先週の日経平均は米国のイベントを控えた様子見ムードで伸び悩んだ一方、バリュー株や中小型株へ資金流入が見られ、日本株全体への買い意欲は底堅さを示しました。9月相場入りとなる今週は、ジャクソンホール会議での米FRB議長のタカ派発言を受けた米金利上昇に伴い軟調スタートが見込まれる中、米雇用統計などの重要指標が焦点となります。


日経平均は朝方一時「1,500円超下落」と売り先行…株価は一...の画像はこちら >>

先週の日経平均は伸び悩むも、日本株への買い意欲は継続

 先週の国内株式市場は、米国のジャクソンホール会議(カンザスシティ連邦準備銀行主催の経済シンポジウム)を控えた様子見が強まる中、注目の米半導体大手エヌビディア(NVDA)の決算に対する初期反応が焦点となっていました。しかし、週末28日(金)の日経平均株価終値は6万6,405円となり、前週末の終値(6万6,016円)からは389円の小幅高で取引を終えました。


<図1>日経平均の5分足チャート(2026年8月24日~8月28日)
日経平均は朝方一時「1,500円超下落」と売り先行…株価は一段安?持ち直す?カギを握るのは「バリュー株」と「中小型株」か
出所:MARKETSPEEDII

 あらためて、先週の日経平均の値動きを5分足チャートで見ていくと、週の前半は売りが先行するも、押し目買いによって持ち直す展開となりました。さらに、エヌビディアの好決算を受けた27日(木)の取引では、取引開始直後に6万7,000円台に迫る上昇を見せました。


 ただし、その後は堅調ではあるものの、上値を伸ばすことができず、結局はジャクソンホール会議待ちの姿勢が相場のムードを支配していた印象です。


 このように、日経平均の値動きを辿ると、足元の日本株に対する買い意欲はあまり強くないようにも感じてしまいますが、実は、日経平均以外の株価指数の様子を探ってみると、意外と強い動きを見せています。


<図2>国内主要株価指数のパフォーマンス比較(2025年末を100)(2026年8月28日時点)

日経平均は朝方一時「1,500円超下落」と売り先行…株価は一段安?持ち直す?カギを握るのは「バリュー株」と「中小型株」か
出所:MARKETSPEEDIIデータを基に作成

 図2は昨年末を100とした、国内主要株価指数のパフォーマンスを比較したものですが、先週の東証株価指数(TOPIX)や東証スタンダード指数、東証グロース250指数などの株価指数は、日経平均よりも強い動きを見せていることが分かります。


 TOPIXは7日連続で上昇していたほか、東証グロース250指数に至っては、株価上昇に勢いがあり、先週末28日(金)時点のパフォーマンスはTOPIXを上回っています。銘柄の物色の矛先が拡大し、バリュー株や中小型株に資金が流れている様子がうかがえることから、積極的に上値を追えるほどの強さはないものの、日本株への買い意欲は保たれていると言えそうです。


今週も日米金利への意識が相場を左右

 そんな中で迎える今週ですが、「月またぎ」で9月相場入りとなります。


 まずは、先週の様子見の主因となっていた、ジャクソンホール会議でのウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演内容を消化するところからスタートすることになりますが、一足先に織り込んだ米国株市場では、その講演内容が「タカ派(利上げに積極的)」と受け止められたことで、先週末28日(金)の主要株価指数が下落で反応しています。


<図3>米主要株価指数のパフォーマンス比較(2025年末を100)(2026年8月28日時点)
日経平均は朝方一時「1,500円超下落」と売り先行…株価は一段安?持ち直す?カギを握るのは「バリュー株」と「中小型株」か
出所:MARKETSPEEDIIおよびBloombergデータを基に作成

 また、29日(土)の朝に取引を終えた、日経225先物取引のナイトセッションの終値(大阪取引所)も6万5,830円と、先週末の日経平均終値から下落しています。


 さらに、債券市場でも、ウォーシュFRB議長の講演を受けて、米国の10年債利回りが再び上昇してきており、今週も引き続き、日米の金利(債券利回り)の動向が相場のムードを左右することになりそうです。


 そのため、今週の日経平均は売りが先行することが見込まれます。今週のイベントスケジュールを確認すると、国内では4-6月期の法人企業統計が公表されるものの、企業決算も含めて全体的にイベントが少なめです。


 そのため、月初恒例の雇用統計やISM景況指数(製造業・非製造業)など、注目の経済指標が予定されている米国株市場の動きに注目が集まることになります。ちなみに、米国ではベージュブック(地区連銀経済報告書)も今週公表される予定となっています。


 これらのイベントを通して、米国の早期利上げを織り込む動きが優勢となるのか、それとも後退するのかが焦点になります。米雇用統計については、前回(7月分)の結果が賃金インフレ懸念を後退させる内容だったことが安心材料となって、8月上旬の日米株式市場の上昇基調につながった経緯があります。


 とはいえ、今回については来週7日(月)の米国株市場がレイバーデーで休場となるスケジュールのため、ポジション整理の動きの方が優勢になるかもしれません。


 仮に、売りが優勢となった場合、先ほどの国内主要株価指数のパフォーマンスでも見てきたように、日本株のバリュー株や中小型株を中心とした買い意欲が相場を支えられるのかが焦点になります。


エヌビディアの好決算の「余波」はあるか?

 したがって、目先の日経平均の予想レンジについては、前回のレポートと同様に、6万5,000円水準を中心に、上下5,000円の範囲内で株価の落ち着きどころを探っていくことになりそうです。


<図4>日経平均(日足)とMACDの動き(2026年8月28日時点)
日経平均は朝方一時「1,500円超下落」と売り先行…株価は一段安?持ち直す?カギを握るのは「バリュー株」と「中小型株」か
出所:MARKETSPEEDII

 ただし、図4の日経平均(日足)とMACDのチャートでも確認できるように、75日移動平均線が株価の抵抗(レジスタンス)となっている状況が続いているほか、下段のMACDも先週に「0円」ラインを微妙に下抜けていて、下方向への意識が強まっている点には注意が必要です。


 さらに、来週末の11日(金)が、株価指数先物・オプション取引の清算日(メジャーSQ)という需給イベントが控えています。加えて再来週には、米連邦公開市場委員会(FOMC)と、日本銀行金融政策決定会合が開催されるため、需給と金融政策の思惑によって、株価が思わぬ変動を見せることも想定しておく必要がありそうです。


 このほか、米国ではサイバーセキュリティ企業のパロ アルト ネットワークス(PANW)や、データセンター向けに高速・低消費電力のインターコネクト(接続)製品を提供しているクレド・テクノロジー・グループ・ホールディング(CRDO)、半導体のブロードコム(AVGO)、クラウド上でデータベースサービスを提供しているモンゴDB(MDB)などの、AI・半導体関連企業の決算が予定されています。


 先週のエヌビディア決算では、相場全体を引き上げる材料としてはイマイチだったものの、決算発表後となる米国時間27日(木)のエヌビディア自身の株価は約8.7%上昇していたこともあり、好決算が素直に受け止められていました。


 そのため、今週予定されている企業が好決算を示せば、AI・半導体関連銘柄が相場を支え、その流れが日本株にも波及する場面があるかもしれません。


(土信田 雅之)

編集部おすすめ