◆プロボクシング ▽WBA世界ライトフライ級(48・9キロ以下)王座決定戦12回戦 〇同級1位・吉良大弥―同級2位・カルロス・カニサレス●(9月2日、横浜BUNTAI)

 WBA世界ライトフライ級王座決定戦で、同級1位の吉良大弥(23)=志成=が元WBA・WBC同級王者で同級2位のカルロス・カニサレス(33)=ベネズエラ=を7回38秒、TKOで下し、新王者に輝いた。3回に相手の大振りの右をかわして打ち込んだ左でダウンを先制奪取し、4回以降も攻勢を緩めず勝ち切った。

7回にカウンターの左フック一発でリングに沈めた。デビュー5戦目での世界王座獲得は、元世界4階級制覇王者・田中恒成(畑中)に並ぶ日本男子最速記録となった。 

 WBAのベルトを肩から下げ、勝利者インタビューを受けた吉良は「重たいです」とにやり。

 日本最速タイ5戦目での勝利に「もともと狙ってやってたけど、この試合に勝つことを目標にしていたのでうれしいです。(観客が)見ているより、楽な展開じゃなかった。展開つかめていたが、体力的にどうかなと思ったので終盤に決めに行こうと思ってた」と語った。

 最後のラウンド直前にジムの先輩、4階級制覇の井岡一飛から「相手もしんどいから頑張っていけ」と声をかけられ「試合中、ラウンド中でもしんどいと言っていないのに、予測できているのがさすがやなと思った」と振り返った。

 所属する志成ジムは、24年7月に井岡一翔が王座陥落して以来、7戦連続で世界戦勝利から遠ざかっていた。ジム最年少23歳の吉良が、待望のベルトを持ち帰った。また国内現役世界王者では、28歳のWBAバンタム級王者・増田陸(帝拳)を上回る最年少王者となった。

 カニサレス以上の難敵が、自身の減量だった。同門のWBA世界スーパーフェザー級4位・堤駿斗(27)らの減量を指導する元ウエルター級日本ランカー・海藤正晴氏(37)のサポートを受け、毎日の食事のメニューやグラム数を管理。

食事は自炊。「味付けもクソもない。練習でエネルギーが出ればいい。もう『エサ』だと思って我慢している」。計量前夜には、水抜きで4・5キロを一気に落とし、パンツを脱いで全裸になりリミットちょうどで計量をクリア。「自分に勝たないと相手に勝てない」。自分との戦いにも勝利していた。

 世界挑戦に向け、10月に国内最速タイ記録となるデビュー3戦目での東洋太平洋王座獲得に挑む「ザ・サンダー」片岡雷斗(20)=大橋=とスパーリングを行った。片岡は「パンチもあってスピードもある。志成ジムならではなのか、井岡一翔さんのような歩きながらのジャブが独特なタイミングで初めての感覚だった」と証言。吉良とともに次世代のボクシング界を背負うスーパーホープは「自分も早く追いつきたい」とライバル心をのぞかせた。

 吉良は24年6月のデビュー当時から「世界王者は通過点。

パウンド・フォー・パウンド(PFP=全階級を通じての最強ランキング)1位を目指している」と公言。ジムと東農大の大先輩である元世界4階級制覇王者の井岡も「超えないといけない」存在として見据えている。偉大な先輩の背中を追いかける23歳の新王者が、名王者への道のスタートラインに立った。

 ◆吉良 大弥(きら・だいや)2003年5月30日、大阪・門真市生まれ。23歳。父・学さんのジムで4歳からキックボクシングを開始。小学1年から柔道とボクシングを始め、中学からボクシングに専念。奈良・王寺工高では1年でアジアジュニア選手権50キロ級優勝、2年で高校選抜、3年で高校総体を制覇。東農大に進学したが、パリ五輪出場のチャンスが絶たれたため2年で中退しプロ転向。アマチュア戦績は46勝(16RSC)6敗。24年6月にプロデビュー。家族は両親と元キックボクサーの姉2人。

身長163センチの右ボクサーファイター。

 ◇日本人男子の世界王座獲得スピード記録◇

順位 試合 選手名(当時年齢)   年・月・日 獲得王座 王座獲得時の戦績

1    5 田中 恒成(19) 15・5・30   Ⓞミニマム 5勝(2KO)

       吉良 大弥(23)  26・9・2   Ⓐライトフライ 5勝

2    6 井上 尚弥(20) 14・4・6   ⒸLフライ 6勝(5KO)

3    7 井岡 一翔(21) 11・2・11   Ⓒミニマム 7勝(5KO)

   重岡 優大(26)  23・4・16     Ⓒミニマム暫定 7勝(5KO)

   松本 流星(27)  25・9・14 Ⓐミニマム 7勝(4KO)

6    8 辰吉 丈一郎(21) 91・9・19 Ⓒバンタム 7勝(6KO)1分け

   名城 信男(24) 06・7・22 ⒶSフライ 8勝(5KO)

   京口 紘人(23) 17・7・23 Ⓕミニマム 8勝(6KO)

【注】年齢は王座獲得時。獲得王座のⒶはWBA、ⒸはWBC、ⓄはWBO。Lはライト、Sはスーパー。

編集部おすすめ