2日のプロボクシングWBA世界ライトフライ級王座決定戦で7回TKO勝ちし世界王座を獲得した吉良大弥(23)=志成=が3日、東京・目黒区の志成ジムで一夜明け会見を行った。元世界4階級制覇王者・田中恒成(畑中)に並び日本男子最速となるデビュー5戦目で戴冠した新王者は、日本人初の5階級制覇という壮大な野望を掲げるとともに、2階級、3階級と階級を上げても最速記録を狙う意欲を示した。

 吉良は元WBA・WBC同級王者カルロス・カニサレス(33)=ベネズエラ=を7回に左フック一撃でリングに沈めた。デビューから累計19ラウンドでの王座獲得は、井上尚弥(大橋)の36ラウンドを大幅に上回る日本男子史上“最速”記録となった。

 偉業を成し遂げた23歳の表情は、落ち着き払っていた。「昨日はめちゃくちゃ嬉しかったですけど、今はなんか心に穴が空いているみたいな感覚なんですよ。どうしよう、う~ん、という感じですね」。目標だった世界王者の夢だけを見て走り抜けてきたからこその空白だった。

 前夜の睡眠はわずか1、2時間。ひたすら自分の試合映像を見返した。「リングの中にいる時の自分と、リングの外にいる時の自分が違いすぎて、『この選手すごいな』と思って見ていました。僕にはできないです」。まるで別人を見るように、自分自身のKOシーンに感嘆した。

 プロ5戦目で、持っていた技術を世界の舞台で自在に引き出した。

ディフェンス面でも、ガードで受けるだけではなく、肩でいなし、足でさばき、距離に応じて構えを変える。「いろんなディフェンスでかく乱できればと思っていた。練習していた通りにできた」。試合を決めた左フックも「スパーリングでも同じような展開があった。練習通りにいったんだなと思う」と練習の成果を実感していた。

 一方で、勝利の要因を問われると、技術よりも周囲との関係を挙げた。「自分の感覚だけでなく、チームやトレーナーに言ってもらったことをどこまで受け入れるか。取捨選択できるところが一番の勝因。成長したのは気持ちの面。技術もそうだが、気持ちの面は志成ジムじゃないと成長できなかった。個人競技だが、周りの支えがあって、チームみんなで作ってきた」。志成ジムのチームでつかみ取った勝利であることを強調した。

 次なる野望を問われると「やっぱり5(階級制覇)ですかね」。プロ転向に導いてくれた同門の元世界4階級制覇王者・井岡一翔(37)も2階級で4団体統一を果たした井上尚弥も成し遂げていない、日本人初の偉業を見据えた。

 減量も厳しいことから、フライ級への転向も視野に入れる。「ジムからは『1回落ち着いて考えてみて』と言われたので、まだ考えようかなと思っている」。次戦は志成ジム主催の大みそか興行となることが有力。WBAからはWBA休養・WBOライトフライ級統一王者レネ・サンティアゴ(プエルトリコ)との団体内統一戦を指令されているが、フライ級でのノンタイトル戦となる可能性もある。フライ級に転向する場合は「王者はみんな強いので、ベルトを狙えるなら、誰とでもやりたい」と早期の2階級制覇挑戦にも意欲を見せた。

 日本男子最速タイの5戦目で世界王座を獲得し、2階級制覇以降も最速記録更新を狙う権利を得た。2階級制覇はワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)の7戦目、3階級制覇はロマチェンコと田中恒成の12戦目、4階級制覇は田中の21戦目が世界最速記録だ。「そういうのを狙えるなら、タイミング的に狙っていきたいですね。誰でもできるわけではない。今の自分の立場でしかできないことに価値があると思うので、そこを狙いたいです」。

ボクシング史の時計をどこまで早送りできるか。

編集部おすすめ