※本稿は、谷口恵子『最小のインプットで最大の結果を出す ずるい勉強法』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
■爆発的に成果が出る「ずるいインプット術」
「コツコツ続けるのが苦手……」「すぐ飽きる」「毎日30分勉強しろと言われても無理」、多くの大人が抱えるこの悩み。英語学習者の方からもたくさん聞きます。
でもコツコツ型の努力ができなくても、成果は出せます。むしろ、コツコツ型ではない人ほど、「ずるく賢いインプット術」を使うことで爆発的に成果が出るのです。
私自身、コツコツ努力できるタイプではないからこそ、ラクして成果が出る勉強法を追求してきました。小学生の頃から「どうしたら苦しい努力をせずに、テストの点がとれるか」「どうしたら好きなだけ友達と遊びながら受験に合格できるか」を考えて創意工夫、試行錯誤を繰り返してきました。それは自分を実験台にした楽しい遊びでした。
・どうしたら集中できるの?
・どうしたらすぐに覚えられるの?
・どうしたら勉強を楽しめるの?
そんなふうに自分で問いを立て、「こうなんじゃないか」と仮説を立てて、実験して、の繰り返し。今でいう「探究学習」を自分で勝手にやっていたのです。
その結果、東京大学文科一類に現役合格しました。
■「自転車で通える大学」から東大に進路変更
私は小学4年のときに父が交通事故で亡くなり、母子家庭になったので、母が見つけた奨学金を2つもらいながら、横浜のフェリス女学院という私立中高一貫校に通いました。
父が亡くなった時点で母は、私が中学受験のために通っていた塾をやめさせようと考えたそうです。しかし、塾の先生方が「本当に惜しい!」と言ってくださったことに心を動かされ「セーラー服の私立女子校に行きたい」という私の願いを叶えてあげようと思ったそうです。
そして「自分が働いている間の学童代わりと思えばちょうどいいか、何とかなるだろう」と、母が楽天的に決断してくれたおかげで、結局私はそのまま塾に通い、中学受験をさせてもらいました。
「大学はできれば国公立に行ってほしいなぁ」と母から言われていたので、高3の夏くらいまでは、家から自転車で行ける横浜市立大学を目指していました。
でも、夏休み明けに友だちから「センター試験+英語と論文」だけで受けられる東大の後期試験の存在を聞き、「それなら東大に受かる可能性もあるかもしれない」と思いました。
そして「もし東大に受かったら、宮崎にいるおばあちゃんが喜んでくれるかもしれない」とも。
■「ずるい受験勉強」で東大に一発合格
祖母は2023年末に100歳で亡くなったのですが、私はその祖母が大好きでした。私たちが遠く離れた横浜で暮らしていたこともあり、祖母はいつも気にかけ、心配してくれていました。
父が亡くなる前は、毎年のように宮崎へ里帰りしていたのですが、父の死後、開業したばかりの珈琲豆自家焙煎店を母が継ぎ、毎日店に立つようになったため、長い休みを取ることが難しくなりました。そうして、祖母に会う機会も次第に減っていったのです。
私の母は宮崎の商業高校卒です。高校ではトップの成績だったそうですが、3人兄弟の真ん中で、父親が病気がちだったので、高校を出てすぐ働き始め、家計を助けることにしたそうです。
祖母は私がフェリスに合格したことをとても喜んでくれて、フェリスの大学の先生がテレビに出ているのを観て、その感想を教えてくれたりしていました。もしかしたら、優秀だった母を大学に入れてあげられなかった分、私には良い教育を受けてほしいと思っているのかもしれないな、と高校の頃には思うようになっていました。
そんなわけで、私の東大受験のモチベーションはただ1つ、「おばあちゃんを喜ばせる」だったのです。そして、長年の研究成果を発揮して、ラクして成果を出す「ずるい受験勉強」で東大に一発合格しました。
■最小の努力で最大の成果を出す方法
でもそこからは、次なる目標を見失い、社会人になってからも何がしたいのか、何に向かっていけばいいのかわからないまま、10年以上を過ごしました。
ただ、その10年の間、英語学習だけは続けました。最初は仕事で必要だったからですが、そのうちに英語学習自体が楽しくなっていきました。
ビジネスで使える「話す・聞く」を中心とした実践的な英語を身につけるために、「やり直し英語学習」をさまざまな形で試しました。
そこでもやはり、どうしたら自分がやる気になるのか、どういう学習法が自分に向いているのか、忙しい中で学習を続けやすくするにはどうしたらいいのか、などを実験していきました。
35歳で英語学習コーチになってからは、自分だけの実験に加えて、受講生や友人・知人など、さまざまな英語学習者の違いや個性にも目を向けるようになりました。
そこで初めて「効果的な勉強法」について、私が経験から学んでいたことが、研究でも裏付けされていることを知りました。
ここでは、コツコツ型の努力が苦手な方に、そんな私の長年の研究成果である「最小の努力で最大の成果」を出すための「タニケイ式・ずるいインプット術」を紹介します。
ちなみに、「ずるい=怠ける」ではありません。「心理や脳の仕組みを味方につけてラクをする」という意味です。
■意志力に頼ると9割の人は挫折する
コツコツ勉強するのが苦手な人はインプットで成功するには、「努力しなくても勝手にインプットされる仕掛け」を作ることが必須です。
①仕組み化:習慣は「意志」ではなく「環境」で作る
意志力に頼って学ぼうとすると、9割の人は挫折します。でも仕組み化ができると、努力ゼロで続くようになります。学習のための環境デザインについては、さまざまな研究がありますが、ここでは1つ強力な方法をご紹介します。
一般的には「朝15分の勉強習慣を作りましょう」などと言われますが、習慣化が苦手な人は時間だけ決めてもなかなか続きません。そこで、その代わりに「トリガー」(きっかけ)を決めます。
・朝起きたら英語でChatGPTと会話する
・電車に乗ったらニュースを3本読む
・夜寝る前に本を1章読む
そうした「すでに習慣になっている行動の前後」に学習を埋め込むことが、習慣化のカギです。
■机に向かって勉強する必要はない
②ついで化:「勉強だけをする時間」は作らない
コツコツできない人がやるべきは、「勉強する時間を作る」のではなく、日常の中で「ついでにインプットする」ことです。
たとえば、歩いているとき、家事をしているとき、電車に乗っているとき、この時間を「音声インプットの時間」に変える。
・Udemyや学習系YouTubeの音声を聞く
・Voicyやポッドキャストを聞く
・AudibleやKindleの読み上げ機能で耳読書
これが最もラクで強力な方法です。
忙しい社会人は、机に向かって勉強する必要はありません。インプットのゴールや目標さえ決めていれば、聞き流しているように思っても、必要な情報はちゃんと耳に入ってきます。
■気持ちが乗るときだけやる
③感情の利用:テンションが上がった瞬間を逃さない
コツコツできない人は、逆に「興味が爆発した瞬間の行動速度」が速いという強みがあります。ずるいインプット術では、この特性を最大限利用します。
何かを見て、何かを読んで「おもしろそう!」と思ったら、その瞬間にまず次のインプット行動へとつなげます。
・キーワード検索して、関連するサイトを読む
・Amazonで本を探し、Kindle版があれば「サンプルダウンロード」して読む
・UdemyやYouTube動画を探して最初の1分だけ見る
・ChatGPTなどのAIにそのテーマについて質問する
興味の火は一瞬で燃え上がります。でもしばらく使わなければ消えてしまいます。「興味のスパーク」が起きた瞬間を逃さず、利用しましょう。
そして、飽きたら絶対にインプットをやめます。
ただ、同じことを学ぶにしても、教材を変えたり、読むページを変えたりすることで、また興味が湧くこともあります。それはぜひ試してみてください。
■ずるい学び方の本質とは
ずるい学び方が最強なのはなぜでしょうか?
理由はとてもシンプルです。
①頭ではなく環境が努力を代行してくれる
②気持ちが乗るときだけ全力になれる
③日常の中で勝手にインプット量が増える
④無理をしなくていいので続く
⑤続くから成果が出る
つまりずるい学び方とは、努力の量ではなく、「仕組み」と「感情」を上手に使う方法なのです。そして、誰でも、何歳からでも、このずるい学び方を身につけることができます。
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谷口 恵子(たにぐち・けいこ)
AI活用コンサルタント/英語学習コーチ
プチ・レトル代表取締役。2002年東京大学法学部卒業。20年同大学大学院学際情報学府修士課程修了。日本オラクル、ソニー勤務などを経て13年プチ・レトルを共同起業。ビジネスや英語学習におけるAI活用を広めている。
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(AI活用コンサルタント/英語学習コーチ 谷口 恵子)

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