ゲストは、天気が好きすぎる気象予報士・増田雅昭さん。

南米の海で起こる”エルニーニョ現象”なぜ日本に影響する?台風...の画像はこちら >>

今日(8月3日)、涼しいですがなぜ?

東風が吹いて、関東の気温を下げています。

東の海は海水温が低いので、涼しくなりやすいんですよね。ただ、西日本が暑いです。九州各地で40℃予想。熊本は観測史上最高。すでに熱中症対策をされていると思いますが、今日はこれまでで一番の対策をしていただきたいです。

今年もまた記録的な暑さになっています。40℃以上の「酷暑日」が、全国の観測地点が史上最多のペースに。今年は嫌な予感がありました。暑さの名前がついた年のジンクスと言われていることがあって、「猛暑日」という名前がついた2007年は35℃以上が多発して、あっという間に「猛暑日」が定着。年末の流行語大賞に選ばれるほどに。「酷暑日」の名前がついた今年も、すでに定着しそうな勢いです。

今年はエルニーニョの夏!気をつけてほしい3つのこと!

エルニーニョ現象。聞いたことはあるけど、けっきょく何が起こるんだっけ?という人も多いのでは?エルニーニョ現象とは、南米ペルー沖とか、赤道近くの東部太平洋の海水温がいつもの年より上がって、その状態が長い期間、持続する現象です。

半年とか、長い時だと1~2年続きます。

そんな遠くのことで何が問題かというと・・・海水温が上昇すると、その上にある空気の温度や風の流れが例年と変わります。地球というのは面白いもので、一部が変わるとその隣が変わって、その隣も変わる。どんどん例年と違う状況が連鎖していくことがあり、テレコネクションと言われます。

ということで、エルニーニョ現象が起きると、日本周辺もいつもと大気の流れが変わって、天気が違ってくるんですね。しかも、今回のエルニーニョ現象は、大規模。長く、広範囲で続きそうです。最新の予測では、エルニーニョ現象が秋まで続く確率は100%。来年まで続く可能性もかなり高くなっています。

ポイント① エルニーニョで冷夏になりやすいのは昔の話!結局暑い!

エルニーニョ現象が起きると、夏の高気圧の張り出し方が例年より弱くなりがちで、以前は冷夏になりやすい、と言われていました。

でも暑い、ということは冷夏になっていない?

知識のアップデートが必要になってきています。最近は、エルニーニョ現象でも暑いんです。それをハッキリ認識させられたのは3年前。

2023年もエルニーニョ現象が大規模に起こったのですが、この夏は、東京で7月6日~9月7日まで64日間連続で、最高気温が30℃以上。過去最長でした。北海道も暑くて、北日本各地で史上最高気温を記録したんですね。

温暖化で、気温のベースが上がり、エルニーニョ時でも暑くなっています。それと連動して、夏の高気圧が強まる地域が出てきて、記録的な高温になることも。

高気圧が強まるとなぜ暑くなる?

高気圧というのは、空気が空から降りてくる下降気流です。上空から地面に向かってギューッと空気が押さえつけられる=圧縮されます。空気は、ギュッギュッと圧縮されると、温度が上がる性質があります。空気入れで自転車のタイヤなどに空気をギュッギュッと入れる時、少し暖かくなりますよね。高気圧の下では、下降気流によって地面に近い所で空気が圧縮され、暑くなるんです。

このエルニーニョの時は、夏の高気圧が強まる地域もある一方で、高気圧の強さにはムラがあって、弱い地域もあります。きょうの関東地方のように高気圧が弱く、涼しい日もありますが、いずれまた高気圧の強い部分が来て、暑くなるタイミングがやってきますよ。

南米の海で起こる”エルニーニョ現象”なぜ日本に影響する?台風も強くって本当?

ポイント② エルニーニョのときは、激しい雷雨に注意!

エルニーニョの時は、高気圧が強まったり弱まったり、強さにムラがあるとお伝えしました。高気圧が強いと、下降気流なので、入道雲ができてもその頭を押さえて、こじんまりした雲のままです。ところが、高気圧が弱まると、雲の頭をおさえる空気のフタがなくなり、入道雲は上へ上へと発達し、強い雨や雷雨をもたらします。高気圧が弱まるタイミングで、急な激しい雨や雷雨が起こりやすくなるわけです。

夏休みですので、お子さんも含め、特に川遊びなどは気を付けていただきたいです。自然豊かな所の川だけでなく、都市部の川でも雨で急に増水する恐れがあります。以前、関西で街中を流れる川沿いの公園(親水公園)で遊んでいた親子が、晴天から一転しての豪雨で流され、大きな被害が出たことがありました。

川に入るのであれば、入る前に雨雲レーダーをチェック、入った後も10分や20分おきにチェックするくらい慎重に備えたいですね。自分の頭の上が晴れていても、上流で降った雨によって増水することがあります。上流や周辺にあやしい雨雲があるなど、天気や川の水位が急変しそうだったら、すぐに川から上がる、というのを意識したいですね。

ポイント③ エルニーニョのときは、強力な台風に注意!

台風の発生場所が、例年とは違ってきます。台風は海水温が高い海で、水蒸気を大量に得て、発生しやすいのですが、エルニーニョ現象のときは、太平洋の海水の温度の分布がいつもと変わるため、発生場所も変わってくるわけです。例年だと、フィリピンの東や、グアム・サイパンなどのマリアナ諸島など、日本のだいぶ南で発生することが多いですが、それよりも、南東側に離れた所で発生しやすくなる傾向があります。

日付変更線付近や、さらにその東で発生して、日本に向かうことも珍しくありません。

そうやって遠くから来る台風は、時間をかけて、発達できる温かい海の上を長旅してきます。日本に近づく頃までにどんどん発達して、強力な台風がやってくるわけです。

今回の台風13号も、日付変更線の東から長い距離を発達しながらやってきました。関東など本州への直接的な影響はないものの、海ではかなりの高波が広範囲に押し寄せます。秋まで続く台風シーズン。今年は遠く東海上からやってくる台風に、いっそうの警戒が必要になりそうです。

南米の海で起こる”エルニーニョ現象”なぜ日本に影響する?台風も強くって本当?

【増田雅昭】
1977年・滋賀県生まれ。
大学在学中に気象予報士試験に合格すると、テレビ朝日の報道番組に学生予報士として出演。
卒業後も予報士として活動を続ける中で、“天気の面白さ”に気づき、「どうすれば天気に興味をもってもらえるか」を日夜考え続ける、天気が好きすぎる気象予報士です。
現在は、TBS朝の「THE TIME」のお天気コーナーでもおなじみです。

(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)

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