30~40代と「もちっ」食感から見えた、全体値の裏側
店頭には、色鮮やかなグミが並び、次々と新商品が登場しています。その一方で、POSデータ*でグミ全体を見ると、店頭の華やかな印象とは少し異なる結果が表れていました。
数字だけを見て、グミの勢いは落ち着いたと判断してよいのでしょうか。
「KSPレンズ」開発プロジェクトメンバーが、店頭とデータの間に感じた違和感を起点に、購入者の特徴や食感という角度からグミカテゴリーを見ていきました。
*KSP-POS(食品SM)の集計値
今も関心を集めるグミ。しかし、金額・数量とも前年割れ
当社が2024年8月に公開したグミのオープンレポート「価格上昇にもかかわらず売上好調が続くグミ」は、公開から時間がたった現在も、多くの記事の中でアクセス数トップ10に入り続けています。加えて、お客様との会話でもグミが話題に上ることが多く、食品業界で関心の高いカテゴリーの一つだと感じていました。
私自身、店頭ではグミの売場が広がり、新商品も増え、活気のあるカテゴリーだという印象を持っていました。ところが、2026年1月~6月のグミカテゴリーは、金額・数量ともに前年同期をやや下回っています。その動きを示したのがグラフ1です。
店頭で感じていた賑わいと、データの動きがうまく結びつきませんでした。
そこで、グミカテゴリーを一つの数字として見るのではなく、購入者の特徴という別の角度から確認してみることにしました。
グラフ1:グミカテゴリーの前年同期比
見る角度を変えると、1割を超える伸びが見えた
グミは、30~40代の支持が厚いカテゴリーです(グラフ2)。グラフ2:グミカテゴリーの年代別購入数量構成比
そこで、30~40代の購入傾向が強いグミ商品に絞ると、状況は一変しました。金額・数量ともに前年同期から1割を超えて伸びていたのです(グラフ3)。
全体では前年を下回っていても、その内側には拡大している商品群がある。
グラフ3:30~40代の購入傾向が強いグミ商品の前年同期比
「ハード」が中心。その一方で伸びていた「もちっ」
次に、グミカテゴリーを別の切り口から見るため、「食感」に注目しました。グミでは、噛み応えのある「ハード」の構成比が高くなっています。私自身も、グミ人気を支えているのは硬めの食感だというイメージを持っており、これはデータとも一致していました。
一方で、食感別の動きを見ると、「もちっ」は構成比こそ大きくないものの、金額・数量ともに1割強伸びていました(表1)。
普段あまりグミを食べない私にとって、これは意外な結果でした。
同時に、もう一つ疑問が浮かびました。
「もちっ」「もちもち」とした食感への支持は、グミだけに見られるものなのでしょうか。それとも、食品全体にも共通する動きなのでしょうか。
表1:グミの食感区分トップ5
※グミの食感区分は、メーカーの商品情報やパッケージを参考に付与しています。
食品全体でも目立っていた「もちもち系」
そこで、商品名に食感を表すキーワードを含む食品へ対象を広げました。食感を訴求した商品が全体として伸びる中、特に目立ったのが「もちもち系」です。
食感区分別では金額構成比2位で、金額・数量ともに前年同期から3割以上伸びていました。
グミの「もちっ」と、食品全体の「もちもち系」に、共通する伸びが見られました(表2)。
グミで見つけた変化を食品全体へ広げて確認することで、一つのカテゴリーだけでは見えにくい共通点が浮かび上がりました。
表2:食品全体の食感区分トップ5
※加工食品や菓子など、即食系分類を対象に、KSP-POSに登録されている商品名に食感を表すキーワードが含まれる商品を集計しています。
違和感から始まった、「兆し」探し
今回の分析は、店頭の印象とPOSデータの数字が一致しないという違和感から始まりました。購入者の特徴から商品を分けてみると、全体とは異なる伸びが見えました。さらに、食感へ視点を移すと、「もちっ」という意外な動きが見つかり、食品全体の「もちもち系」との共通点にもつながりました。
今回見つけた動きが、この先そのまま大きく成長するとは限りません。それでも、一つの数字だけで判断せず、角度を変えながら見ることで、「全体値の内側にある変化」に気づくことがあります。
違和感を持ち、別の視点から確かめ、さらに対象を広げてみる。
今回の分析は、「KSPレンズ」を企画した際に思い描いていた使い方の一つでもありました。
変化の兆しは、最初から分かりやすい形で現れるわけではありません。だからこそ、さまざまな角度からデータを見ることが、新たな商品や提案を考えるヒントになるのではないでしょうか。
今回の分析で使用した「KSPレンズ」のフィルタ
■トレンドフィルタ:「グミ」ハマる理由がある購入者の特徴や商品の傾向から、グミカテゴリーの動きを見るフィルタです。
■トレンドフィルタ:「食感スイッチ」直感で選ぶ理由
食感表現に着目し、食品カテゴリーを横断して商品の動きを見るフィルタです。
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