世界と戦うために生まれたトヨタの「GRヤリス」が26式に進化。限定車の「GRヤリス モリゾウRR」、9度のワールドラリーチャンピオンに輝いたセバスチャン・オジェ選手の知見が入った「GRヤリス Sébastien Ogier 9x World Champion Edition」と共にお伝えします!
「狂気」から「洗練」へ
年次改良で進化し続けるGRヤリスの歴史
GRヤリスを初めて触れた時の衝撃は、今も鮮明に覚えています。オーバーフェンダーをまとうも、見た目はヤリスそのもの。
ですが、これがコンペティションの舞台で戦うクルマそのものであり、それゆえ多くのファンと信頼を得てきたのだと思います。
そんなGRヤリスの誕生は2020年のこと。その後、今回を入れて3回、仕様変更が加えられています。それぞれ「20式」「24式」「25式」「26式」と呼ぶようです。いつの間にかイヤーモデル制を採っていて、年式で呼ぶようになったのですね。
せっかくなので、各年式のアップデート内容をおさらいしましょう。24式が最も大がかりな変更が加えられています。というのも、AT仕様が追加されたほか、エンジンがパワーアップし、あわせて冷却系も見直し。エクステリア、インテリアも変更したほか、ボディー剛性なども改善されています。
続いて25式。まず大きな変更が「エアロパフォーマンスパッケージ」が追加されたこと。
どんだけ変態なんだ!? ステアリングとタイヤを専用開発した「26式」
では、26式では何を変更したのか。それが何とステアリングホイールというから驚き。見た感じ、WRC参戦マシンなどのようなスイッチになり、確かに見た目はカッコいい。なのですが、こうしたのには深い理由があるとか。
従来のステアリングホイールでは、操作中に意図せずボタンを押してしまうという問題点があったようです。さらに言えばステアリング径が大きい、持った時の形状などに問題があったなど。確かに運転中、ステアリングは常に握るものですから重要ですね。
そこで、徹底的にこだわったステアリングを作ってしまったというわけです。単なるボタン配置がホーンボタン側の寄せただけではなく、断面形状を徹底的に見直して手首が内側になるような形状へと変更。これにより脇が締まってステアリング操作しやすくなるのだとか。あわせてパドルシフトの形状も中指1本操作に対応できる形状にしたそうです。
あわせて、パワーステアリングの設定も変更。ハイグリップタイヤを利用し、かつ高負荷がかかった際にひっかかる状況を改善したほか、ノーマルモードでは取り回しを考慮した設定にしたとのこと。
これだけでも「トヨタはどこまで変態なんだ?」(誉め言葉)とあきれるのですが、さらにブリヂストンと共同でGRヤリス専用のタイヤを作ってしまったのです。従来よりも高負荷走行時における耐久性とグリップ力向上を目指したそうで、あわせてサスペンションのセッティングも変更しています。どんだけ変態なんだ、このメーカーは……。
レースだけではなく、日常使いにも対応できるよう、縦引きパーキングブレーキを選択しても、メーカーオプションでステアリングヒーターとシートヒーターが選べるようになったとのこと。寒い日、これはとても助かります。
ボディーサイズは全長3995×全幅1805×全高1455mm、ホイールベース2560mmと今までと変わりありません。車重はMTが1280kg、ATが1300kgです。
エンジンは1618cc直列3気筒ターボで、最高出力304馬力、最大トルク400N・mを発生します。
ドライバーファーストのコクピットは、従来と同様。運転する側としては、とても使いやすいレイアウトです。
ペダルまわりです。とても剛性のあるシッカリとしたもので、ATはフットレストが大きく安定感バツグンです。
メーターパネルはフルLCD。センターに大きく速度ではなく、シフト位置を表示するのがGRヤリスの流儀です。WRCに参戦するラリーカーもそんな感じです。
走行モード切替などのスイッチ類は、レーシンググローブをしても操作しやすいよう、大きめです。iMTというボタンは、MT操作時の変速ショックなどを自動でアシストしてくれる機能です。
クルマの大きさが大きさなので、後席はかなり狭いです。ついでに3ドア車なので、とても乗り降りしづらいというオマケつき。お子さんは平気だと思いますが、お年寄りには苦行かも。
荷室は意外と広くて、使い勝手は悪くない印象。とはいえ、筆者的には12Vアクセサリーソケットがないのが気になりますが。
26式の走りを味わえる「本物感」
26式GRヤリスはMTとATの両方を試乗しました。「じゃじゃ馬」と思った20式とは違い、26式は落ち着きがある印象。とはいえ、それはGRヤリスの中の話であって、基本的にはストイックでプリミティブであることに変わりはありません。もっとも、このクルマを普通のクルマと同列に扱うこと自体ナンセンスではあるのですが。
一方で、非現実感が味わえるのも事実。普段見慣れた景色が、とても刺激的に見えますし、なによりレーシングスペックを操っているという感覚は、ほかのスポーツカーにはない「本物感」に溢れています。
何より手に伝わる感覚がとてもよく、ハンドルを変えた効果は確かにあり! このハンドル、売ってほしい! そして、コンパクトなボディーサイズが、日本の道にはピッタリ。ちょっとした峠が、ワインディングがスペシャルステージ(SS)に変わります。この感覚はGRヤリスにしかなく、運転の技量に関係なくGRヤリスを選ぶ価値は多いにあると断言します!
ちなみにエアロパフォーマンスパッケージは確かに効果絶大。車が地面にシッカリと食いついている感触があります。見た目も含めて、もし不肖がGRヤリスを手に入れるなら最初からつけてもらいたいと思います。
街乗りも最高な「モリゾウRR」と
FRライクな「オジエ エディション」
続いて、限定車の「GRヤリス モリゾウRR」、9度の世界チャンピオンに輝くセバスチャン・オジェ選手の知見が入った「GRヤリス Sébastien Ogier 9x World Champion Edition」について。
なお、価格はモリゾウRRが900万円、オジェエディションが845万円です。
まずは「GRヤリス Sébastien Ogier 9x World Champion Edition」から。
キモはオジェ選手と共同開発した専用4WD制御で、ベース車の「TRACK」モードと置き換える形で新たに設定された「SEB.」モードでは、前40:後60というトルク配分に変わっています。これはフロントの旋回性を確保しつつ、リアを積極的に使って車両姿勢をコントロールするセッティングなのだとか。
インテリアはステアリングのステッチにトリコロールカラーを採用。そして縦引きのパーキングブレーキが取り付けられています。
そしてGRヤリス モリゾウRR。こちらはかなりモディファイした車両で、外観からしてカーボンパーツがいっぱい。特にリアウィングに目が行きます。こちらはエアロパフォーマンスパッケージよりもダウンフォース量を増やしているとのこと。それに合わせてサスペンションセッティングも変更しているそうです。
ブレーキキャリパーはモリゾウ選手(豊田章男会長)のイメージカラーであるイエローがあしらわれています。
インテリアも黄色のステッチが施されています。
で、これが走らせてみると驚き。実にしなやかな足で、街乗りが全然苦じゃないほど。また結構ロールするので、どのタイヤに加重がかかっているか分かりやすく、何より安定感がすごい! もう、どこからでも安心して踏めるクルマ、運転がうまくなったのでは? と錯覚するようなクルマに仕上げられています。
ノーマルのGRヤリスは楽しいけれど街乗りは……と思っていた軟弱者の不肖、素直にモリゾウRR欲しいです!
さらにTRACKモードの代わりに「MORIZO」モードを用意。これは加速時には前後輪を最大限結合し、制動時には必要に応じて拘束を緩めるという独自制御で、モリゾウ選手がラリー参戦で得た知見に依るものだとか。この加速の安定感、ハンパないです!
これらの限定車は「GR app」を通じた抽選申し込みにて購入するそうです。嗚呼、お金があれば……と溜め息しか出ません。
GRヤリスギャラリー

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