◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 7月の大相撲名古屋場所で、幕下・旭富士(24)=伊勢ケ浜=の序ノ口デビューからの連勝記録が歴代3位の25で止まった。約4年半の研修期間を経て、初土俵から第63代横綱のしこ名を継いだ規格外の新弟子。

それでも届かなかった歴代1位は、佐久間山(後の元小結・常幸龍)の27連勝。当時、重圧にどう向き合っていたのか。元常幸龍の佐久間貴之さん(38)を訪ねた。

 佐久間さんが記録に挑んだのは21連勝で迎えた12年初場所。白星を重ねるごとに歓声が増すのを感じた。7戦全勝なら幕下から新十両が狙えた。意識は連勝記録ではなく関取の座に向いていた。学生横綱に輝いた日大在学中、父が病気のため他界。卒業まで支えてくれた母を「早く上がって楽にさせたい。1個でも負けたら昇進はない。負けてたまるか」との一心だった。

 当時1位の元小結・板井の26連勝に並んでも、新記録を打ち立てても、感慨はなかった。

だが、最後の7番相撲で突然、重圧に襲われた。「朝から顔色が悪かったとみんなに言われた。考えないようにしていたけど、十両を意識して体が自然と硬くなっていた」。土俵での記憶はおぼろげ。「気付いたら立ち合いで当たっていて、やばい、失敗したと思った瞬間に投げられた」と初黒星を回想した。

 旭富士にはデビューから「将来の横綱、大関になる人間」と注目してきたという。自身の記録も再度脚光を浴び「ギネスに申請しておけば良かったかな」との思いもよぎった。22年に引退し、現在は高校の教員免許取得を目指して勉強中だ。「強い子を育ててプロに送りたい」。いずれは教え子から記録に挑む力士が現れることを期待したい。(大相撲担当・林 直史)

 ◆林 直史(はやし・なおふみ)07年入社。五輪は4大会取材。

25年から大相撲担当。

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