【画像】高中正義がロンドンのフェスに登場
まずは、大歓声の中、シティ・ポップから多大な影響を受けたサウンドで国際的に高い評価を得ているGinger RootがDJとして出演。シティ・ポップを現代的な感覚で再解釈してきた彼の存在は、この日の幕開けにふさわしい。世代も国境も越えて日本の音楽が再発見されている――そんな現在のシーンを象徴するように、会場の空気を徐々に温めていく。続いてステージに立ったのは、ジャズ・キーボーディストの菊池ひみこ。1987年発表のジャズ・フュージョンの名盤『Flying Beagle』のセットを披露した。発表から約40年という時間を経て、インターネットを通じて海外の若いリスナーにも発見されてきた作品が、今度はロンドンの野外ステージで生演奏として鳴り響く。時代を越えて作品そのものが再評価されていることを実感させるステージとなった。そして、都会的で洗練された80年代サウンドの代表格、八神純子が登場。夜の都会を疾走するような高揚感を生み出す「IMAGINATION」や、映画のワンシーンを思わせる「黄昏のBAY CITY」を披露する。さらに、日本で大ヒットした1978年の「みずいろの雨」では、イントロが鳴った瞬間に客席から大きな歓声が沸き起こった。
そして、いよいよヘッドライナーの高中正義がステージへ。地元メディアから「70代で再び大きな波に乗る、日本のギターヒーロー」と紹介された高中。その”ギターヒーロー”は、いかにも彼らしいユーモアたっぷりの登場で観客を迎えた。「BRASILIAN SKIES」が始まると、ファンの大合唱に合わせ、両手にパパイヤを掲げながらステージへ。待ち続けた観客の歓声が一気に爆発し、1曲目から会場のボルテージは最高潮に達した。
そこからは、今SNSで大きな注目を集めている「SEVEN GOBLINS」に加え、「憧れのセーシェル諸島」「BLUE LAGOON」「THUNDER STORM」「READY TO FLY」と代表曲が次々と披露される。
印象的だったのは、何十年も前に日本で発表されたこれらの楽曲を、ロンドンの若い観客たちが”懐かしい音楽”としてではなく、完全に現在進行形の音楽として受け止めていることだった。イントロが鳴るたびに大歓声が上がり、ギターのメロディを一緒に歌い、身体を揺らす。その熱量は、単なる日本の80年代音楽へのノスタルジーではない。彼らにとって高中の音楽は、今まさに発見し、夢中になっている音楽なのだ。
そしてアンコールの「JUMPING TAKE OFF」。
卓越した演奏技術を持ちながら、決してストイックな”ギターヒーロー”然とせず、ステージ上では本人が誰よりも楽しそうに音楽を奏でている。テクニックを誇示するのではなく、ギターを弾くことの楽しさが、そのまま音となって観客に伝わっていく。その自由さとポジティブなエネルギーこそが、世代も国籍も異なる若いリスナーたちを高中正義に惹きつけている理由なのかもしれない。
「IT IS FUN!」
そんな言葉とともにロンドンの野外ステージを心から楽しむ高中と、それに応える観客たち。日本で長く愛されてきた音楽が、数十年という時間を越え、遠く離れたロンドンで新しい世代によって発見され、再び熱狂を生み出している。
City Pop Wavesの一夜が見せたのは、単なる”日本の昔の名曲”へのノスタルジーではなかった。かつて日本で生まれた音楽が、インターネットやSNSを通じて国境と世代を越え、まったく新しいリスナーたちの「今聴きたい音楽」になっている。そのことを、12,500人の観客が集まっロンドンの夜が何より雄弁に物語っていた。
クリスタル・パレス・ボウルのフェスティバル主催者は 「今、日本の音楽といえばJ-POPが広く知られるようになっていますが、CITY POPやジャズ・フュージョンも注目も集めています。日本ではかつて一世を風靡したジャンルかもしれませんが、今のイギリスの若い世代が夢中になっていることは間違いありません。
そんな高中正義は、今年9月から日本国内の全国ツアーを控えている。どんな土産話をしてくれるか期待が高まる。
オフィシャルサイト:https://takanaka.com/


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