現在開催中のサッカー・ワールドカップ。今朝行われたブラジル戦で、日本は先制したものの終了間際に勝ち越され、惜しくも1対2で敗れました。

ただ、強豪相手に素晴らしい熱闘でしたね。 さて、そんな中、日本では、もう一つの熱いサッカー大会も開かれていました。

試合開始!ロボットサッカーの熱戦

まずは、白熱する実際の試合の音声をお聞きください。

まずは赤チームがボールに触れていきますけども、さあ青チームもしっかりとガードを固めておりますね。2人で押し込み。さあ、いけるかどうか。さあ押し込みたいところ… ゴール!2分40秒、青チーム1点追加です。

今聞いていただいたのは、「OriHime」という遠隔操作ロボットを使ったサッカー大会です。実際のサッカーさながらの熱気ですが、選手たちはグラウンドにはおらず、コートの中を走り回っているのは、小さなロボットたち。

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会場に選手がいない?ロボットで挑むサッカー大会

OriHimeってどんなロボット?

では、このOriHimeとはどんなロボットなのでしょうか。分身ロボットの開発を手がける オリィ研究所 豊津 啓哉さんに聞きました。

オリィ研究所 豊津 啓哉さん

見た目は白いペンギンのような両手がついているようなロボットで、高さ23センチぐらいのものです。遠隔で操作してる人たちの多くは、障害を抱えていたり、または長期入院していてなかなか外出や移動が難しい人たちが、自宅からパソコンや、タブレットを使って、遠隔操作するといったものになってます。操作してる人の中には重度の障害を抱えていてなかなか手を動かせないという人もいまして、そういった人たちは目線でパソコンを操作するという技術を使っています。

会場に選手がいない?ロボットで挑むサッカー大会

〈選手の見ている画面(通常画面)〉

会場に選手がいない?ロボットで挑むサッカー大会

〈選手の見ている画面(視線入力タイプ)〉

ロボットのおでこにはカメラがついていて、車輪のついた専用のカートに乗せると、大人の早歩きくらいのスピードで動くことができます。選手は手元の画面に映る映像を見ながら、矢印を使って前後左右に操作し、ボールを押してゴールを目指します。ちなみに、ゴールのラインを超えると1点、正面のゴールの枠に入ると3点が入る特別ルールです。このOriHimeによるスポーツ大会自体は2020年から始まり、サッカーが競技に加わったのが2024年からです。大会には、病気や障害などでスポーツをすることが難しい29歳以下の人たちが参加しています。年齢も住んでいる場所も違う3人がチームを組み、離れた仲間と声を掛け合いながら試合を進める仕組みで、今年はサッカーに6チームがエントリーしました。

選手が感じるサッカーの魅力

では、実際に大会に出場した選手は、どんな思いでプレーしているのでしょうか。神奈川県の自宅から参加した高校1年生、日向野 福々さんは首から下を動かすことが難しく、顎や口にくわえたスティックでパソコンを操作しながら、何度もこの大会に出場してきました。そんな日向野さんに話を聞きました。

大会出場者 日向野 福々さん

一般のサッカーと同じように、ぶつかったりする要素もあって、難しいからこそ本気になるというか、面白いって感じます。そもそも元から負けず嫌いなんで。やっぱゴールを決められたときですね。特に自分が3点のポイントにボールを入れられたときが一番楽しいです。

会ったことがない人ともやれて、交流も深められるので本当に素晴らしいと思います。 お母さんがいつも後ろで見てるんですけど、お母さんの方が私よりちょっと熱くなってて。このイベントが結構毎年の楽しみになりました。

試合中、選手たちはZoomでつながり、遠く離れた場所にいる仲間とも声を掛け合って作戦を立てています。 以前から、将来、自分の分身としてロボットを遠隔操作して働く、「OriHimeパイロット」になりたいという夢を持っていた福々さんですが、ロボットを使ったサッカーの楽しさを実感し、「これからもOriHimeを活用して色々なことに挑戦したい」と話していました。

会場に選手がいない?ロボットで挑むサッカー大会

この大会に込めた思い

この大会の正式名称は「バイオジェンカップ リモートスポーツ大会」。主催しているのは、難病の治療薬などを提供する製薬会社バイオジェン・ジャパン株式会社です。大会を主催するねらいについてコーポレートアフェアーズ本部長 三井 貴子さんに聞きました。

バイオジェン・ジャパン株式会社 コーポレートアフェアーズ本部長 三井 貴子さん

大変な治療を続けていくためには、治療した先に目標があったり、やりたいことがないとなかなか継続ができない。何もできないと思っている、諦めている子供たちがすごく多かったので、そういう子供たちにロボットを使って、テクノロジーを使ってできることがあるよっていう自信を持ってもらって、前に進んでもらいたいっていうところでOriHimeを使ったスポーツを始めました。みんなと力を合わせてチャレンジするっていうこと、達成感っていうのが1人で達成したことよりも、きっとチームで達成したときの方が大きいんじゃないかなと思うので、そういう喜びを味わっていただきたいなと思います。

この大会は、病気などで外に出ることが難しい人たちに、治療の先にある楽しみや目標を見つけてもらおうという狙いで今年は、OriHimeサッカーとオンラインボッチャの2つの競技で行われています。

今回OriHimeサッカーの予選会を取材しましたが、ここを勝ち抜いたチームが、来月、7月18日の土曜日に行われる決勝大会へと進みます。どんな熱戦が繰り広げられるのか、楽しみですね。

会場に選手がいない?ロボットで挑むサッカー大会

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)

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