仕事の依頼を受けたとき、どんな返答をすると仕事がスムーズに進むか。マーケティングコンサルタントの宮脇啓輔さんは「すり合わせなき『了解』は、依頼側に不安感を与え、最悪だ。
私が新しい環境やパートナーと仕事をする時は、意図的にたくさん行うすり合わせがある」という――。
※本稿は、宮脇啓輔『一言で話せ。仕事ができる人の1%会話術』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
■「返答」はすり合わせとセット
仕事のコミュニケーション上で必ず避けて通れないのが、業務の依頼を受けること。
その際に、どう返答をするかでその後のスピード感が大きく変わります。
リモートワークやチャット文化が浸透すると、スタンプだけで返答する会社もあると思いますが、最初に身につけるべきは、どんな環境でも通用する返答の仕方です。
返答に気配りをしないと、なんとなく「了解しました!」と仕事を受け取ってしまいがちになります。
でも仕事では、依頼の仕方だけではなく、依頼の受け取り方も実はかなり重要なのです。
基本的に仕事を依頼した人は、「連絡見てくれたかな?」「ちゃんとやってくれるかな?」と、不安を抱いているものです。
自分がしっかり受け取るだけでなく、依頼主の不安を下げることが、返答の大原則となります。
■「即レス」のスピードがすべてを決める
そのために重要なのが、スピード感と認識のすり合わせです。その2つを返答時に意識するメリットや方法について解説していきます。

まず最初に意識したいのが、スピード感。つまり、連絡を受けたことに対する一次返信、いわゆる「即レス」です。
ここでの即レスは即着手とは違うのでそこは明確に区別しておいてください。
大切なのは、「すべてのメールに対して何分以内に返信しろ」ということではありません。緊急度・重要度の高いものに関しては、例外なく「とにかく一旦返事を返すべき」ということです。
というのも、即レスの効果・効能として挙げられるのが、相手が不安に思う時間を減らすことができるということです。
仕事を依頼する側というのは、作業自体をお願いするものの、仕事を完遂する責任から逃れられません。つまり、どこまで行っても依頼主がなんとかする必要があるのです。
仕事を依頼した時に、できるだけ早く受け取ってもらえたことを確認したいのです。
できるだけ早く「着手」して欲しいのではなく、早く「受領」して欲しいのです。
この点に無頓着だと、仕事を受け取った返答をすることなく、着手をしてしまいます。それは悪気があるわけではなく、「作業の完了と同時に返答すればいいや」という心理が働いているからだと思います。

■即着手ではなく「一次返答」を
数分でできるような作業であればそれでも良いのですが、数時間かかるようなものに関しては、基本的に即着手ではなく、即レスをしてみてください。
これは、「一旦受け取ったけど、着手には時間かかります」という「一次返答」というものです。
この一次返答が来るまで依頼側は「もしかすると確認が漏れているかもしれない」「少し経った後にリマインドしないと」という心理が働いてしまうのです。
ここで使える一言『一旦確認しました。着手は明日からで、一回今週中に進捗を共有します』

また、即レスにメリットがあるのは依頼主側だけではありません。すぐにレスがくる人は気遣いができる人であり、仕事ができる人という印象を与えることができます。
そしてなにより、仕事の機会に恵まれる可能性があります。
「誰に依頼してもいいけど、急ぎだからレスの速い彼や彼女に依頼しよう」といった具合で、たとえ小さな機会だったとしても、その中のひとつにキャリアの岐路となるような仕事だって混ざっている可能性があるのです。
即レスは仕事の運気を高める行動のひとつだと心得てください。
■チャットのスタンプ返答は厳禁
最近はメールではなく社内の連絡はチャットツールで行う会社が増えたと思います。
チャットで絶対に避けたいのがスタンプで返答をしてしまうということです。
もちろん、返答する必要がないものに対するスタンプでのリアクションというのは問題ありませんが、相手の不安を減らすための返答でスタンプは厳禁です。

スタンプでは相手に通知がいかないので、本来の返答になり得ないからです。
私もスタンプのみの返答を若手社員からもらうことが多いのですが、一次返答の効果を理解していないなと、少し残念な気持ちになることがあります。
みなさんはぜひ、気をつけてみてください。
ここで使える一言『見ました。○時までに返します』

■「了解しました!」で終わってはいけない
返答においてもうひとつ意識すべきなのが、認識のすり合わせです。
若手社員がよくやってしまうのが、「了解しました!」と元気よく、了解してしまうことです。
特に何も考えずに了解している人もいれば、元気良く了解した方がいいと思っている人もいるでしょう。中には、「細かく聞いちゃうのはよくないんじゃないか?」と遠慮してしまう人もいるかもしれません。
しかし、このすり合わせなき「了解」は、依頼側にとっては最悪なのです。
理由はシンプルで、具体的に何を、いつまでに、どうやるのかがまったくわからないからです。
特にその業務の経験が浅かったり、相互に信頼関係が十分にない段階でこうしたフレーズを多用するのは、相手に不安感を与えてしまいます。その上、自らは思考停止に陥る危険性すらあります。

ここで使える一言『了解です。念のため、期限とゴールだけ確認させてください』

■期待値のすり合わせを意図的に行う
私が新しい環境やパートナーと仕事をする時は、期待値やアウトプットのすり合わせを意図的にたくさん行います。
このすり合わせでは、最終締め切りから逆算して、間に合わせるための次の行動を確認します。
具体的にすり合わせる内容は、次のイメージです。
何を(What):タスクの内容をまず確認します。
誰が(Who):担当者を振り分けます。
どれぐらい(How much):このすり合わせが特に重要です。

完成度をここですり合わせますが、「自分の実力」と「相手との間柄」によって変わる部分が大きいです。自信がない場合は「20%」、ベテランの先輩と進める場合は「80%」などのイメージです。
いつまでに(When):どれぐらいをすり合わせた後に、ここを決めます。例えば、「明日までに20%」「期日3日前までに80%」などのイメージです。
目的(Object):時間軸が長くなるほど目的は見失いやすくなるので、プロジェクトの規模が大きい場合は「そもそもの目的とは」をすり合わせることも重要です。


わかりきっている業務もあえてすり合わせを行い、簡単に「了解」をしないように気をつけています。
阿吽の呼吸で仕事ができるならまだしも、特に新しい関係性の中では「具体的に何をいつまでにするか」を明確にし、認識をすり合わせることが重要です。
■安易な「了解」を許容しない
新しいメンバーが入ってきた時、私は安易な「了解」を許容していません。必ず「具体的に何をしましょうか」と問いかけるようにします。
共通言語・共通認識が少ない状態では、具体的に会話することで認識の齟齬をなくすことができるからです。認識の齟齬がなくなれば、当然手戻りが少なくなります。
仕事におけるボールの投げ合い(タスク分配)には、必ず品質と納期が存在しています。つまり、「期限内に想像通りのものが返ってきたら何も問題がない」ということです。
加えて、適切に仕事が行われていれば、密なコミュニケーションは必要ではありません。コトがうまく進むのであれば、本当は雑にコミュニケーションしたいものなんです。
しかし、まだ信頼関係が築けていない相手や、業務レベルに不安のある相手に仕事を振る時は、不安がともないます。その不安の正体は、「期限内に想定したレベルのアウトプットが出てくるかどうか」というものです。

基本的に仕事の責任は仕事をお願いする側にあります。仕事をお願いする側は、適切に業務を遂行してくれるかどうか、細かくすり合わせたいものなのです。
なのに、「了解しました!」だけが返ってくると、不安で仕方ありません。依頼する側の立場を経験すると良くわかることではありますが、仕事をもらう立場にある場合の人は特に意識してみてください。

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宮脇 啓輔(みやわき・けいすけ)

unname 代表取締役、マーケティングコンサルタント、日経COMEMOキーオピニオンリーダー

1991年3月生まれ。滋賀出身、立教大学卒。2014年、新卒でサイバーエージェント入社。社会人としてのスタンス、コミュニケーション力、基礎動作などのソフトスキルを習得し、Web広告運用コンサルタントとして月間1.5億円の運用実績をあげる。2017年、上場前のBASEに入社し、アプリマーケティングを担当。2018年、ペイミーにCMOとして参画し、BtoBマーケの立ち上げから、ビジネスチーム全体のマネジメントまで行う。2019年、unnameを創業。BtoB企業を中心に累計約50社のマーケティング支援を行う。現在は総合マーケティングカンパニーとして、支援業務以外に、研修事業、プロダクト事業などを展開している。社内Slackで情報発信をしていたところ、「外に発信しないともったいない」と言われ、Xとnoteで20~30代向けに発信を始める。その一つである“「頭の回転が速い」を科学する”がnote社主催の創作大賞2024入選。

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(unname 代表取締役、マーケティングコンサルタント、日経COMEMOキーオピニオンリーダー 宮脇 啓輔)
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