chorus:TIGER
Chorus:加藤いづみ
Trombone:宮内岳太郎
Saxophone:佐藤公彦
Trumpet:YOKAN
Drums:小関純匡
『小泉今日子「KK60 ~コイズミ記念館~ KYOKO KOIZUMI TOUR 2026」』
7月19日(日)午後8:00
WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信
※放送・配信終了後~WOWOWオンデマンドで1ヶ月間アーカイブ配信


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