次代を担う逸材たち~アマチュア野球最前線 
第18回 創価高校・髙橋将大

 最速は140キロ。まだ粗削りな部分を残す未完の大器かもしれない。

だが、生年月日は2009年3月16日の早生まれで、実質的には高校2年生とほとんど変わらない。それでいて、187センチ、88キロの恵まれた体格を生かした角度のあるストレートに加え、キレのあるスライダー、カーブ、チェンジアップを操る。

 そんな創価高校の3年生右腕・髙橋将大には、「大化けの予感」をひしひしと感じさせるものがある。

【高校野球】エースになれなくてもプロ一本 日米通算170勝右...の画像はこちら >>

【高校卒業後の進路はプロ一本】

「しなりと柔らかさが、一番の武器ですね。あれだけ大きな体で手足も長いのに、それをうまく使えている印象があります。体幹がさらに強くなってくれば、球速が10キロくらい伸びる可能性もありますよ」

 髙橋をそう評するのは、創価高校野球部でアドバイザーを務める岩隈久志氏だ。誰もが知る元メジャーリーガーで、日米通算170勝を挙げ、第2回WBCでは世界一にも貢献した。肩書きを並べれば枚挙にいとまがない大投手だが、一昨年春から部員たちと真摯に向き合い、指導を続けている。

 令和の高校生については、「体づくりから一生懸命に取り組んでいますね。やりすぎなんじゃないかと思うくらい頑張っています」と敬意を示す。

 一方で、「もっと俺はこうなりたい、こんなもんじゃないという気持ちを持ってほしい。夢を持ち、自分を信じてほしいです」とも語る。それぞれが大きな可能性を秘めていることに気づかせ、その可能性を信じられるような指導を心がけているという。

 そのなかで、髙橋は進路を「プロ一本」に絞っている。堀内尊法(たかのり)監督は面談で本人の思いを受け止めながら、進学という選択肢も提案した。しかし、髙橋は「今、チャンスがあるならプロに行きたいです」と迷いなく言いきった。その強い意志と高い将来性を認め、指揮官も夢への挑戦を後押ししている。取材当日もグラウンドにはプロ球団のスカウトが足を運んでいた。

【トレーニングと食事で体重10キロ増】

 髙橋は静岡県富士宮市の出身。中学時代は静岡蒲原リトルシニアでプレーし、静岡県選抜にも選出された。進学先にはさまざまな選択肢があったが、創価高校野球部OBであるふたりの兄の存在や、充実した練習環境に魅力を感じ、進学を決断した。

 そして、入学と同時に岩隈氏がアドバイザーに就任した。「日米で活躍された方が身近にいるなんて、ほかの高校ではなかなかできない経験だと思います。最初は緊張しましたが、聞きたいことを何でも質問できますし、一つひとつ丁寧に答えてくださいます。とくに投球時のバランスやリリースのタイミングについて、よくアドバイスをいただいています」と、感謝の思いを口にする。

 また、入学当時は体重77キロほどと細身だったが、恵まれた施設でのトレーニングに加え、食事面も見直した。

「たくさん食べるようにしました。夕食では、白米だけでも800グラム以上食べています」

 その成果もあり、10キロ以上の増量に成功した。

 岩隈アドバイザーも「最初の印象は『細いなあ』でした。でも、体がしっかりできてきましたね。もともと柔らかさはありましたが、体幹が強くなって、体の芯ができてきたように感じます」と成長を評価する。

 だが、最後までエースナンバーをつかむことはできなかった。

 岩隈アドバイザーは髙橋の課題について、次のように語る。

「安定感ですね。とくに指導者から見て『安心して任せられる』という安定感が必要です」

 それでも「本人も課題を理解したうえでもがき、答えを探しながら頑張っています。その時間は必ずプラスになると思います」と、前向きに評価した。

 さらに、「結果だけを追い求めるのではなく、自分らしいカラーを磨き、目指す技術を身につけてくれたら楽しみですね」と、その大きな飛躍に期待を寄せている。

 迎えた最後の夏。髙橋は「プロに行くというのは、高校野球が終わってからの話です。今はチーム全員で甲子園に行くことだけを考えています」と、きっぱり言いきった。どんな質問にも、まっすぐな瞳で、にこやかに、自分の言葉で答える。その姿からは、夢を追う覚悟と、仲間とともに甲子園を目指す強い決意が伝わってきた。

 きっかけひとつで、驚くような成長や輝きを見せる。それが高校野球の醍醐味であり、高校生の持つ可能性だ。心身ともに大きな伸びしろを秘めた大型右腕が、この夏、誰もが目を見張るような投球を見せてくれることを期待したい。

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