外国人投資家の買いで年初来39%も上昇した日経平均ですが、足元、高値波乱の様相を呈しています。6月以降、外国人投資家が売り越すことも増え、彼らについていくコバンザメ戦略ならば、少し売ってみて良いところです。
上がるも下がるも外国人投資家次第の日本株
いつもお話ししている通り、日本株を動かしているのは外国人投資家です。外国人投資家は売る時は下値をたたいて売り、買う時は上値を追って買ってくるので、日経平均株価は外国人投資家が売れば下がり、買えば上がる傾向が30年以上続いています。
<日経平均と外国人投資家の売買動向(買越または売越額、株式現物と先物の合計):2025年1月6日~2026年7月6日(外国人投資家売買動向は2026年6月26日まで)>
<日経平均と外国人投資家の売買動向(買越または売越額、株式現物と先物の合計):2023年1月~2024年12月>
急騰も急落も外国人投資家売買が引き起こしています。高市ラリーの急騰は外国人投資家の買いによるものです。一方、2024年8月の令和のブラックマンデー、2025年4月の関税ショック、2026年3月の中東危機の急落は、外国人投資家の売りによって引き起こされました。
気になるのは、2026年6月以降、外国人投資家の売買が売越になっていることです。6月22~26日の週は、現物先物合わせて1兆7,152億円もの売越です。外国人投資家の売買に従うならば、少し株を売ってみて良いところです。
ただし、足元の企業業績モメンタムが良好であることを勘案すると、すぐに調整トレンドが始まるとは思えません。株を少し売ってみて様子見するのが良いでしょう。売り過ぎないように気を付けたいところです。
コバンザメ戦略の落とし穴
外国人投資家が買っているとき一緒に買い、外国人投資家が売るときに一緒に売る戦略を、私がファンドマネージャーの時、「コバンザメ戦略」と言っていました。大きなサメ(外国人投資家)のおなかにぴったりくっついていく戦略です。ちょっと情けなく聞こえるかもしれませんが、運用で大負けしないための知恵でした。
私は、2013年まで25年間、日本株ファンドマネージャーでした。公的年金、投資信託、海外ファンドなど2,000億円以上を運用していました。私が運用していたのは、全てアクティブ運用ファンドです。ベンチマーク(競争相手)である「配当込み東証株価指数(TOPIX)」に負けると存在価値がなくなるので、いつも負けないように必死でした。
1990年以降、日本株の動きは外国人投資家に支配されていたので、短期的な相場変動について外国人投資家の動きに逆らうのは厳禁でした。外国人投資家の動きに下手に逆らうとファンド運用のパフォーマンスに致命的なダメージを受けることがあるので、通常は外国人投資家の動きについていきました。
ただし、コバンザメ戦略には一つ、落とし穴があります。急落した日経平均の大底を売るのも外国人投資家だし、急騰した日経平均の天井を買うのも外国人投資家ということです。
短期的には、外国人投資家についていけばうまくいきますが、いつまでもくっついて同じことをしていると、時に大底で売ったり、天井で買ったりすることになります。
前段でお見せしたチャートをもう一度、ご覧ください。
外国人投資家にいつまでも付いていってはいけない、ということは2020年の外国人投資家売買動向を見ても分かります。
外国人投資家にどこまでも付いていってはいけない、2020年の経験
最後まで外国人投資家の売買に付いていってはいけない事例として、2020年の動きを振り返ります。2020年の日経平均は、外国人投資家売りで暴落した後、外国人投資家の買いで急騰しました。
<日経平均と外国人投資家の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2020年1月6日~2020年12月31日>
2020年の動きを見れば分かりますが、外国人投資家は日本株をうまくトレーディングしていません。2020年はコロナショック後の最安値で巨額の売りを出し、年後半の急騰局面で巨額の買いを出しているからです。安く売って、高く買っているので、2020年の外国人投資家は日本株のトレーディングで大失敗しています。
2020年はコロナショックで、世界景気は4~6月に戦後最悪の落ち込みを経験しました。ところが、世界中の政府・中央銀行が財政・金融の大盤ぶるまいをやった効果で、2020年後半にかけて、世界景気は急回復しました。日経平均はそれに反応して動いています。
アジアにコロナ禍が広がり始めたのは、2019年11月からでした。ただし、当初「コロナ禍はアジアに限定される」と楽観視されていました。
流れが変わったのが、2020年2月中旬です。欧米に感染が広がっているニュースが出ると、外国人投資家の猛烈な売りで日経平均は急落し始めました。そこは、外国人投資家売りについていくべき局面です。
外国人投資家の売りはあまりに強烈で、2020年3月にはテクニカル分析で見て「短期的に売られ過ぎ」のシグナルが出ていました。こうなると、外国人投資家の売りにはもう、付いていくべきではありません。しばらくして、外国人投資家の売りの勢いが緩んだところから、日経平均は急反発し始めました。
2020年だけでなく、過去の暴落局面では、いつも同じようなことが起こっています。2008年のリーマンショックもそうです。外国人投資家が売り始めた直後は、いっしょに売っていくべきですが、外国人投資家の売りが極端で、日経平均がテクニカルに「売られ過ぎ」の症状を呈した時には、外国人投資家とは違う動きをすべきです。
今はどうする?
外国人投資家が6月以降、少し売越になっているので、注意が必要です。少し、利益確定売りをしても良いと思います。
あるいは、株価が短期的に急騰してきた半導体・AI関連株を少しだけ売って、出遅れ好業績の小型株に乗り換えるのも悪くないと思います。
まだ明確なトレンドが出ていないので、あくまでも少し試す程度で良いと思います。
(窪田 真之)

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