笹川友里がパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。
8月22日(土)の放送は、先週に引き続きデジタル大臣の松本尚(まつもと・ひさし)さんが登場。ガバメントAI「源内」についてや、デジタル庁の今後の展望について話を伺いました。

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(左から)松本尚大臣、笹川友里


松本尚さんは金沢大学医学部医学科を卒業後、医師免許を取得し、金沢大学医学部附属病院第2外科医員として勤務。2000年に日本医科大学救急医学教室に入局し、准教授、教授を経て、2021年10月に第49回衆議院議員総選挙で千葉県第13区から初当選。防衛大臣政務官、外務大臣政務官を歴任し、2025年10月、高市内閣でデジタル大臣に就任しました。

◆行政業務に広がる生成AI「源内」

現在、行政向けの生成AIとして、全省庁に導入を進めているのが「源内(げんない)」です。行政の資料作成をはじめ、国会の答弁書作成、政策の企画立案に向けた情報収集など、幅広い場面での活用が想定されています。

デジタル庁ではすでに利用が始まっており、松本大臣は「まずはデジタル庁で使ってみて、現在は約18万人いる全府省庁の政府職員にアクセス権を配って『どんどん使ってくれ』と利用を広げている最中です」と説明します。

「源内」の特徴は、閉鎖された環境下で政府の業務に生成AIを活用できる点にあります。例えば、国立国会図書館が保有する過去の資料や政府だけが持つデータから情報を抽出できるほか、オープンソースを活用することも可能だと言います。

「源内」の導入によって、松本大臣は業務時間の短縮につながる可能性を感じています。実際に、自身の国会答弁の原案を「源内」に作らせ、その出力された内容と官僚が作成した答弁書と比較する試みをおこなったそうで、「まあまあ遜色ない感じはしますね」と評価します。


一方で、国会答弁において単に正しい内容で作成するだけでは対応できない繊細な表現が求められます。どこまで踏み込んで発言するのか、どこまで明確に言うべきなのかといった機微の判断を「源内」がおこなうのはまだ難しいため、最終的には人の手でブラッシュアップする必要があると言います。

それを踏まえ、松本大臣は、「出力されたものをそのまま読むだけでは意味がないけれども、官僚が答弁書を作る際の最初の原案みたいなものをパッと出してくれるなら、彼らはそれを使ってブラッシュアップするだけで済みます。そういう意味では、これから時間の短縮効果がもっと表れてくるのではないかなと思っていますね」と話します。

また、生成AIを行政で活用するうえでは、利便性だけではなく、データや技術をどのように管理するかも重要になります。サイバー安全保障担当大臣も務める松本大臣によると、現在、政府が利用する大規模言語モデル(LLM)やクラウドには、アメリカの大手テクノロジー企業のサービスが多く使われています。こうした状況を踏まえ、政府では国産技術の活用も進めています。

クラウドでは今年から新たに国産メーカーを1社加え、LLMについても日本企業5社の基盤モデルを試用しており、「我々としては、できるだけ国産企業のものを使って、どんどんそちらのレベルも上げながら、『AI主権、クラウド主権』というのですが、それを守ることを考えているところです」と強調します。

◆“自動運転実装”の未来

AIの活用について、力を入れているのは行政のデジタル化だけではありません。医療や教育、公共交通など、社会を支えるさまざまな分野でどのように取り入れていくのかも重要なテーマです。

そこで、笹川が「AIという大きなくくりのなかで、今大臣が気になっているジャンルはありますか?」と質問します。これに対し、松本大臣は「AIの開発そのものは担当ではないですが」と前置きしつつも、注目しているジャンルとして「自動運転」を挙げ、「『AIが運転をする』というところに話を絞っていくと、日本のAIのレベルもかなり高いところまできていると思います」と期待を込めます。


一方、課題として日本の自動車メーカーと国内で開発されたAIの技術が、まだ十分に結びついていないことを指摘し、「そこは、我々がもう少しちゃんと主導して進めていかなきゃいけない」と力を込めます。

また、このジャンルにおいて、松本大臣が日本の技術で進めていくことを強く語る場面も。自動運転の早期実装を優先するのであれば、海外の技術を活用する選択肢も当然あるとしつつも、「やっぱり、国産のほうが日本人は安心して乗るだろうし、それが今度は、次の輸出産業としても使えるだろうから、そこまで見据えて開発を進めていくのが筋だろうと思っています」と語ります。

自動運転技術の普及を進める背景には、社会インフラが抱える課題を解決する狙いもあります。「一般家庭が自動運転の車を持つようになるには少し時間がかかるかもしれないですけど、特にバスなど公共の交通や物流の分野に自動運転が導入されると、世の中が相当変わってくると思います」と期待を寄せます。

◆AI時代だからこそ求められる「思考力」

そして、松本大臣にデジタルによって変化する「近未来の風景」についても伺いました。

松本大臣は、AIやロボットによって生活のさまざまな場面が自動化され、人手が少なくなっても快適で幸せに暮らせる社会を想像するのと同時に、その便利さに依存しすぎて、人間自身が考えることを怠らないように気を付けなければならないとし、「我々がたくさん考えるからこそ、それをAIが学んでサポートしてくれるのであって、我々が何も創造しなくなったらAIの進歩も止まるので、そこは忘れてはならない」と持論を展開します。

最後に笹川が、「デジタル庁の今後の展望について教えてください」と尋ねると、松本大臣は「『誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を。』がデジタル庁のミッションですから、ありとあらゆる局面においてデジタル化を進めて、国民の皆さんがハッピーになれるような社会づくりを目指すのが、デジタル庁の今後だと思います。私自身は、目の前の仕事をきちんと責任をもってやり切ることが一番大事なので、その先どうなるかは、またそのときの自分の立ち位置から、やれることをしっかりやっていきたいと思います」と話していました。

次回8月29日(土)の放送は、ゲストに関西電力株式会社理事IT戦略室長の上田晃穂さんをお迎えします。電力会社として初めて「DX銘柄2026」にも選ばれた関西電力のDX戦略についてなど、貴重な話が聴けるかも!?

<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/
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