※本稿は、新井亨『トップ1%の富裕層が子どもに伝える 世界一のお金の教育』(KADOKAWA)の一部を抜粋・再編集したものです。
■貧乏を引き寄せる“7文字の言葉”
2019年7月、かんぽ生命と日本郵便による保険販売で、18万件以上の不適切契約が発覚し、大きな社会問題になったことを覚えているでしょうか。
具体的には、保険の乗り換えの際に二重払いが発生したり、保障が途切れる空白期間が生じたりして、損失を受ける人がたくさんいました。
「郵便局だから安心」
「おすすめされたから大丈夫」
と詳しい説明を受けないまま契約を任せる顧客と、顧客の「任せたい心理」につけ込んで営業していた販売側の関係が明らかになりました。
「人任せ」の怖さを表している事件です。
華僑をはじめとする世界の富裕層は、「おまかせします」という言葉を最も嫌います。任せることは謙虚ではなく、「判断と責任を手放す行為」だからです。他人の意見を参考にすることと、判断を丸投げすることはまったく違います。
考える力を手放した人ほど操作されやすく、失敗しても修正できなくなります。マネーリテラシーを高めるためには、自分が「考える人」と「考えない人」、どちらで生きているかを見直すことが大切です。
「考える人」は、メリットだけでなくリスクまで理解したうえで自分で決断し、修正しながら進みます。
「考えない人」は、他人に任せた挙句、失敗しても「人のせい」にしてしまいます。この差が、長期的に大きな経済格差につながるのです。
■「正解を当てる勉強」の功罪
日本の教育では、「正解を当てる勉強」が重視され、「上の人(先生や社長など)の指示通りに動く人」が高く評価されてきました。
「自分で答えを考えて責任を持つ」という教育は、ほとんど受けていません。
その影響から、「どうしたいのか」と聞かれても答えられない大人が少なくないのです。自分の頭で考えない人ほど誰かの意見に流され、結果的に損をします。
投資詐欺のほとんどは、信じた人に「言われた通り」お金を出したケースなのです。実際によくある失敗の多くはこの「おまかせします」から始まります。銀行の窓口で勧められた投資信託を、内容を理解せずに購入してしまう。不動産営業担当や保険営業担当のおすすめをそのまま契約してしまう。
こうしたケースは、後から思っていた商品と違ったと気づくことも少なくありません。しかし、すでに手数料を支払い済みで、解約により損をする状況になっているのです。
つまり、「人任せ」にした瞬間から、自分の資産のコントロール権を失ってしまうのです。
人生の大きな選択である保険、住宅ローン、投資、キャリアを「おすすめされたから決めた」と言う親の姿を、子どもは確実に見ています。それが「自分で判断しなくていい」という誤った学習につながるのです。
■自分で考える子供を育てる親の声掛け
一方、富裕層の家庭では逆です。
「あなたはどう思う?」「なぜそう考えるの?」という考える癖をつけさせ、自分の意見と判断基準を持たせます。
私自身も、若い頃から「自分で判断すること」の大切さを学んできました。ビジネスや投資の場面では、必ず誰かが「これがいいですよ」「この方法が安全です」と勧めてきます。しかし、その言葉をそのまま信じるのではなく、「なぜそうなのか」「リスクは何か」「自分に合っているのか」を必ず自分の頭で考えるようにしてきました。
その習慣により、大きな判断をするときにも流されずに冷静に決断できたのです。華僑の家庭ではトラブル時には、「どう対処する?」と解決方法まで考えさせます。
これが、お金に関する判断力を育てる訓練になります。
自分で考える子は、他人の言葉に流されず、冷静にリスクとリターンを判断できます。
お金の判断を他者に任せた瞬間、人は支配される側になります。
考えることを放棄する「楽」は、やがて取り返しのつかない損失になるのです。
「おまかせします」という言葉を手放すだけで、人生の舵は自分の手に戻ります。お金の自由とは、「自分で決める自由」のことであり、考える力を持つ人が、最終的に最も豊かになるのです。
お金の判断は人任せにせず、自分で考える力をつける。
■短期思考はお金から嫌われる
現代は、すぐに結果を出すことを求められる時代です。
インターネットを開けば、「短期間ですぐに儲かる」といった情報があふれていますが、お金の世界において「すぐに結果を出そうとする人」は、あまり良い結果を生みません。
なぜなら、本当に大きなお金は「時間」をかけて育っていくものだからです。
多くの人が失敗する理由の一つは、結果を急ぎすぎることです。
投資を始めても、数カ月で大きな利益を期待してしまう。
ビジネスを始めても、すぐに大きく稼げると思ってしまう。
しかし現実には、ビジネスでも株式投資でも不動産投資でも成果が出るまでには時間がかかります。
実際、多くの人はここで失敗してしまいます。株式投資を始めたと思ったら、次は暗号資産が儲かると聞いて乗り換える。その次は不動産投資が良いと聞いて方向性を変える。さらに別の人から「このビジネスが儲かる」と聞けば、また別のことを始めてしまう。
このように次々と方法を変えてしまうと、どの分野でも時間が足りず、結果として何も積み上がらない状態になってしまうのです。
■成功する投資家の共通点とは
たとえば投資の世界では、「複利」という考え方があります。
複利とは、利益が利益を生み、時間とともに資産が大きく増えていく仕組みです。この複利の力は、短い期間ではほとんど実感できません。しかし、20年、30年と続けることで、驚くほど大きな差が生まれます。
成功している投資家の多くは、この「時間の力」を理解しています。だからこそ、短期間の値動きに一喜一憂せず、長期的な視点で資産を育てていくのです。
ビジネスでも同じことが言えます。最初から大きな成果が出ることはほとんどありません。小さな改善を積み重ねながら、少しずつ成長していきます。
しかし、短期的な結果ばかりを求めてしまうと、この過程を待つことができません。すぐに成果が出ないと諦めて、次々と別の方法に手を出したりします。結果として、どれも中途半端になってしまうのです。
一方で、お金を増やしている人は考え方が違います。彼らは「自分の投資スタイル」を明確に持っています。株式投資、不動産投資をどの手法でどのくらいの割合でやるのか、どのようにビジネスで収益を作り資産収入を積み上げていくのか。
まず自分に合う手法を決め、そこから戦略を作ります。そして一度決めた手法は、途中で目移りすることなく、時間をかけて育てていくのです。
この「基準」があるかどうかで、長期的な結果は大きく変わります。
投資スタイルや基準がない人ほど、周囲の情報に振り回されてしまいます。「あれが儲かるらしい」「これが流行っているらしい」という情報に反応して、次々と方向性を変えてしまうのです。しかし、本当に資産を増やしている人は違います。自分の基準を持っているため、周りが何を言っても振り回されることがありません。
■「長く続く仕組み」をつくる
私自身も、これまでビジネスや投資を続けてきましたが、周囲からは常にさまざまな情報が入ってきます。この投資が儲かる、今はこのビジネスが流行っているというような話は数えきれないほど聞いてきました。
しかし、そのたびに方向性を変えることはせず、自分が決めた戦略を信じて、時間をかけて積み上げていく姿勢を持つことが、結果として大きな成果につながっていきました。
華僑らの富裕層も、この長期的な考え方をとても大切にしています。彼らは短期的な利益よりも、「長く続く仕組み」を重視します。ビジネスでも同じで、最初から大きな成果が出ることはほとんどありません。小さな改善を積み重ねながら、少しずつ信頼を積み上げていきます。その結果として、時間が経つほど収益が大きくなっていくのです。短期的な利益を追いすぎると、一番大事な信頼を失うことがあります。
つまり、お金は「急いで追いかける人」よりも、「時間を味方にする人」に集まります。焦って結果を求めると、判断を間違えやすくなります。しかし長期的な視点を持つことで、落ち着いて行動することができます。 短期的な結果に振り回されるのではなく、長い時間をかけて資産を育てていくという考え方を持つことが、豊かな未来を作る大切なポイントなのです。
毎月コツコツ投資を続けて、ビジネスを少しずつ改善して、長い時間をかけて信頼関係を築くという行動を続けることで、時間とともに成果が大きくなっていきます。
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新井 亨(あらい・とおる)
RAVIPA社長
サブスクD2C総研代表取締役。ARAIインベストメント代表、Telemarketing One代表取締役。RAVIPA代表取締役社長。英国ウェールズ大MBA卒業。年商1000億の企業のサポートも行なうサブスク業界の第一人者。中国・北京へ留学し、現地で富裕層向け美容室事業、貿易事業、不動産事業など複数事業を成功へ導く。2024年には東京証券取引所へ新規上場を果たす。サブスク事業などクライアントのマネタイズ実績は累計1000億円以上。著書に『トップ1%の富裕層が子どもに伝える 世界一のお金の教育』(KADOKAWA)などがある。
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(RAVIPA社長 新井 亨)

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