キリン「陸ハイボール」の初動をビッグデータで分析 発売1週間でカテゴリ3位へ躍進した理由とは?
シェアの変化
 リサーチ・アンド・イノベーションの西村まどか氏が、スマートフォンアプリ「CODE(コード)」から収集される毎月約30万人の購買データから、話題の新商品の初動をリポート。今回取り上げるのは、8月25日に全国発売された、キリンビールの「陸ハイボール」。
「飲みやすい缶ハイボール」として「キリンウイスキー陸」ブランドから発売された注目の新商品だ。以下、西村氏が語る。

 はじめに、ハイボールカテゴリにおけるブランド別金額シェアの変化を確認した(図1)。「陸ハイボール」発売の1週間前は主要ブランドが上位を占めていたが、発売後1週間で「陸ハイボール」のシェアが3位に急浮上した。

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 ハイボールカテゴリにおいて早々に大きな存在感を見せた「陸ハイボール」だが、その購入者はメーカーの狙い通りだったのだろうか。

 キリンビールの調査によると、飲食店を中心にハイボールを楽しむ人が増える一方で、缶ハイボールは「飲みにくい」というイメージから、自宅では敬遠する人が一定数存在しているという。同社はこうした背景に着目し、「普段缶ハイボールを選ばない人」を本商品のターゲットに据えている。

 実際の購買データにその結果はどう表れているのか。「陸ハイボール」購入者の直近1カ月のハイボール購入履歴を確認した(図2)。すると、購入者の半数以上が「ハイボール購入履歴なし」であることが明らかになった。つまり、同社の狙い通り、これまで缶ハイボールを飲んでこなかったノンユーザーの購買意欲を喚起したと言える。

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ハイボール購入履歴の有無
ハイボール購入履歴の有無

 では、この「ハイボールノンユーザー」は、どのカテゴリから流入してきたのだろうか。


 彼らが直近1カ月に購入していた商品を確認すると、ビールからの流入が目立つ(図3)。毎日の晩酌の定番であるビール市場からユーザーを取り込めているという点からも、「陸ハイボール」は「自宅で気軽に飲める缶ハイボール」として受け入れられたと考えられる。

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購入者の流入元上位
購入者の流入元上位

 さらに、ビールカテゴリから流入した人の性年代を確認すると、40代男性の割合が最も高かった。元々40代男性はビールとハイボール市場におけるメイン顧客である。規模の大きいビール市場から40代男性をさらに取り込むことで、ハイボールカテゴリの主要顧客基盤の強化に成功したと言えよう。

 また、特筆すべきは「陸ハイボール」の発売によってハイボールカテゴリ自体の売上が9%増と伸長している点だ(図4)。発売後は角ハイボールやブラックニッカなど主要ブランドの売上金額がやや縮小したことから、「陸ハイボール」はカテゴリ外からの新規流入を促すとともに、既存ブランドからのスイッチも獲得していることがわかる。

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カテゴリの売上牽引
カテゴリの売上牽引

(※サントリー トリスハイボールは同時期の販促実施により売上が伸長)

 最後に購入者の口コミを確認した。「クセがなく飲みやすい」「スッキリしている」といった従来の缶ハイボールがもつ重いイメージを覆す声が目立った。また、「ほのかな甘みや芳醇な味わい」など、「キリンウイスキー陸」ならではの風味の良さも高く評価されている。

 飲食店さながらのクオリティを自宅でも楽しめるハイボールとして好発進を切った本商品が、今後のハイボール市場をどのように牽引していくのか、引き続き注目したい。

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