橋口亮輔監督作品の2001年公開の『ハッシュ!』、08年公開の『ぐるりのこと。』の4Kリマスター版となる。過酷な撮影だった『ぐるりのこと。』。主役で追い詰められる役だった木村について、橋口監督は「僕も一緒になって追い詰められて、2人でげっそり痩せた」と振り返り、木村も「本当に…」と同調した。リリーは「(橋口監督は)撮影前、マッチョになってモテようと思って太っていたんです。撮影が始まったら急に痩せた」と懐かしんだ。
そしてリリーは「監督が言っていて覚えているのは、ある程度、順撮りで撮っているから多江ちゃんがやつれていく自分を演じようとしてご飯を食べなくなっていったけど、見逃さないから『ご飯をちゃんと食べて。女優はキレイに撮られなさい』と…」と現場でのエピソードを披露した。橋口監督は「僕も気づいてなかったけど、衣装さん、メイクさんに『監督、木村さんがどんどん痩せていっている。監督、何とかして』と怒られた。多江ちゃんを見たら本当に痩せていた」とチーム一丸で木村を救ったことを振り返っていた。
イベントには、田辺誠一、片岡礼子も参加した。
『ハッシュ!』は、土木研究所で働く勝裕(田辺誠一)はゲイであることを他人に気づかれないよう注意しながら生きている。ペットショップで働く直也(高橋和也)は明るくゲイライフを満喫しているが、どこか虚しさを抱えている。歯科技工士の朝子(片岡礼子)は自己肯定感の低さから愛のないセックスを繰り返し、孤独感を募らせている。カップルとなった勝裕と直也のもとに、朝子が現れ、「付き合ってくれとか、結婚とかじゃなく、あなたの子どもがほしい」と勝裕に持ちかける。ゲイカップルと、独りの女性。他者と深く関わっていくことを半ばあきらめかけていた三人がつくる「新しい家族のかたち」をユーモラスに描き、2001年カンヌ国際映画祭監督週間に出品されたのをはじめ国内外で絶賛された。
『ぐるりのこと。』は、生まれたばかりの子の死をきっかけにうつになる妻・翔子と、ただ寄り添いつづける法廷画家の夫・カナオ。何があっても決して離れない一組の夫婦の、バブル崩壊後の90年代初頭から9.11テロに至るまでの10年を、90年代に世間を震撼させたさまざまな社会的事件を背景に描く物語。『ハッシュ!』後、自らうつになった経験を振り返り、「人はどうしたら希望を持てるのだろう?」と自問した橋口監督がたどりついた「人と人とのつながりのなかにしか希望は生まれない」という答え。日本アカデミー賞最優秀主演女優賞をはじめ数多くの映画賞を受賞したほか、光石研、加瀬亮、江口のりこ、佐藤二朗ら豪華なカメオキャストにも注目の作品となる。
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