猛暑を背景に、塩入りキャンディ市場が拡大している。従来の塩あめやタブレットに加え、今夏はグミなど新たな商品も加わり、「塩」を切り口とした市場のすそ野が広がっている。
長らくこの市場をリードしてきたのは、カバヤ食品の「塩分チャージタブレッツ」(以下、塩分チャージ)だ。同品は、汗で失われる塩分とカリウムを手軽に摂取できるラムネタイプのタブレット菓子として、2009年に発売したもの。当時は熱中症という言葉すら浸透していなかったが、食べやすさや携帯性で支持を得て、認知を広げてきた。
現在、「塩分チャージ」の売り上げは、10年前の5倍以上に成長している。インテージSRIにおける塩分味・塩味カテゴリーでは、5年連続で金額シェア1位を獲得。売れ筋のスポーツドリンク味に加え、塩レモン味、梅味の3種を展開している。
26年3~6月の出荷実績は、前年同期比約30%増だった。26年度から通年で展開し、ブランドの位置づけは「夏の暑さ対策」から「発汗時の必需品」へと変わった。「大切なのは、暑くなったタイミングで商品が認知されていて、売り場にきちんと並んでいること。需要期に向けた先行出荷も功を奏している」と同社広報部長の山口愛一郎氏。本格的な暑さが到来したことで店頭での存在感が高まり、販売も好調だ。
■「発汗時の必需品」として訴求
同社では通年化に伴い、スーパーやドラッグストア、コンビニエンスストアなど従来の販路に加え調剤薬局やスポーツ専門店などへ販路を広げていくという。オンタイムの職場における暑さ対策、企業の福利厚生など、法人需要の開拓も進めていく。同社ブランドマーケティング本部ブランド企画部清涼菓子課の鈴木沙知氏は、「最近では『暑いから塩分チャージしなきゃ』という声がSNSなどで聞かれるようになってきた。商品の枠を超え、暑さ対策の習慣として、塩分を補給する重要性が認知されてきたと感じている。今後は夏場だけでなく、汗をかいたときには水分とあわせて『塩分チャージ』を習慣化していただけるよう、さまざまな食シーンを提案していきたい」とする。
■「inタブレット塩分プラス」と「inゼリーミニ塩分+」
「塩分チャージ」と並び、市場で存在感を示すのが森永製菓の「inタブレット塩分プラス」だ。発汗で失われる塩分とブドウ糖を手軽に補給でき、クエン酸、ビタミンC、ビタミンB群(5種)を配合している。26年4月~6月の同品の売り上げは、前年に比べて気温が低かったことから計画は下回ったが、7月中旬以降は暑さが厳しくなってきたこともあり、好調に転じている。
同社は、inブランドおよび新商品「inゼリーミニ塩分+」において、竹内涼真さんを起用したプロモーションを展開している。「inタブレット塩分プラス」や「inゼリーミニ塩分+」の認知拡大とトライアル獲得に向け、Web広告の配信をメインに電車ドアやバス停、屋外サイネージなどの交通広告に加え、音楽フェスやアスレチック、ゴルフ場等でのサンプリングを実施した。同社では、「今まで商品を知らなかった方、食べたことがなかった方に知っていただき、試していただく機会を創出できた」としている。
■カンロは塩入りの飴やグミを大幅に拡充
また、カンロは春夏シーズンに向けて飴やグミなど、塩入り商品を前年の8品から15品へと大幅に拡充した。塩分補給に加え、気温に左右されずに夏場を楽しめる商品として、夏のキャンディ需要を幅広く取り込む考えだ。
25年も発売していた塩入り商品のうち「塩カンロ飴」の26年5~6月の売り上げは、計画比4.8%増、「やわらかはちみつ梅」は同16.2%増と好調に推移した。
塩を取り入れた商品を増やすねらいについて、同社マーケティング本部CX推進部の高田橋輝一氏は「1年の半分が夏と言われるほど夏が長期化し、春や秋が短くなっている。夏の暑さ対策へ向けて、キャンディのリーディングメーカーとして提案できることがある」と強調。商品選択の基準が多様化するなか、塩配合による機能性と菓子の持つ情緒的な価値の両立をめざし、新商品を開発したという。
その象徴が、「金のミルク」ブランド初の塩フレーバー「金のミルクキャンディ 塩ミルク」だ。北海道産生クリームの濃厚でまろやかな味わいを保ちながら、ドイツアルプス産の岩塩「アルペンザルツプレミアム」を練り込んだもの。開発にあたり、当初は大粒の岩塩も検討したが塩味が強く、なめた際にざらつきが出たため、粒子の細かいアルペンザルツに変更したという。
また、「やさしい塩グミ」は、グミのゼラチンと塩の配合の難しさを果物由来のペクチンを使うことで解消し、商品化にこぎつけた。マイルドな塩味と咀嚼しやすいやわらかな食感が特徴的だ。硬いタブレットが食べにくい子どもやシニア層の利用も想定している。「グミはもともと、外出時などに携帯して食べる行動食だといわれる。塩味系との相性もいい」と高田橋氏。
こうした動きに呼応するように、塩を打ち出したグミの提案が広がりを見せている。ブルボンは、「ミネラル塩」シリーズの飴に続く新商品として、「ミネラル塩グミ ソルティライチ味」をコンビニエンスストア、鉄道ルートなどで限定発売した。アイスやゼリー飲料も新たに投入し、シリーズ全体でさまざまなミネラル摂取ニーズに対応していく。
不二家は、塩とクエン酸入りの「塩レモンスカッシュグミ」を今夏も限定発売した。ロングセラー飲料「レモンスカッシュ」と同じシチリア産レモン果汁とレモンピューレを使い、ひんやりとした触感で夏向きに仕上げている。
暑い季節の長期化と酷暑により、塩入りのキャンディは暑さ対策の機能価値に加え、暑い季節でも抵抗感なく楽しめる菓子として存在感を増している。タブレット、飴、グミへと広がる横展開により、キャンディ市場はますます活性化しそうだ。









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