アイスコ 相原貴久社長 「現場第一」で描く2030年 卸機能を強くする新たな挑戦
FROZEN JOE’S ジョイナステラス二俣川店
 1948年の創業以来、首都圏、東海エリアを商圏にアイスクリーム・冷凍食品流通を支えてきたアイスコ。2024年3月期には売上高500億円を突破した。
2021年4月に東京証券取引所JASDAQ市場へ新規上場し、2022年4月の市場再編に伴いスタンダード市場へ移行した。2026年3月期は売上高577億1600万円(前期比5・5%増)、営業利益7億8200万円(同24・6%増)と増収増益を達成した。「ICECO VISION2030」では売上高1000億円、営業利益25億円、営業利益率2・5%を掲げ、物流基盤への投資と新事業を両輪に成長を目指す。
 
 第2次中計の基本方針は「環境変化への徹底対応」だ。世界情勢や円安、人手不足など環境が変化するなか、「柔軟性をもって素早く対応していくことが重要」と相原社長は語る。主力顧客であるディスカウントストアやドラッグストアの食品強化は追い風だが、物流コスト上昇や人材確保など課題も多い。市場の成長に甘んじず、物流機能やサービスを磨き続けてきたことが成長につながっている。同社最大の強みは、自社物流によるフルメンテナンスサービスだ。関東から東海エリアに15拠点、約400台の配送車両を保有し、配送に加え、売場への陳列や商品補充、代理発注、売場改善提案まで社員ドライバーが一貫して担う。売場まで自社社員が担うことで、現場の課題や消費者ニーズを直接把握できる。

 2026年12月には約42億円を投じた関東マザー物流センターが稼働予定だ。同社初の冷凍立体自動倉庫の導入に加え、在庫を持たない通過型物流センター(TC)のサテライト拠点を展開。
将来的にはさらなる物流ネットワークの拡充も視野に持続可能な物流体制の構築を目指す。

卸機能を強くする新たな挑戦

 小売事業も同社の競争力を支えている。地域密着型の食品スーパー「スーパー生鮮館TAIGA」を展開しており、2026年9月には荏子田店を開業する予定だ。冷凍食品専門店『FROZEN JOE’S』は4店舗を展開する。FROZEN JOE’Sは2022年12月の1号店開業以来、神奈川を中心に店舗を増やし、2025年9月には調布PARCO店を開業し、東京都内にも進出した。現在は、既存店舗の運営品質の向上と収益モデルの確立を優先しており、その方向性が固まった段階で今後の事業展開を検討する。

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FROZEN JOE’S ジョイナステラス二俣川店

 同事業は単なる小売店舗の拡大が目的ではない。アイスクリーム・冷凍食品卸として培ってきた調達、開発、物流の機能と、スーパー運営で蓄積した店舗づくりのノウハウを掛け合わせ、「卸機能をさらに強くするための挑戦」と位置付ける。

 全国各地には、地域で支持されながら全国にはまだ知られていない冷凍食品や、ご当地グルメ、特産アイスなどが数多くある。FROZEN JOE’Sでは、こうした商品を発掘して売場で提案する。メーカーにとっては商品の魅力を消費者に直接伝える場となり、消費者にとってはこれまで知らなかった商品や食との出会いにつながる。
さらに、店舗で得られる消費者の反応を商品開発や品揃え、卸売の提案にも生かす。
「スーパーを運営しているからこそ売場や消費者の変化が分かり、提案力につながる」と相原社長。小売を実験・検証の場として活用し、卸売へ還元する循環をつくることで、同社ならではの競争力を高める。

 今後は店舗数を増やすだけでなく、店ごとの品揃えや商品開発、プライベートブランド(PB)などにも取り組み、FROZEN JOE’Sそのものの価値を高めていく考えだ。単身世帯の増加やライフスタイルの変化を背景に、冷凍食品市場は成長が続くと見通す。「おいしさの向上だけでなく、食生活そのものが変わり、冷凍食品の役割はさらに大きくなる」と期待を寄せる。

 相原社長が何より大切にするのは「現場第一」の考え方だ。配送、倉庫、営業、スーパー店長まで現場を経験してきた。「本部は現場が仕事をしやすくするためにある」とし、配送部門では週休3日制を導入するなど、人材育成や働きやすい環境づくりにも力を入れる。「社員が気持ちよく働き、幸せになれる会社でありたい」。人と物流への投資を惜しまず、卸売と小売の両面からフローズン市場の可能性を追求する。物流基盤を強化するとともに、FROZEN JOE’Sを新たな商品・市場を生み出す場へ育て、現場力と変化への対応力を強みに「ICECO VISION 2030」の実現を目指す。

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