先週、東京・北区の小学校で火事がありました。4階から火が出て、子どもたちは外の「ひさし」の上に避難したと伝えられていますが、「『救助袋』を使おうとしたけど、うまく使えなかった」という先生の話も出てきました。

救助袋。使ったことのある人は、ほとんどいない…。

「垂直式」と「斜降式」、小学校にあるのはどっち?

改めてどんなものなのか。避難器具を作る「オリロー株式会社」の家崎 典久さんに伺いました。

オリロー株式会社 家崎典久さん

「垂直式」というタイプと、「斜降式(しゃこうしき)」タイプのというものの、2種類あります。

「垂直式」というのは、布がまっすぐ降りていて、中の布が螺旋の滑り台みたいになって、くるくると回りながら降りていく。「斜降式」というのは滑り台みたいに斜めに降りていく、布の滑り台みたいな感じになっているものが斜降式というタイプになります。多分小学校であれば校庭とかががありますので、斜降式だったのではないかなとは思いますけど、斜めに下りるタイプ。

火事になったらとにかく階段、非常階段とか階段で逃げられるなら逃げてください、先に。で、階段が煙とか火で巻かれて取り残された方は避難器具から逃げてくださいと、地上まで逃げてきてくださいという使い方ってことになるので、別に人数制限してるわけではないので。あくまでも取り残されて、要は階段使えなくなってしまった方が使うという感覚でいていただく。

【救助袋の使い方】訓練や体験時の注意点と設置手順の画像はこちら >>
<左が「斜降式」。右が「垂直式」>

救助袋は2種類あります。

外から見るとまっすぐストンと筒状の布が垂れ下がっている「垂直式」と、布の筒を滑り台のように斜めに設置する「斜降式」があるそうです。今回の北区の学校はこの滑り台タイプの「斜降式」と報じられています。

素人の自分が、自力で設置できるのか?

では、何も知らない私が、ぶっつけ本番で設置することはできるのか。オリローの屋上で、実際に体験させていただきました。

(田中)では今から救助袋を自力で開けてみたいと思います。蓋を取ります。重い…重いですね。黄色いロープと白い布が目の前にあります。で、黄色いロープに重しがついているんですけど、これを地上に投げるのかな?投げるんですね、投げます!下に人がいるので、その方に受け止めてもらいます。はいっ!

今度は白い布、これを展開していきます。どうするんだ?えー…白い布を、ゆっくり下ろす。重いですけど、するする降りていきます。…はい、完了。

(家崎さん)下に準備している方がいらっしゃれば、全然やってもらえると思うんですけれども、気づかないようであれば、「救助袋を下ろしましたので、下の方でセットしてください!」みたいなのを声掛けした方がいいのかもしれません。下に人がいなければダメ。ただ下で一人いて、ぼーっと立っててもダメですよね。

鉄製のケースに手順が書かれていたので、それを見ながら作業。家崎さんのヒントもあったので、だいたい5分で設置できました。

そして、ぜんぶ「下に人がいる」のが大前提なんです。布を投げ下ろしたあと、地上の人が引っ張って、斜めに張って、地面の金具に固定する。下に誰もいなかったら、布が垂れたままで滑れない。この滑り台式に関しては、上と下の連携が、ポイントになりそうです。

滑ってみた

ここまでが準備。では滑ったらどうなのか。やってみました。

(田中)怖いですね。

(家崎さん)スピードが出たら足広げたり、天井触ればスピード落ちます。閉じちゃうとすごい勢い出ちゃうので。

(田中)紐をつかんで万歳の状態になるってことですか?怖いですね。

(家崎さん)はい、降ります!

(田中)わー!

(家崎さん)ちょうどいいスピードですね。

(田中)終了…?結構スピード出るんですね。

出口の見えない筒に足から入るのは思った以上に恐怖。バンザイの格好で滑るのは怖かったですが、滑ってみたらあっという間でした。

ちなみにこの「救助袋」以外にも、避難器具はいろんなタイプがあるんです。マンションのベランダなら床に箱が埋まっていて、フタを開けると、はしごが出てくる「避難ハッチ」。また、ロープにぶら下がって、自分の体重でゆっくり降りていくタイプ。

【救助袋の使い方】訓練や体験時の注意点と設置手順
<「緩降機(かんこうき)」も体験しました。救助袋のほかに、家崎さんの会社が主力にしているのが「緩降機(かんこうき)」という器具です。
こちらは布の筒ではなく、細いロープ。上半身にベルトを巻いて、そのままぶら下がると、あとは自分の体重でゆっくり降りていきます。ロープを握って力を入れる必要はなくて、建物の壁に手をついて、姿勢を保つだけ。スピードは、だいたい1秒に1メートルくらい。体重によって多少変わるそうです。>

まずは「どこにあるか」を確かめておくことが大事だそうです。

救助袋や避難ハッチは、普段触っちゃダメ?

でも、慣れておきたいからといって勝手に開けて練習してはいけないそうです。

オリロー株式会社 家崎典久さん

点検業者さんとかは結構、点検の時に救助袋を広げたりとか、ロープの長さ動作確認とかはやってると思うんですけれども、じゃあ住んでる方がやってるかっていうと、住んでる方はそこまではやられてはいないんですよね。

結局ですね、本当にあくまでも緊急時のときに使うものであって、普段から練習するとかっていうのは基本的にはやってはいけないものなので。ですから、「避難ハッチ」とかでも緊急時以外触らないでくださいとかっていう表示がうたってたりとかしてるので、点検等をできる免許を持ってる人の立ち会いのもとやってくださいと。

多分慣れてないと、ロープを投げた後とか、布を出すとか、ちょっと時間がかかったりしますかね。

そもそも、避難訓練そのものは、学校でも会社でも実施することが決められていますが、その訓練で救助袋を使うかどうかは、各学校に任されているそうです。

今回の北区の小学校でも「訓練で救助袋は使われていなかった」と報じられています。

だからこそオリローの「無料体験」が貴重な機会なんですが、夏場は暑くてお休み。6月いっぱいまで行って、次回再開は11月以降だそうです。いざというときどう動くか、改めて考えさせられました。

(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』より抜粋)

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