通算対戦成績は1勝2分11敗。
森保一監督から相手のエースであるヴィニシウス・ジュニオール封じのキーマンに指名されたのが、3バックの右に入った冨安健洋だった。ご存じの通り、冨安は2018年秋の森保ジャパン発足初期からの主軸。2022年のカタール大会にも参戦し、第2次体制では吉田麻也の背番号22を継承した。守備リーダーとしてチームをけん引していくはずだった。しかし、2024年6月を最後に長期離脱。一時は無所属の時期もあり、約2年間も代表から遠ざかったのだ。
それでも森保監督は「冨安はワールドカップに間に合うと思っています」と言い続け、辛抱強く復帰を待ち続けた。3月のイングランド遠征にも加われなかったが、指揮官は最終メンバー26名に抜擢。このブラジル戦に向けても、25日のスウェーデン戦で温存し、万全の状態でぶつけてきた。
こうした指揮官の行動を見ても分かる通り、冨安には特別な信頼を寄せているのは間違いない。
ところが、後半に入ってブラジルがクロスを多用してくると日本は防戦一方に。クロスからカゼミーロに同点弾を決められた。「結局、相手陣内でどれだけボールを保持できるかというところはどのチームでも大事ですし、その時間を増やすことで失点の確率も減る。でも、それはみんな分かっていることですし、それでできるほど簡単じゃない」と冨安は難しさを感じたという。案の定、日本はズルズルと下げられ、押し上げられないまま終盤に突入してしまった。
森保監督らベンチは延長戦突入を想定。1−1でクローズさせることを考えていたが、まさかの自体が起きる。
「なんて言ったらいいか難しいですけど、あっけなく終わったなと。セカンドハーフの戦い方を踏まえても、日本はまだ強豪国と対等に渡り合えるレベルじゃないのかなというふうに痛感させられた。ボールを持ってる・持ってないに関わらず、守備時でも主体的にやることができないと、彼らとは対等に渡り合うことはできない。着実に前進しているとは感じますけど、個人的にはまだまだなんだろうなと思います」と冨安はあえて厳しい目線で自分自身、そしてブラジルに敗れた日本代表を評価していた。
本当に辛く苦しい結末になってしまったが、冨安自身にとっては復活を印象付けた大会になったと言える。ピッチに立ったのは、初戦のオランダ代表戦の後半30分以降と、第2戦のチュニジア代表戦の78分間、そしてブラジル代表戦の90分とプレータイムも伸び、強度や球出しの部分でも試合を追うごとに磨きがかかってきた。ここからもう一度、いいキャリアを踏み出せそうな印象を残したのは事実。それは日本代表の今後に向けても朗報と言える。
「こんな状況でワールドカップに選んでもらって、試合に出させてもらったことに関しては、本当に森保さんに感謝しかない。
冨安は時折、声を詰まらせながら、涙を流し、森保監督への心からの感謝を口にした。そこまでの強い絆があったからこそ、「森保監督のために勝ちたい。優勝したい」という思いも湧き上がってきたはずだ。結果的にそれは叶わず、指揮官との共闘もこれで一旦の区切りとなったが、日本代表活動やクラブでのプレーは続いていく。次の4年間こそが、冨安にとっての本当に勝負。2026年の経験を生かし、背番号22はさらなる進化を続けていくしかない。
取材・文=元川悦子
【動画】ブラジルを追い詰めるも、後半ATに悲劇…

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