キャンディーズの解散記念日である4月4日にスタートした伊藤蘭の全国ツアーから、スペシャルゲストに趣里を迎えた東京公演(5月31日)をWOWOWで8月30日に独占放送・配信する。放送・配信に向けて、同公演のオフィシャルライブレポートが届いた。


■オフィシャルライブレポート

 2019年にソロ歌手としてデビュー以来積極的な音楽活動を重ね、今年で7周年を迎えた伊藤蘭。1月26日に先行配信シングル「Dance on!Love on!」、4月1日に4枚目のオリジナルアルバム『Bright on』を発表した彼女は、最新作を携えて全国ツアーに出た。初日となる4月4日はキャンディーズ解散記念日に当たり、48年の歳月を経た今なお新たなステージに臨むその姿勢に大きな賞賛の声が上がった。

 ツアーのハイライトとなったのが、東京・SGC HALL ARIAKE 2DAYSだ。全公演の中で唯一紙テープ応援OK、スペシャルゲストとして趣里が登場することもアナウンスされた。週末の開催ということもあり多くのファンが早い時間から詰め掛けた2日目、期待の熱気が昨年開業したばかりの真新しいホールを包んでいた。

 定刻を過ぎると場内が暗転し、バンドによるオーバーチュアが奏でられる。そして、舞台中央奥からゆっくりと伊藤が登場する。スパンコールを散りばめた黒のドレッシーなパンツ姿が凛々しくも美しい。ふたりの女性コーラスと共に歌い出したのは「グッド・バイ・タイムス」。キャンディーズのラスト・シングルにカップリングされたメロディックな曲を、艶やかに歌い上げる。

 サキソフォーンをフィーチャーした「インスピレーション・ゲーム」もキャンディーズ解散後の発表曲。
これまで披露されることのなかったレア曲を冒頭から紡いでいく。今回新たに施されたアレンジとコレオグラファー広崎うらんによる振付けが、楽曲に新たな息吹を吹き込んでいくかのようだ。

 「Dance on!Love on!Switch on!心の準備はよろしいでしょうか?」と叫ぶと、サードアルバム『LEVEL 9.9』に収録されたお馴染みの曲目へ。「FUNK不肖の息子」は、かつてカバーしていた「PLAY THAT FUNKY MUSIC」(Wild Cherry)を彷彿(ほうふつ)とさせるファンクチューン。間髪入れずに、刺激的なクラブサウンドの「Shibuya Sta. Drivin’ Night」を連ねる。さまざまな音楽ジャンルを歌い切るボーカリストとしての多面性を感じた。

 人生を力強く肯定するアンセム「大人は泣かない」で全員と思いを共有すると、最新アルバムから「ファンタスティック・ラヴ」「好きでもなんでもない」を続ける。大人の女性の心の機微を繊細に描いたこの2曲はサウンドプロデューサーの本間昭光が作曲・編曲を手掛けた佳曲。シンガーとしての新たな扉が開いた珠玉のポップソングに心から痺れた。

 茶目っ気たっぷりのMCを経て、おまちかねのヒット曲オンパレードへ。メンバーの演奏による応援歌「SUPER CANDIES」が始まると、舞台も照明も客席のペンライトも色とりどりに光り輝き、音楽の饗宴が繰り広げられる。まるで伝説の女神を迎える儀式のようだ。
ピンクのラインストーンを散りばめた衣装に着替えたランちゃんが登場すると、大歓声が沸き上がる。「危い土曜日」「その気にさせないで」「やさしい悪魔」とたたみ掛けて、圧倒的なオーラを放つ。

 心の奥底に在る大切な記憶と目の前の彼女の姿が重なり合い、興奮と熱狂が時代を超えていくような圧巻の時間が過ぎる。クライマックスは「哀愁のシンフォニー」だった。メンバーカラーの赤、青、黄色の紙テープが次々と投げ込まれていく。昭和から平成を経た令和8年に見届けた奇跡の風景。紙テープに込められたすべての想いを受けとめんとばかりに、オーディエンスに真っ直ぐ向き合う姿には神々しさすら感じられた。

 休憩時間を経て、祝祭は再び続いていく。昨年アニメ『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』の主題歌に起用されて話題になった「銀河系まで飛んで行け!」に続いて、「内気なあいつ」「ハートのエースが出てこない」「年下の男の子」「春一番」と往年のシングル4連発だ。至福の音楽空間を分かち合う多幸感に満ちたひとときだった。

 本編最後は、最新アルバム『Bright on』から表現者としての真骨頂とも呼ぶべき2曲が披露された。「愛においで」は自身の原点を振り返り感謝の気持ちをつづったバラード。
噛み締めるように歌う彼女と、一言一句を正面から受け止める聴衆の姿がとても素敵だった。

 「Dance on!Love on!」はゴールドの装いともシンクロするような眩しいサウンドフレーバーのディスコナンバー。厳しい時代を共に生きる者たちへ、音楽の魔法でエールを贈る。至極のサウンドに込められたメッセージに酔いしれた。

 アンコールに応えて、ティファニーブルーのドレス姿で戻って来た彼女は、共に前に進むことを誓う「美しき日々」を歌う。そのエヴァーグリーンな煌めきが音楽で彩られていくような大きな感慨がそこにあった。続いては1stソロシングルにしてコンサートの定番曲「恋するリボルバー」。加速度を増していくようなスリリングなパフォーマンスに、会場のテンションはまさに最高潮だ。

 そしてここからは、スペシャルゲスト・趣里の登場だ。自身が主演したNHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』から「ラッパと娘」を披露すると、続く劇中歌「買物ブギー」ではあちらこちらへと自由に動き回って跳ねる。“ブギの女王”笠置シヅ子へのリスペクトを軸に、自らの“持ち歌”として昇華した力強い歌が実に頼もしい。トランペットも加わった極上のバンドアンサンブルとのマリアージュも素晴らしかった。


 そして、この夜も最後はふたりで。トータス松本が手がけた「花ざかり」をスペシャルバージョンでデュエット。満場の拍手の中で、コンサートは終了した。思い出を振り返りながらも現在進行形にアップデートし、未来に向かって今この瞬間を生きる。伊藤蘭の人生観が結晶となった見事なライブエンターテイメントだった。

■『伊藤蘭コンサートツアー 2026 「Dance on!Love on!」』
8月30日(日)午後0:30
WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信
※放送・配信終了後~30日間アーカイブ配信あり
編集部おすすめ