半導体ブームで半導体関連株・日経平均とも大きく上昇してきましたが、先週から、高値波乱の様相を呈しています。短期的には、スピード調整があってもおかしくないと思われます。
半導体株価指数の急騰急落で大荒れの日経平均
先週(営業日6月22~26日)の日経平均株価は、急騰後に急落しました。1週間の下落幅は1,889円(2.7%)、26日終値は6万9,360円でした。半導体関連株の急騰急落に影響されて大荒れの1週間となりました。
<先週の日経平均と半導体株価指数の日次騰落率:6月22日(月)~6月26日(金)>
22日(月)の日経平均は、一時7万2,831円まで上昇して史上最高値を更新しました。東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)、キオクシアホールディングス(285A)、ソフトバンクグループ(9984)など日経平均の構成比が高い半導体・AI関連株が上昇を牽(けん)引しました。
その後、半導体関連株は、強気と弱気が交錯して、急落・急騰を繰り返しました。23日(火)は利益確定売りが殺到して半導体関連株は急落しました。
ところが、日本時間の25日(木)早朝に発表された米国の半導体大手マイクロン・テクノロジー(MU)の決算が非常に好調だったことを受け、25日には東京市場でも半導体関連株が急騰しました。26日(金)には再び半導体関連株に利益確定売りが殺到して、急落しました。
半導体関連株の構成比が高い日経平均は、これを受けて、25日には3,191円(4.6%)上昇しましたが、翌26日(金)は、3,005円(4.2%)下落しました。
<日経平均週足:2025年7月1日~2026年6月26日>
このように、半導体株価指数も、日経平均も高値波乱の様相を示しています。高値圏でこのように激しく乱高下する場合、テクニカル分析の視点からは「目先、スピード調整を警戒した方が良い」と判断されます。
半導体関連株の動き、経験則が通用するか?
日経平均の短期的な動きを決めるのは、半導体・AI関連株となりそうです。特に、半導体関連株の動きが重要です。
今、日本も世界も、かつてなかった空前の半導体ブームのさなかにあります。ただし、半導体関連株は、既にそれを織り込んで大幅に上昇しています。経験則では、半導体関連株は、そろそろピークアウトしてもおかしくありません。
ただし、今回の半導体ブームは、私が過去40年半導体アナリストをしてきて、経験したことのない大ブームです。過去の経験則は通用せず、まだまだ半導体株が上昇するのか、そろそろピークアウトするのか、私にも正直分かりません。
<半導体株価指数と日経平均の動き比較:2012年1月末=100として指数化、2026年6月26日まで>
半導体は高成長産業だが好不況の波が大きい
私は26歳だった1987年に、投資顧問会社で、日本株ファンドマネジャー兼アナリストとなりました。その時、アナリストとして最初に担当したのが半導体産業でした。その後いろいろな業種を調査してきましたが、半導体業界について常に考え続けてきました。
半導体関連株への投資を考える時、知っていた方が良いと私が思うポイントが三つあります。
【1】半導体は高成長産業
【2】好不況の波が大きい(「シリコン・サイクル」といわれる)
【3】半導体関連株はシリコン・サイクルを1年近く先取りして動く傾向がある
一つずつ説明します。
【1】半導体は高成長産業
半導体産業は、高成長産業です。IT革命→インターネット革命→生成AI革命と呼び名は変わり続けていますが、人類の情報処理技術は急ピッチで進化を遂げていますが、そのインフラ構築に不可欠な基幹部品が「半導体」なので、その需要は拡大し続けています。
半導体の能力は、幾何級数的に拡大しています。
半導体は、線幅の縮小だけでなく集積化による能力拡大も進んできました。半導体素子から集積回路(IC)、画像処理装置(GPU)と進化しています。エヌビディア(NVDA)の最新GPU(ブラックウェル)は、スーパーコンピュータ並みの高い能力があります。これからも需要拡大に伴い、最先端の半導体は進化を続けると考えられます。
【2】好不況の波が大きい
半導体産業は、1980年代以降、ブームと不況を繰り返してきました。まずは図で示した、1998年以降のシリコン・サイクルをご覧ください。
<世界半導体出荷金額(3カ月移動平均):1998年1月~2026年3月>
ご覧いただくと分かる通り、世界の半導体産業は右肩上がりの成長産業です。ただし、シリコン・サイクルといわれるブームと不況の大きな波をつくる産業でもあります。
誰もが強気で半導体は絶好調がいつまでも続くと思っているときに突然ピークアウトし、半導体不況が始まります。もう、半導体産業は永遠に復活しないと思われる半導体不況の大底から、突然、急回復が始まります。
今まさに半導体ブームのさなかにあります。
GPUだけでなくCPUもDRAMも需給ひっ迫しています。最先端の半導体も前世代の半導体も、幅広く不足する大ブームとなっています。AIデータセンターへの投資拡大が続くため、今回の半導体ブームは、これまでよりも長くなることも考えられます。
ただし、忘れてはならないのは、半導体ブームにはサイクルがあるということです。永遠にブームが続くことはありません。ブームの後には半導体不況が来ます。この特色ゆえ、半導体関連株は、長期的には大きく上昇しているものの、短期的には急落することもあり、激しく乱高下します。それが半導体株投資を、面白く、難しくしています。
【3】半導体関連株はシリコン・サイクルを1年近く先取りして動く傾向がある
半導体関連株は不思議なことに、1年近く、シリコン・サイクルを先取りして動く傾向があります。半導体ブームのさなかに、半導体関連株が下げ始めて「変だなぁ」と思っていると、しばらくして急速に業況が悪化して1年後に半導体不況になっていることがあります。
逆に、半導体不況のさなかに半導体関連株が急騰を始めることもあります。半導体は成長産業なので、半導体不況で下がっているうちに買っておこうと考える投資家が多いためだと思います。
なぜ、シリコン・サイクルが起こるか?
半導体産業は成長産業なのになぜ、不況とブームを繰り返すのでしょうか? 原因をひとことで言えば、「過剰投資」です。最先端の半導体を誰よりも早く量産しようと多くのメーカーが競って投資し、一斉に量産に成功する時、一時的に供給過剰が起こって半導体価格が急落して半導体不況が起こります。それでも、長期的に需要は増え続けるので、いずれまた半導体ブームになります。
ところが、その次世代の半導体の量産競争をめぐって過剰投資があると、いずれ次の半導体不況が起こります。その繰り返しが、シリコン・サイクルです。それを、かつて半導体産業の中核を占めていた「半導体メモリ」を例にとって説明します。
半導体株をここからまだ買って良いか?
半導体株も、日経平均も高値波乱の様相です。目先、スピード調整が起こる可能性があります。今は、半導体関連株は、少し利益確定して様子見した方が良いと思います。
ただし、景気・企業業績は良好なので、深い調整はないと考えています。下がったところでは、割安な日本株を買い増ししていく方針で良いと思います。
半導体・AI関連株、日経平均には過熱感があるものの、日本株全般を見渡すと、まだ好業績の割安株が多数あります。
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(窪田 真之)

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