ワークマン(7564)は低価格と高い機能性が武器で、景気変動に強く収益の安定感が魅力。足元の客数増も好調です。
今回のお題 大ヒット中のリカバリーウエア株
昨今、パジャマやサンダルなどさまざまなリカバリー商品がヒットしていますが、リカバリー関連の2銘柄をピックアップしました。高価格帯製品の多いリカバリーウエア市場に「メディヒール」という上下で税込み3,800円~という低価格品を投入し、大ヒットさせたワークマン。それに対し、熱烈なファンを持つMTGは、着心地や肌触りにこだわる高価格品をヒットさせています。双方、ワークマンがスタンダード、MTGがグロースに上場する中小型株ですが、時価総額でいえばプライム銘柄級ですし、新ルールの下での東証株価指数(TOPIX)組み入れも有力視されます。今回はワークマン(7564)とMTG(7806)の2社で比べてみます。
ワークマン(7564) MTG(7806)
両社の株価のポイントや株価データを見ながら、双方を比較し、皆さんの相場観で購入検討するならどちらにしますか?
銘柄A:ワークマン(7564)
ここがGOOD
安定感抜群のアパレル株ワークマンの強みは、アパレルブランドとしての知名度も高まり(かつての作業着のイメージも薄れ)、店舗数の多い大衆ビジネス(同社では「マス化」と言っています)が確立されている点にあります。その時々の流行に合った新商品を開発していますが、その中でもリカバリーウエアや猛暑対策ウエアなどがヒットしています。気温が上がれば仕事着や半袖Tシャツ、気温が下がれば高機能ダウンなど防寒着が売れるといった具合に、季節商材を網羅。ちなみに4月に開催された今年の酷暑対策「UVカット新製品発表会」では、体感温度を約10度下げる遮熱軽減ウエアなどが披露されました。
大衆ビジネスが確立できたのは、「低価格」で機能性の高い製品を市場投入したため。昨今はやっているリカバリーウエアについても、他社が2万円超と高単価なのに対し、同社の「メディヒール」は上下3,800円程度と破格。
期初計画の上方修正に期待
5月に発表した今期予想(ガイダンス)は、最終利益が前期比8%増の223億円でした。この数字が発表前のコンセンサス(227億円)を少し下回ったため、失望材料として株価は売られました(発表翌日8.2%安)。ただ、この期初計画は上ブレる可能性が高いと考えられます。ガイダンスは既存店売上高を前期比10.6%増を前提としていますが…これ、かなり「保守的」です。
足元で既存店の客数の伸びが強烈で、5月は前年同月比20.3%増でした。気温上昇でワークマンに足を向ける、そんな消費者も多くなっているのでしょう。また、「メディヒール」狙いで訪れる消費者も多いようです。リカバリーウエアの「メディヒール」は、昨年9月に展開が始まると、人気のあまり生産が追い付かず慢性的な品薄状態に。ただ、本格生産で在庫が安定してきているようで、今期は「メディヒール」の収益貢献に期待できます。
ここが心配
コスト増への警戒が重しワークマンは「円高メリット株」として市場で広く認知されていて、足元の為替の円安基調は株価にとっても逆風になっています。実際、ワークマンはプライベートブランド(PB)の比率が高く、これらの海外生産比率が高いため、円安はデメリットになる収益構造です。また、低価格戦略のため、大きくコストが増加してもすぐには値上げしにくいことも挙げられます。1ドル160円台で推移する足元のドル円レートは、ワークマンの今期の通期平均想定レート150円よりかなりの円安です。
ただ、経営陣もこの点は非常に気にしていて、為替予約をしっかり設定し防御態勢をとっています。今期でいえば、年間の仕入れに必要なドルの約80%を1ドル147円のレートで為替予約してあります。160円台に円安が進む中でも、実際の減益影響は大きく緩和してあります。ただ、為替影響だけでなく、人件費や物価高騰の影響による店舗運営コストも上がっています。日本株市場全体で小売株が低調ですが、この点はワークマン株にも重しになっています。
プライム市場への昇格は望み薄
ワークマンは、ベイシアやカインズなどを展開するベイシアグループの中核企業という位置付けです。そのため、筆頭株主の株式会社ベイシア興業が発行済み株数の約28%、創業家の土屋裕雅氏の約14%など、ベイシアグループや創業家関係で全体の70%以上を握る株主構成になっています。こうした固定株は市場に出てこないため、時価総額が大きい割に市場で流通している株は少なめ、つまりは値動きも軽めになると考えられます。
この株主構成の問題は、現在上場するスタンダード市場から抜け出せないことです。
ワークマン レーダーチャート ※各指標の数値に基づき独自基準でスコア化
銘柄B:MTG(7806)
ここがGOOD
「美」ビジネスで業績モメンタム激強「ReFa(以下:リファ)」ブランドなどを展開する美容機器メーカーですが、めったにお目にかかれないレベルの高い売上成長率を示す姿には脱帽モノです。今2026年9月期の上期の売上高665億円は、前年同期比42%増! 過去5年平均の25%を上回る高成長ぶりです。上場して約8年経過するタイミングで、過去最高の伸び率を示しています。
「リファ」ブランドが浸透し、自社ECサイトや百貨店などでの購買も増加。「リファ」以外でもトレーニング機器の「シックスパッド」が堅調なほか、昨年7月発売のリカバリーウエア「ReD(レッド)」も人気化しています。いずれも、自分利用だけではなく、ギフト注文が増加しているようです。昨年11月に旗艦店『ReFa GINZA』もオープンしています。中国の国有旅行会社が団体客の日本への募集が本格再開するなどのニュースが来れば、インバウンド関連株としてもポジティブと言えるでしょう。
需給良好!TOPIX組み入れに期待
グロース市場に上場しており、時価総額は全体2位の主力銘柄です。年初来のパフォーマンスも53%(6月26日時点)で、これもグロース250指数の1%を大幅にアウトパフォームしています。
ワークマンと同じように、創業者などの保有割合が高く、「流通株式比率35%以上」の基準未達でプライム市場への上場は厳しそうです。ただ、10月に新ルールが適用されるTOPIX改革(スタンダード、グロース銘柄も基準を満たせばTOPIXに入れるようになる)で、ワークマン、MTGとも、浮動株時価総額の基準は満たして組み入れ銘柄となる可能性は高いとみられます。ワークマンの売買代金25日移動平均は22.4億円なのに対し、同社は8.6億円と少ない(=流動性が低い)こともあり、組み入れ時のポジティブインパクトも大きい点に注目できます。
ここが心配
リファの勢いが強過ぎて…毎年100超の新商品を予定するなど、新商品開発にすさまじい熱量を感じるMTG。リファの新製品のパイプラインだけで、数年先まで準備されているようです。リファは本当に伸びていて、リファを指す「リテールストア事業」の今上期(2025年10月~2026年3月)は前期比84%増という驚異の売上成長を記録しています(全体の増収分の半分超がリテールストア事業)。
成長性の高いリファの中でも、とりわけ売上成長のけん引役になっているのがシャンプー・トリートメント。同期間の売上高は前期比129%と強烈に伸びています。人気なのは「ミルクプロテイン シャンプー(ピンク)」、価格は1,980円(税込)です。ただ、シャンプー市場は競合が多く、トレンドの移り変わりというリスクを抱えているのは他メーカーと同じ。また、リファに続く勢いのあるブランドは少なく、リファ人気に陰りが出た場合の「二の矢」が欲しいところです。
成長鈍化にナーバス=グロース銘柄の宿命
高成長を維持していることで、東証グロース市場の銘柄の中でも高株価を維持するMTG。ただ、美容機器メーカーということで、やはり流行に左右されるし、高単価のため消費トレンドにも影響を受けます。あえて気になる点を挙げるとすれば、売上高が過去最高に伸びた今上期ですが、営業利益率は前年同期の16%から今上期は15%に1ポイント低下したこと。その理由は広告宣伝費の増加で、ブランディング・マーケティング費は前年同期の85%も増加していました。
このブランディング投資を緩めた時に、売上の伸びは鈍るのではないか?という懸念はあります。同社株の場合、アナリストからの評価も高く、営業利益のコンセンサスも会社予想(150億円)より高い159億円の設定。上方修正目線でもあり、予想株価収益率(PER)も高く付いているため、成長鈍化や利益率の一段悪化が起きると失望される可能性は高いと言えそうです。とくに東証グロース上場銘柄だけに、個人投資家の関与率も高いと考えると、決算ミスは許されない宿命を背負っているとも言えそうです。
MTG レーダーチャート ※各指標の数値に基づき独自基準でスコア化
あなたなら、どっちを買う?
リカバリーウエアと呼ばれる商品では、パジャマが人気です。皆さん、パジャマにいくら出せますか? 自分用なら3,800円で買えるワークマンで十分かなと思いますが…。でも、ギフト用なら、大泉洋さんがCMで着ている1万5,400円の「ReD」がちょうど良い価格帯かなとも思います。ここは好みが分かれそうですね。
これ、銘柄としても、安定成長タイプのワークマンと、高成長タイプのMTGで好みが分かれそう。
銘柄投票にぜひ参加してみてください
【銘柄を投票】ワークマン vs MTG リカバリーウェアが大ヒット中で時価総額も大きめの2社 どっちの銘柄を選びますか?
各指標の説明 予想PER 1株当たり利益の何倍(何年分)まで株価が買われているかを示す指標。同業他社と比較する際に使われ、低いほど割安と判断します。 PBR 1株当たり純資産の何倍まで株価が買われているかを示す指標。同業他社と比較する際に使われ、低いほど割安と判断します。この数値が1倍を下回る企業に対し、東証は「1倍を上回るよう頑張れ」と指令を出しています。 配当利回り 今期の予想配当金ベースの利回りで、高いほど配当妙味が高いと判定します。定義はありませんが、3%以上なら配当利回りが高いと認識されています。 流動性 1日の売買代金がどれくらいあるか?(表では25日平均)を金額で表示しています。同数値が高いほど、機関投資家も大口の個人投資家もストレスなく参加できると考えられます。
(岡村 友哉)

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