現地時間3日に行われた『襲名』公式上映時のレッドカーペットに歌舞伎衣裳で登場した團十郎。その意図について、「見られる職業の人間は、見られることをきちんと意識しないと成立しない。華やかな世界ですけど、ものすごく厳しい世界がある」と、単に華やかさを求めたものではなかったと明かした。そのうえで、「紋付袴や歌舞伎の衣裳を身に着け、人の目を引き、興味を持ってもらうことをパフォーマンスとして考えよう」と決めたという。
また、衣裳の選定をめぐっては、團十郎とスタッフが意見を交わし、「紋付がいいかもしれない、いや、衣裳を着た方がいいかもしれないと、最終的にキャッチボールをしながら決めた。誰かの一存で全部決めたわけではない」と舞台裏に言及。「ただ歩くわけではない。結構、真剣勝負でした」と語った。
候補には『連獅子』や『助六』の衣裳も挙がったという。しかし、歌舞伎を知らない海外の観客に“民族衣装”としてではなく、「一人の人間としての魅力が出せるものとなると、『男伊達花廓』が一番良かったかなと思っています」と選択の理由も説明した。
その狙い通り、現地では多くの視線とカメラを引き付けた。
「歌舞伎を撮ったことがないはずなのに、写真のクオリティーが非常に高かった」と、現地カメラマンの技術にも感銘を受けた様子。一方で、「興味がない人は撮らない。彼らは撮る、撮らないを選択している」(團十郎)と、その厳しさも実感したと振り返った。
日本では昨年公開された映画『国宝』が大きな話題となり、歌舞伎座や新橋演舞場、京都・南座、福岡・博多座、各地の巡業公演などに関心を寄せる人が増えた。團十郎も「多くの方々が興味を持ってくださった一年だったと思います」と、その広がりを実感しているという。
そのうえで、エンターテインメントとして作られたフィクションとは異なり、『襲名』では、團十郎という名跡が受け継がれる過程と、その裏側を実際の記録として見ることができると強調した。
「リアルに團十郎という名跡の襲名では、裏側でこういうことが行われていたという、ある意味、リアリティーなんです」と説明。「歌舞伎をそれまで見たことがなかった方々にも、この映画には見たことのない世界が散りばめられていると思います。“これは襲名の本物の形です”というものを見ていただくことが、一つの理解につながるのかなと思います」と呼びかけ、海外から評価された今だからこそ、日本の観客にも作品を届けたい思いを語っていた。
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