ゲーム化した戦争、民間企業の防衛テック参画はなんのため?の画像はこちら >>

陸上自衛隊はドイツ企業ヘルシングの迎撃用ドローン、攻撃型ドローンの実証実験を進めており、楽天は防衛省へ納入する際の窓口となる予定(写真は攻撃型ドローン「HX-2」)

あらゆるメディアから日々、洪水のように流れてくる経済関連ニュース。その背景にはどんな狙い、どんな事情があるのか? 『週刊プレイボーイ』で連載中の「経済ニュースのバックヤード」では、調達・購買コンサルタントの坂口孝則氏が解説。
得意のデータ収集・分析をもとに経済の今を解き明かす。今回は「防衛産業にコミットする企業」について。

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イラン戦争でもっとも株を上げたのは米国のAI企業に違いない。AIが作戦を考え、標的をセットする時代になった。1991年の湾岸戦争でGPSが攻撃に使われたように、最新テクノロジーは戦争を起点に発展する。

防衛テック企業として一躍有名になったパランティア・テクノロジーズの創業者アレクサンダー・C・カープ氏が書いた『テクノロジカル・リパブリック』(日本経済新聞出版、ニコラス・W・ザミスカ氏との共著)は感動的ですらあった。

米国のテック企業は何をしているのか。優秀な頭脳を使ってSNSを生み出しただけではないか。国防に身を賭して、有事の現場でひたすら試行錯誤をする自社を見よ、と。

日本は戦後81年を迎えた。81年間、戦争をしていないという意味でもある。われらの為政者は偉かったと思うよ。

傍若無人な国に囲まれているなかで、これからも戦争しない・させない国であるために、防衛産業にコミットする企業が多くなるのは必然だ。だって、丸裸だったら攻められちゃう。戦争反対って日本政府に言っても意味ないよね。日本自ら攻めようと主張するひとはいない。外国が攻めてくるんだから。

楽天グループはドイツのドローン企業ヘルシングと提携し、サカナAIも自衛隊の研究を受託した。とくにEC領域でドローン事業に注目し、ドローン操縦資格取得のスクールも手掛けてきた楽天の連携は必然ともいえる。テクノロジー活用の差異によって、日米が連携するときの対処能力にギャップを生じさせるわけにはいかない。追随は急務だろう。

驚くのは軍事用ハードウェアの変化で、たとえば原子力潜水艦では潜望鏡の操作スティックがゲームコントローラーに置き換わり、レーザー兵器、爆発物処理ロボット、防空システムでも同様の変化が起きている。若年層の兵士がすんなりと兵器システムを扱えるようになるという。

湾岸戦争は"ニンテンドー・ウォー"と呼ばれ、「まるでゲームみたいだ」といわれたが、いまやゲームエンジンのUnreal EngineやUnityが防衛分野のシミュレーションに使われている。

比喩を超えて、実際に戦争がゲーム化しているのだ。

通販サイト『通販生活』を運営するカタログハウスは、楽天市場からの撤退を発表した。楽天の動きが同社の理念や平和主義と相容(あいい)れないと判断したためだ。

日本だけではない。グーグルが米国防総省の仕事を受けて従業員が猛反発した例があるし、OpenAIでもLLM(大規模言語モデル)を国防インフラに供給したことが幹部の離脱と消費者の解約を招いた。ChatGPTならぬ"QuitGPT"なるハッシュタグ運動まで登場したほどだ。

防衛テックへの参画は、多額の政府調達を享受するかしないか、きわめて政治的な踏み絵だね。

ここからは私見。私は楽天の防衛テック参画に賛成する。地政学的にも日本の国防は強化せざるをえない。またイスラエルしかり、どんな国も軍事・防衛からテクノロジーが発展し、経済にも寄与してきた。

日本は自ら攻めない。

これは皮肉だが、そんな自主性があればテクノロジーがこんな体たらくになるはずはない。ゲーム大国である日本の国防の未来は、あのコントローラーが握っている。場合によっては「ゲーム好きすぎて滅」?

写真提供/Helsing

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