先週はAI株が急落、日経平均は4,416円安となりました。今週は20日の米AI株が小幅安で終わったこともあり、日本でもAI株急落が一息つくかもしれません。
今週のトピック:米国アルファベット決算。日本でもディスコ、信越化学工業が決算発表。
日付 イベント 7月20日(月) ・米国とイランの戦闘激化、米兵死亡で米国株は続落 7月22日(水) ・米国でアルファベット(GOOG)、IBM(IBM)、テスラ(TSLA)が決算発表 7月23日(木) ・ディスコ(6146)などが決算発表・欧州中央銀行が政策金利を決定
・米国でインテル(INTC)が決算発表 7月24日(金) ・日本の6月CPI
・信越化学工業(4063)、中外製薬(4519)が決算発表
・人工知能(AI)半導体株は乱高下が続きそう? 日本時間23日(木)早朝のグーグル親会社アルファベット(GOOG)決算で下げ止まり、それとも下げ加速?
・AI株急落でも、非AI株の逆襲相場に期待! 値上げ期待の内需小売・サービス株や円安による好決算期待で外需の重厚長大割安株が見直し買い?
・来週以降、日米の決算発表が本格化。今週の日本株は業績上方修正の発表などで個別株が盛り上がりそう。AI株は米国巨大IT企業や韓国半導体メモリ企業など来週の決算待ちで週後半はこう着状態に?
7月21日(火)の日経平均
先週の4,416円安を受け、祝日を挟んだ週明け21日の日経平均株価は、前営業日比402円高の6万4,544円で反発スタートしました。その後も上げ幅を拡大し、前場は1,114円高で終了。後場に入るとキオクシアなど一部の半導体銘柄が押し上げ、一時1,900円超高となる6万6,000円台まで上昇しました。(7月21日15時現在)
先週(7月13~17日)の主要株価指数
終値 前週末比 前週末比率 日経平均株価 6万4,141円 ▲4,416円 ▲6.44% TOPIX 3,919.2pt ▲116.8pt ▲2.90% ダウ 5万2,146ドル ▲490ドル ▲0.93% S&P500 7,457pt ▲117pt ▲1.55% ナスダック 2万5,520pt ▲761pt ▲2.90% 注:▲はマイナスを示す今週のマーケット:AI株は底値探し!円安で好決算期待の外需株など非AI株は底入れ上昇続く?
今週はAIバブルの崩壊が決定的になるかどうかの瀬戸際です。
AI株は6月下旬から乱高下が続いていましたが、先週は世界一の半導体受託製造会社、台湾積体電路製造(TSMC:TSM)が77%増益の最高益更新と通期売上高見通しの上方修正を発表したにもかかわらず暴落気味に続落。
17日(金)には中国の新興AI企業ムーンショットAIが安価なAIモデルを開発したというニュースも流れ、日本が祝日の20日(月)は韓国AI株が続落したものの、米国のAI株はほぼ横ばいでした。
AIバブル崩壊懸念は、AIデータセンター向け巨額投資がピークアウトしそうなこと、半導体メモリの高騰が新工場の増設や中国企業からの調達検討で頭打ちになりそうなこと、肝心のAIサービスが競争激化で値下げ競争に突入しそうなこと、日本のAI株が半導体メモリ株のサムスン電子とSKハイニックスの2社で時価総額の50%超を占める韓国総合株価指数(KOSPI)暴落の余波を強く受けるようになったことなど、複合的な要因が重なっており、今週もAI株の乱高下が続きそうです。
日本時間23日(木)早朝には、グーグル親会社の米国アルファベット(GOOG)が決算を発表します。
同社をはじめとした米国巨大IT企業は2026年の1年間で約6,500億ドル(約105兆円)のAI向け設備投資を計画していますが、今回の決算でアルファベットが巨額投資を続ける姿勢を示せば、その恩恵を受けるAI株の下げが一服するかもしれません。
同社は法人向けAIクラウド事業が急成長しており、今回発表の2026年4-6月期決算でも同事業の売上高が前年同期比70%増と急拡大する予想も出ています。
アルファベットの決算で「AIビジネスは巨額投資に見合う収益を生み始めている」と市場が確信できるかどうかが鍵です。
先週は日本のAI株急騰を先導してきた半導体メモリのキオクシアホールディングス(285A)が前週末比32.3%も急落。
6月22日につけた最高値から半値以下まで急落し、ストップ安で先週の取引を終了しています。
これまでの上昇があまりに急だったため、たとえ下げ止まったとしても、すぐに反転上昇する勢いやパワーはなさそうで、多くのAI株は下値模索が続くでしょう。
ただ、半導体検査装置メーカーのアドバンテスト(6857)は先週も7.8%安と、上昇トレンドの押し目(調整)レベルの下落にとどまっています。
世界的な半導体の新工場建設で潤いそうな同社や東京エレクトロン(8035)、今週23日(木)に決算発表を行うディスコ(6146)など、半導体製造装置メーカーがAI株の反転上昇を先導する可能性もあります。
先週はAI株急落で日経平均株価は6.44%も急落しましたが、好決算を発表した内需小売株や株価が超割安な水準まで売られた鉄鋼株、自動車株など重厚長大な非AI系外需株には見直し買いが入り、33業種中18業種は上昇しています。
不安材料だった長期金利の上昇も政府が日本銀行に国債買い入れ増額を要請するかもしれないという報道を契機に、指標となる10年国債の金利が2.7%台まで低下。
来週31日(金)終了の日銀の金融政策決定会合では早々に利上げ見送り観測が報じられるなど、政府・日銀が株価乱高下の食い止め策に動いているのも追い風です。
また24日(金)には半導体シリコンウエハで世界シェアトップの信越化学工業(4063)が決算発表を行い、来週以降、日本企業の2026年4-6月期決算が本格化します。
外需株は円安進行、内需株は値上げ、金融株は金利上昇による収益向上に期待がかかっており、今週は好決算が期待できそうな銘柄に対する先回り買いも起こりそう。
株価が会社の解散価値を割り込んだ株価純資産倍率(PBR)1倍割れの好業績株や配当利回りが5%前後まで上昇した高配当割安株が見直し買いされる、非AI株の逆襲相場継続に期待が持てそうです。
注目イベント:アルファベット、IBM、インテル決算
今週はグーグルの親会社アルファベット(GOOG)が23日(木)早朝の決算発表でAIクラウド事業の売上や収益をどこまで拡大できるかが一番の注目材料です。
23日にはシステム開発世界一のIBM(IBM)も決算発表。
同社は先週14日(火)、企業のAI向けハードウエア支出の拡大でソフトウエア向け予算が減少したことで売上高が予想を下回る暫定決算を発表。前日比25%安という過去最悪の株価暴落に見舞われています。
23日早朝の本決算発表で見直し買いされるか、さらに続落するかに注目が集まります。
24日(金)早朝には、AIサーバー向け中央演算装置(CPU)の販売網拡大で4月以降、見直し買いされてきたインテル(INTC)も決算発表。
同社も先週は前週末比13%安と株価が急落しているだけに、好決算発表で反転上昇できるかに注目です。
市場別マーケット動向
日本市場
AI株暴落ばかりに目が向きがちですが、先週も好決算と増配を発表したイタリア料理チェーンのサイゼリヤ(7581)が前週末比34.8%も上昇するなど、全ての株が売られているわけではありません。
サイゼリヤに関しては決算発表の席で9月以降の値上げ実施の可能性を示唆したことが株価急騰に拍車をかけました。
今週末からは2026年4-6月期の決算発表が本格化することもあり、値上げで収益増が見込める小売、サービス、食品、生活日用品関連の内需株、1ドル162円40銭台という究極の円安で収益向上に期待できる自動車、鉄鋼、機械など外需株の株価上昇機運は高まっています。
米国市場
先週は米国の有力半導体企業30社が組み入れられたフィラデルフィア半導体株(SOX)指数が約10%も急落するなど、米国でもAI株が総崩れでした。
そんな中、AI事業で乗り遅れていたiPhoneのアップル(AAPL)が消去法的に買われ、17日(金)には高速半導体メーカー・エヌビディア(NVDA)を抜いて久々に時価総額世界一に返り咲きました。
2026年年初からの上昇率は前年末比約20%で、他の巨大IT企業を圧倒しています。
AI株が暴落してもほかの株が見直し買いされることで資金循環が進み、株式市場全体が全面安の展開にならないのが2026年の米国株の傾向かもしれません。
先週発表の米国6月消費者物価指数(CPI)の伸び率がガソリン価格下落で前年同月比3.5%増まで低下したこともあり、来週29日(水)終了の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ予想が低下しているのも追い風です。
ただ中東での米国・イランの戦闘激化が今週の下げ要因になりそうです。
業種・銘柄の動き
銘柄 先週の騰落率 ポイント キオクシアHD(285A) ▲32.3% 最高値の半値まで大暴落。今週はさすがに下げ止まる? サイゼリヤ(7581) +34.8% 好決算で急騰。AIバブル崩壊の資金逃避の受け皿に アップル(AAPL) +5.8% AI株急落の逃避先として一時、時価総額世界一に アルファベット(GOOG) ▲2.5% 23日(木)早朝の決算発表に期待と不安 注:▲はマイナスを示す先週までの振り返り:AI株が総崩れ!海運、パルプ・紙など割安株の見直し買いで33業種中18業種が上昇
先週はキオクシアHD以外にも、半導体ウエハのSUMCO(3436)が前週末比25.4%安、AIサーバー向け積層セラミックコンデンサーの太陽誘電(6976)が25.1%安となるなど、人気が高かったAI株ほど「たたき売られる」展開でした。
週間の業種別下落率ワーストは電子回路向け銅箔の三井金属(5706)が17.8%安、光ファイバーの古河電気工業(5801)が12.4%安となった非鉄金属セクター。
SUMCOの属する金属製品や太陽誘電の属する電気機器などAI関連株の多いセクターが大きく売り込まれました。
ただ、日経平均だけでなく東証株価指数(TOPIX)が3%近く急落する中でも33業種中18業種は上昇。
業種別上昇率1位はホルムズ海峡の再封鎖で船賃上昇期待が高まった海運業。
主力の日本郵船(9101)が8.0%高となるなど大きくリバウンド上昇しました。
トヨタ自動車(7203)が2.7%高、日本製鉄(5401)が6.4%高となるなど、これまで下落が続いてきた外需の鉄鋼、輸送用機器セクターにも見直し買いが入りました。
個別株では前述のサイゼリヤ以外にも、トレーディングカード事業が好調で2027年5月期の3期連続最高益更新予想を発表した中古品買取のブックオフグループホールディングス(9278)が19.1%高。
2026年8月期の通期業績予想を上方修正した「無印良品」の良品計画(7453)が17.6%高。
AI脅威論で売られてきたソフトウエア株も、名刺管理ソフトのSansan(4443)が2027年5月期の大幅増益予想を発表して6.0%高と続騰。
ITコンサルティングのフューチャー(4722)が24.9%高となるなど、AI半導体株が下がるとソフトウエア、ITコンサルタント株が上がる展開は今週も続きそうです。
セクター・業種(上昇・下落)
銘柄 騰落率 備考・要因 海運業 +6.71% ホルムズ海峡再封鎖による船賃高騰期待 パルプ・紙 +3.87% 製品値上げ期待で上昇 鉄鋼 +3.79% 超低PBRの高配当割安株として魅力高まる 金属製品 ▲9.50% SUMCO(3436)の前週末比25%安が打撃 非鉄金属 ▲11.78% 光ファイバー、銅製品株が総崩れ 注:▲はマイナスを示す(トウシル編集チーム)

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