レビュー
AIはアイデアを出し、文章を書き、企画書まで作ってくれる。しかし、そのアウトプットは体温が感じられず、心が動かない――。
そのような違和感に対し、本書は「AIは80点の素材を出す存在であり、人間が感情・現場の一次情報・こだわりを掛け合わせて120点に仕上げなければならない」という考えのもとで書かれた一冊だ。
著者の佐藤勝彦氏は、もともとプログラミングの知識がなかった状態から、1000時間以上AIと対話を重ね、「超AI独学術」という独自メソッドを構築した実業家だ。自らの手を動かしてAIを使い倒し、思考を重ねてきた経験が、本書に強い説得力を与えている。
本書の核となるのは、「超具体化→超抽象化→超構造化」という3ステップだ。これは、事実を集め、本質を抽出し、自分の中に取り込んでアウトプットに反映していくというプロセスである。6名のビジネスエリートへのインタビューにより、AI時代の仕事の本質を炙り出し、それを1つひとつのメソッドへ落とし込んでいる点も本書ならではの魅力だ。
佐藤氏は、「AI時代に露出する3つの人間的価値」として、「個性」「審美眼」「素養」を挙げている。尖った視点や違和感を持つ個性、信じるべきものを見抜く審美眼、そして決断し責任を引き受ける覚悟――そうした人間らしさこそが、AI時代の仕事において決定的な差になるというのだ。
本書を読むことで、AIをどう使うかだけではなく、「AI時代に、人間として何を磨くべきか」という視点そのものがアップデートされるだろう。
本書の要点
・AIが示す一般論に現場のリアルな情報を掛け合わせることで、「誰にでも書ける提案」が「人の心を動かす提案」になる。
・AIでターゲットの五感や感情をシミュレーションすれば、「平均的なターゲット像」が「本音を持った一人の人間」に変わり、深く共感される企画がつくれる。
・AIを「語彙力の拡張装置」として活用することで、「言葉にできない直感」が「相手の心に届く言葉」へ変わる。
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