※本稿は、安蔵靖志『家電ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
■家電のD2Cやサブスクが注目され始めた理由
家電製品の販売チャネル(購入場所)として一般的なのは家電量販店やディスカウントストア、ホームセンターですが、新たなチャネルとしてメーカー側が注目しているのがD2C(ダイレクト・トゥー・コンシューマー……消費者に直接販売する方法のこと)やサブスク(定額利用)サービスです。
また、リユース(使用済み商品の再利用)市場規模の拡大から、消費者側からはアウトレットやリユース店での購入といった購入方法も再注目されています。
どちらもメーカーや消費者にとってメリットもデメリットもある購入方法ですが、「新品を購入して、故障したら修理もしくは買い替える」という“新品買い切り”の購入方法から一歩進んだ家電製品の買い方であり、付き合い方だと言えます。
D2Cやサブスクが注目され始めたのは、従来の販路では消費者のニーズをとらえにくいことと、売り切りではビジネスモデルが成り立ちにくくなってきたことが背景にあります。
一般的な家電製品はメーカーが家電量販店や販社などを経由して消費者に販売されるため、消費者の“生の声”が届きにくい状況にあります。
どの製品のどこがよかったのか、どこに不満点があったのかというのは、グループインタビューなどの手法を用いて直接消費者に聞かない限り、なかなか手に入りませんでした。
■ニッチなニーズを狙った商品作りも
また、1つの製品をたくさん売らなければならないため、ニッチなニーズを狙った商品作りというのもなかなかできません。
そこで生まれたのがMakuakeやGREEN FUNDINGなどのクラウドファンディング(応援購入)サービスを用いたテストマーケティングです。
こうしたクラウドファンディングサービスには新しもの好きで感度の高いファンが多くいるため、感度の高いユーザーのセンサーに“刺さる”のかどうかを試すことができます。
新しい技術やトレンドに挑戦するチャレンジ精神を評価されるなど、ブランド価値向上にもつながるため、大手メーカーも少しずつ取り組み始めているところです。
サブスクサービスは消費者との直接のタッチポイントを作るのも目的の一つですが、継続的な関係性を生み出すためであったり、購入するハードルが高い商品をレンタルすることで障壁を下げるために利用されています。
例えばアイロボットジャパンの「ロボットスマートプラン+」などは、3年間利用し続けると自分のものになる仕組みになっており、ロボット掃除機の導入に躊躇する多くの人の購入障壁を下げることに成功しています。
■リユースを前提にしたサブスクサービスも
また、パナソニックは家電に加えて定期的に食材が届くサブスクサービス「foodable(フーダブル)」を実施しています。家電のサブスクサービスはまだ手探り状態と言えますが、メーカーと消費者が継続的な関係性を築く上で今後重要な役割を果たすようになっていくのかもしれません。
円安や物価上昇などの影響で注目度が高まっているのが、アウトレットやリユース店で購入する方法です。家電量販店が展開するアウトレットは展示品や型落ち品などが格安で購入できるのでお得です。テレビのように通電して展示する商品は寿命が縮まりますが、生活家電の多くは通電せずに見本としておかれているだけなので、ほぼ新品同様でお買い得です。
リユース店は中古品を引き取って販売するお店ですが、新品や未使用品(開封された新品)なども扱っており、アウトレットと同様の買い方もできます。中古品でも状態がよければ大丈夫という人なら、全国各地に増えているリユース店での購入も視野に入れてみるといいでしょう。
ちなみにアイロボットジャパンのサブスクサービス「ロボットスマートプラン+」は通常の場合、自社で整備済みのリユース品をお試しできるサービスになっています。リユースといっても自社工場で清掃・整備・点検された製品なので安心ですが、最初から新品をお試しできるオプションも一部の製品で用意しています。
SDGs(持続可能な開発目標)の「12:つくる責任 つかう責任」の観点からメーカーもリユースやリサイクルへの取り組みが進んでいるため、リユースを前提にしたサブスクサービスも今後増えていく可能性が大いにあるのではないかと考えられます。
■買い替えの目安「洗濯機・掃除機は6年」
家電製品を長らく使っていると、「そろそろ買い替え時かな?」と思われることがあると思います。
家電製品を買い替える理由の多くは「故障」や「上位製品への買い替え」などですが、思うような性能を発揮しなくなったとか、使い勝手が悪くなったとかで買い替えを検討する人もいると思います。筆者は「実家の家電が古すぎるから、そろそろ買い替えた方がいいのでしょうか?」という相談を受けることもあります。
買い替え時期の目安として参考にしてほしいのが、「家庭電気製品製造業における表示に関する公正競争規約及び施行規則」で定められている「補修用性能部品の保有期間」です。
家電メーカーは、製造した家電製品が故障した場合に備えて修理に必要な部品(補修用性能部品)を一定期間保有する義務を負っています。この期間を「補修用性能部品の保有期間」といい、これが家電製品の寿命、つまり買い替えの目安の一つとなります。
保有期間は製品の種類によって異なり、洗濯機や炊飯器、掃除機などは6年、テレビや扇風機、電子レンジなどは8年、冷蔵庫は9年、エアコンは10年と定められています。
これらの期間を過ぎると、メーカーは補修用性能部品を保有する義務がなくなるため、修理が困難になる可能性が高まります。そのため、これらの期間を目安に買い替えを検討するのが賢明です。
■より快適に、電気代を節約できる可能性も
補修用性能部品の保有期間以外にも、買い替えを検討するべき要因はいくつかあります。まずは製品の性能低下です。長年使用しているとエアコンの冷暖房効率が悪くなったり、テレビの画質が劣化したり、洗濯機の洗浄力が落ちたりします。
修理を繰り返してもすぐに故障する場合は、本体の寿命が近いと考えられます。家電製品は新しいモデルが登場するたびにさまざまな新機能が追加されたり、省エネ性能が向上したりします。
最新モデルに買い替えることで、より快適になったり、電気代を節約できたりする可能性もあるので、そういう場合は買い替えを検討してもいいのではないでしょうか。
買い替える際に注意してほしいのが「家電リサイクル法」や「小型家電リサイクル法」です。テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機、エアコンは「家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)」によってリサイクルが義務付けられています。
これらの家電を廃棄する際には、過去に購入した小売店、または新しく家電を購入する小売店に引き取りを依頼して正しくリサイクルする必要があります。家電リサイクル法は資源の有効活用と廃棄物の削減を目的としているので、家電を廃棄する際には必ずこの法律に従って適切にリサイクルするようにしましょう。
■ライフスタイルの変化を考慮して判断
小型家電も、「小型家電リサイクル法(使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律)」に基づいて、リサイクルが推奨されています。携帯電話やデジタルカメラ、ゲーム機、パソコン、ドライヤーなど、さまざまな小型家電が対象となっています。
小型家電のリサイクル方法は、自治体によって異なります。回収ボックスが設置されている場合や、ごみ収集時に回収される場合などがあります。お住まいの自治体のルールに従って、適切にリサイクルするようにしましょう。
家電製品の買い替え目安は、補修用性能部品の保有期間を目安にしつつ、製品の性能低下、故障の頻発、新機能・省エネ性能の向上、ライフスタイルの変化などを考慮して判断するのがいいでしょう。
また、家電リサイクル法、小型家電リサイクル法に従って、適切にリサイクルすることも大切です。これらの情報を参考に、ご自身の状況に合わせた適切な時期に家電製品の買い替えを検討してみてください。
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安蔵 靖志(あんぞう・やすし)
IT・家電ジャーナリスト
一般財団法人家電製品協会認定 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)、スマートマスター。AllAbout デジタル・家電ガイド。ビジネス・IT系出版社を経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。ラジオ番組の家電製品紹介コーナーの商品リサーチ・構成にも携わっている。
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(IT・家電ジャーナリスト 安蔵 靖志)

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