SZAは時代の動きを敏感に捉え、自らが愛するアーティストを紹介し続けることで、2300万人のInstagramフォロワーから信頼される音楽の案内役となっている。

先週、イギリスの新鋭ポップ・アーティスト、flowerovloveがデビュー・アルバム『MINI SKIRT WARRIOR』をリリースした。
21歳の彼女は、ブレイク候補の「I'm your first」「In My Victoria's Secret」「shady」「American Wedding」でストリーミング再生数を伸ばしてきた。待望のフルアルバムが登場したことで、コーチェラへの出演や、ホールジー、オリヴィア・ロドリゴのオープニング・アクトを務めた際に獲得したファンを含め、広がり続けるflowerovloveのリスナーは、これまで以上にたっぷりと彼女の音楽を味わえるようになった。だが、世間がようやく彼女に気づき始めた一方で、SZAはすでに2年以上前からflowerovloveに注目していた。

新しい音楽に関して、SZAは常に時代の動きを捉えている。同時に、リポストのボタンにも指をかけている。2024年5月、リリースからわずか1週間あまりだったflowerovloveのシングル「BOYS」をInstagramストーリーズでシェアし、「この子もこの曲も、めちゃくちゃ最高」とSZAは書いた。「いいね」。その称賛を受けた年下のflowerovloveは、平静を装いながらXで「SZAが私の曲を投稿してるとか、もうUGHH」と反応した。だが、彼女にとってSZAに認められたことの意味は、それだけにとどまらない。「”ポップ・ガール”たちの顔ぶれを見ると、ほとんどの場合SZAはそこに入っていない」とflowerovloveは今年初め、『ELLE』に語っている。「私にはまったく意味がわからない。だって彼女はポップ・ガールだから」

「ポップ・ミュージックの黒人女性たちはみんなどこにいるのか?」という問いは、SNS上のファンの間で繰り返し話題になってきた。
とりわけXでは、新しい音楽との出会いよりも議論のほうが幅を利かせることも多い。”メイン・ポップ・ガール”をめぐる議論から自分が外されていることにSZAが苛立っているとしても、彼女はそんな素振りを見せない。その代わり、人々がまさに探し求めているようなアーティストたちの音楽を、Instagramストーリーズで次々と紹介している。

ストリーミング疲れが広がるなか、膨大な音楽のノイズをかき分けてくれる、信頼できる声の存在はありがたい。SZAはInstagramで彼女をフォローする2300万人以上の人々にとって、まさにその役割を担っている。グラミー賞受賞アーティストである彼女の推薦が、自分自身の利益を目的とすることはほとんどない。ただ純粋に、自分が聴いて気に入った音楽への愛から生まれている。彼女がストーリーズで紹介してきた楽曲は、ブレイクを目前にした新鋭から、長いキャリアを経てようやく最近になって脚光を浴び始めたアーティストまで幅広い。

8月初旬、SZAがリポストしたのはNatanyaの「PLAY WITH A KISS!」だった。彼女の新作ミックステープ『ATTITUDE ERA!』は9月10日にリリースされる予定だ。SZAがこの新鋭アーティストを取り上げたのは、これが初めてではない。今年初めには、シングル「Guitar」も彼女のストーリーズに登場していた。
Natanyaの側でも、ちょっとした”引き寄せの法則”が働いていたのかもしれない。シンガーソングライター兼プロデューサーの彼女は今年、シングル「On Ur Time」のビジュアライザーを公開し、それをきっかけに楽曲はオンラインでさらに注目を集めた。その曲でNatanyaは、〈スピーカーからSolanaが流れてる、涙は乾かない(Solanas on my speakers and the tears wont dry)〉と歌っている。SZAがそのヴァースの一部をストーリーズでシェアすると、Natanyaは「2023年に失恋していたあの子が、今のこれを見られたらいいのに」と反応した。

SZAは、ベッドルーム・ポップ・アーティストのgirlsweetvoicedにも早い段階から目をつけていた。4月、girlsweetvoicedは自身のシングル「Tonight」をダルシマーで演奏する動画を公開した。キャプションでは、もう少し練習が必要だと記していたが、そのパフォーマンスの魅力は、むしろ生々しく、余計なものを削ぎ落とした演奏にあった。SZAはその動画をInstagramストーリーズでシェアし、フォロワーに向けてリポストした。SZAとgirlsweetvoicedには、マイケル・ウゾウル(Michael Uzowuru)という共通のプロデューサーがいる。彼は7月にリリースされたgirlsweetvoicedのデビュー・アルバム『Lovesweet』を手がけた。ウゾウルが初めてSZAと仕事をしたのは『SOS』で、「Notice Me」と「Open Arms」に参加。その後、『SOS Deluxe: LANA』でも「Scorsese Baby Daddy」を含む5曲を手がけている。


6月には、SZAはnomi.の「sweet talk」をよく聴いていた。いつもの紹介の仕方とは異なり、このときSZAはBET Awardsで着用した衣装を披露する動画の音源に同曲を使用し、Instagramストーリーズに投稿した。「SZAっていつも誰よりも早く見つけて、本当にわかってるんだよね」とnomi.は、その投稿のスクリーンショットとともにXに書いた。「私のGOAT」。9月4日、nomi.は初のフルレングス作品『this wolf may cry』をリリースする。この作品によって、広がり続けるnomi.のディスコグラフィに新たな一作が加わることになる。その中には、6月にSZAの目に留まったシングル「badman」もある。「これ、めちゃくちゃヤバい」とSZAは、数週間前の3月にアップされていた同曲についてのnomi.の投稿にコメントした。nomi.にとっては、まったく予想外の出来事だった。「今どれだけ震えてるか、あなたにはわからないと思う」とnomi.は返信した。「うわ、本当にありがとう」

11月、nomi.はタイラー・ザ・クリエイター主催のCamp Flog Gnaw Carnivalのステージに立つ。ラインナップにはNatanya、そしてSZAのお気に入りのひとりであるスティーヴ・レイシーも名を連ねる。
「スティーヴのそばにいて、彼の声が持つ深く生々しい響きや、笑い声、そして彼の”牡羊座の金星”らしいスパイシーさを体感したことで、文字どおり生き返った」とSZAは7月、ふたりのコラボ曲「is it cool?」のリリース後にInstagramへ投稿した。「彼がアルバムのデモを聴かせてくれて、私は泣いた」。好きな曲について飾らず、心からの言葉で語るからこそ、彼女の音楽センスは信頼できる。今年初めには、RAYEの『THIS MUSIC MAY CONTAIN HOPE.』からのシングル「Click Clack Symphony.」を何度かリポストし、「本当に彼女には畏敬の念を抱いてる」と書いていた。

SZAが最近薦めたアーティストのひとりが、ラゴス生まれのシンガーソングライター、Solanaだ。このナイジェリア人アーティストは、「Okunkun」や「Dide」といった楽曲で世界へ届くことを目指している。彼女はほぼ全編をヨルバ語で歌い、アフロポップのビートに乗せて、生命力あふれるポップ・プロダクションのなかにその歌声を溶け込ませている。「SZAが私を投稿してくれた」と、SZAと同じ名前を持つSolanaはInstagramに書いた。「文字どおり、頭が追いつかないくらいすごい」。今年初め、SZAはアフロポップ界の超新星、アイラ・スター(Ayra Starr)の「Hot Body」も紹介している。彼女の3作目のスタジオ・アルバム『Starrgirl』は8月14日にリリースされた。

アルゴリズムには見つけられない「次に来る音」

SZAは音楽を聴くとき、本当に深くまで聴き込む。
今年6月、オリヴィア・ロドリゴはBBC Newsに、グラミー賞でSZAと偶然出会った際の、自分にとって大きな意味を持つ出来事について語った。「彼女が、ソングライティングを研究するために私の曲を聴き込んだと言ってくれたんです。それは今まででいちばんうれしい褒め言葉でした。だって、彼女は現存する最高のソングライターのひとりだと思っているから」とオリヴィアは話した。SZAはこれまでも、新しい音楽を作り、それを世に送り出す過程で抱えてきた不安について率直に語ってきた。世代を象徴するデビュー作『Ctrl』から、その次作『SOS』までは5年を要した。だが、待っただけの価値はあった。そしてその間に、SZAはアーティストとしても、ひとりの人間としても、いっそう鋭敏な感覚を身につけていった。彼女は音楽におけるAI利用に明確に反対の声を上げてきたほか、人と人とのつながりが分断され、共感が失われていくことへの懸念も表明している。

「私たちはコミュニティや連帯感によって力を得られていない」とSZAは今年初め、『i-D』に語った。「私たちにはそれがない」。AIの脅威にさらされてもなお、人と人とのつながりが生き残れる場所がひとつあるとすれば、それは音楽なのかもしれない。
「私はポップの女性アーティストたちと競っているわけじゃない。R&Bの女性アーティストたちと競っているわけでもない。私が対峙しているのは、反知性主義と、楽なやり方で済ませようとすること」と彼女は語った。「私という人間が経験してきたものから生まれる、さまざまな情報の混ざり方なんて、AIにどんなプロンプトを与えたって、到底かなうものじゃない」。SZAが仲間たちや次の世代を自然に持ち上げ、称えることができるのは、彼女たち全員が同じ戦いをともにしていると理解しているからだ。今、何が”熱い”のかなら、アルゴリズムでも教えてくれるかもしれない。だが、次に何が来るのかを見抜くことにかけて、SZAには特別な勘がある。

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From Rolling Stone US.
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