腎臓の健康を保つには、何をどう食べるといいか。腎機能を高める黒い食べ物を摂ることに加え、血糖値の急上昇を抑える食べ方をすることが重要だという。
内科医の工藤孝文さんが監修した『「腎臓にいいこと」、ぜんぶ集めました。』(青春出版社)より、紹介する――。
※本稿は、工藤孝文(監修)、ホームライフ取材班(編)『「腎臓にいいこと」、ぜんぶ集めました。』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
■血流を改善し、腎臓の機能を高める「黒豆」
東洋医学では、食べものには青・赤・黄・白・黒の「五色」があり、それぞれの色が5つの内臓「五臓」と強く関連していると考える。なかでも、腎臓の働きを左右するのは何色の食べものなのか。答えは「黒」。このすこぶる地味な色の食べものが、腎機能を強化し、老廃物をスムーズに排泄させる働きがあるとされている。
腎機能を高める黒い食べもののひとつが黒豆。「まめ」には勤勉・健康・誠実といった意味があり、「1年をまめに働き、まめに暮らせるように」との願いを込めて、おせち料理に加えられる。
腎臓の健康を保ちたいのなら、この黒豆を正月にしか食べないのはもったいない限り。黒豆の黒色は、強力な抗酸化作用を持つポリフェノールのアントシアニン。
血流を改善して、腎臓の機能を高めるように働く。
また、黒豆は大豆の仲間で、正式名称は「黒大豆」。血管の若さを保つ大豆レシチン、大豆サポニンといった、腎臓を強化する有効成分もたっぷり含まれている。
アントシアニンは水溶性なので、スープにして成分をまるごと食べるのがおすすめだ。定番の煮豆にする場合は、煮汁ごと味わうといいだろう。
■ビタミンDが断トツで多い食材
中華料理などによく使われる乾燥キクラゲ。この黒いキノコも、腎臓を元気にする働きを持っている。
コリコリした食感から、食物繊維が豊富なのは想像できるだろうが、特筆されるのは別の成分。ビタミンDがけた外れに多く、あらゆる食品のなかでもトップクラスの含有量を誇るのだ。
ビタミンDといえば、骨を強くするのに欠かせない成分で、近年は血圧との関係も注目されている。血液中のビタミンD濃度が10%上昇するごとに、高血圧のリスクが8.1%下がるという研究もある。
高血圧は動脈硬化を進行させる大きな原因。
ビタミンDの働きで血圧上昇を防ぎ、腎臓の毛細血管の健康を保ちたいものだ。ビタミンDは脂溶性なので、キクラゲを炒め物や揚げ物にすれば効率良く摂取できる。
■1日スプーン1杯で腎臓が強くなる調味料
米酢や穀物酢は、やや黄色みを帯びている。これに対して、ぐっと色が濃く、琥珀(こはく)色をしているのが黒酢だ。米酢なども腎臓にいいが、黒酢の持つ効能はさらに強い。
色の濃い黒酢は、透明に近い酢とはつくり方が全然違う。米酢や穀物酢の場合、製品1Lあたりに使う原料は40g以上と定められている。一方、黒酢はその4.5倍の180g以上もの原料を使う。
しかも、熟成期間が非常に長い。大量生産される一般的な酢は、およそ1~2カ月熟成させてから出荷される。ところが、伝統的な製法で黒酢をつくる場合、1年から3年ほどもかけて熟成させる。
原料をたっぷり使い、長期にわたって熟成させるうちに、糖とアミノ酸が結びつくメイラード反応が起こって、色がしだいに濃くなっていく。
この独特のこだわり製法によって、深い香りとコクが生まれ、アミノ酸などの有効成分が増えて、健康効果も一層高くなる。
黒酢の特筆される働きとして、真っ先にあげられるのが血液の流れを良くする効果だ。血流の良くない人を対象に、黒酢を毎日20ml摂取してもらった実験では、数カ月後に赤血球変形能が大幅に改善された。
赤血球変形能とは、赤血球の形をしなやかに変える力のこと。赤血球変形能が高いほど、赤血球は血管の中を流れやすくなり、ごく細い毛細血管にも入り込める。
この働きから、黒酢を日常的に飲んだり料理に使ったりしていると、毛細血管が集まった腎臓の機能が高くなるのは当然だろう。
試験管に血液を入れて、黒酢を加えた実験でも、赤血球変形能は明らかに高まった。一方、酢の主成分である酢酸だけを加えても変化はなかった。この実験から、黒酢に含まれている何らかの成分が血流を良くすると考えられる。
一般的な酢にはない、黒酢の血液サラサラ効果。腎臓の検査数値が気になる人なら、ぜひ普段づかいしてみたい。
■血糖値上昇を抑える一口目に食べるもの
ごはんのお供にぴったりな納豆やオクラ、メカブ、ナメコ。
これらのヌルヌルやネバネバは、糖質を包み込んでゆるやかに吸収させる水溶性食物繊維が主成分。おかずにしてごはんが少々進んでも、血糖値が急上昇する心配はなさそうだ。
食後の血糖値の変化を調べた興味深い実験を紹介しよう。「白米のみ」「キャベツを食べてから白米」「メカブを食べてから白米」の食べ方をしてもらったところ、メカブを食べたグループの血糖値の上昇具合が最もゆるやかだった。
血糖値が急上昇し、血管の負担が大きくなると、腎臓に密集している毛細血管の働きも低下する。いつまでも腎臓の健康を保つために、できれば毎日、ヌルヌル、ネバネバ食品をごはんにのせたり、味噌汁に入れたりしよう。

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工藤 孝文(くどう・たかふみ)

内科医

工藤内科院長。福岡県みやま市の同医院で地域医療を行う。糖尿病内科、ダイエット外来、漢方医療を専門として、テレビや雑誌などでも活躍。著書に『痩せグセの法則』(枻出版社)ほか多数。

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(内科医 工藤 孝文)
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