上昇率で見劣りする東証グロース市場の上場銘柄には割安に放置された銘柄があるはず、という考えのもと、時価総額200億円以上の東証グロース銘柄から、同業他社比で割安な銘柄を探しました。見つけ出せた割安度が高い銘柄トップ5をご紹介します。


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PBR(株価評価)とROE(収益性)の比例関係を利用して割安銘柄を探索

 上昇率で見劣りする東証グロース市場の上場銘柄のうち、どの銘柄が特に割安かを知るために、株式の評価と収益性がおおむね、図のような比例関係にあることを利用して調査しました。


<株価評価と収益性はおおむね比例関係>
東証グロース上場の「割安銘柄」トップ5を徹底分析(西 勇太郎)
出所:各社資料より作成

 具体的には、2026年8月7日時点で時価総額200億円以上、かつ、直近通期決算で黒字を計上している東証グロース市場上場銘柄のうち、国内同業他社との間で株価純資産倍率(PBR)(株価評価)と自己資本利益率(ROE)(収益性)に比例関係が認められる66社について、国内同業他社(東証プライムなど他市場上場銘柄含む)比で割安か割高かを分析しました。


 そして、その割安度合い・割高度合いが解消された場合の株価を各社について計算。現在の株価からの上昇率が高い順に66社について並べ、トップ5を見つけ出しました。


 以下が、東証グロース銘柄の中で、国内同業他社比較の観点で割安感が高いトップ5企業です。


<東証グロース銘柄割安トップ5> 順位 社名 証券
コード 株価 PBR 割安感解消 PBR 株価 上昇率 1 LA HD 2986 2,654 2.1 3.9 4,900 85% 2 シンメンテHD 6086 1,063 4.3 6.8 1,700 60% 3 ポート 7047 2,593 3.2 5.1 4,100 58% 4 日本スキー場開発 6040 449 2.5 3.3 600 34% 5 ナレルグループ 9163 2,299 1.4 1.7 2,900 26% ※株価は2026年8月7日終値
出所:各社資料などより作成

1位:LA HD

 LAホールディングス(2986 東証グロース)は、首都圏特化の一棟再生事業を中心に、再生不動産、新築開発、賃貸、土地価値向上を展開する総合不動産グループです。


 グループ運営の効率化と事業価値向上のためにDXを経営の重要施策として位置づけ、契約書管理の統一や審査プロセス標準化による契約DXを推進。さらに新築開発や再生不動産では、設計・管理のデジタル化や顔認証IDの導入など不動産DXを進め、物件価値と運営効率を同時に高めています。これらの事業を基盤に、2031年へ向け時価総額1,000億円を目指しています。


 LA HDが行うリノベーション事業の同業他社には、カチタス(8919 東証プライム)、スター・マイカ・ホールディングス(2975 東証プライム)、ムゲンエステート(3299 東証スタンダード)などの企業があります。


 これら上場リノベーション企業主要12社について、上述の通り、収益性についてはROEを、株価評価についてはPBRを適用した散布図を作成すると、おおむね比例関係にあることが分かります。その中で、LA HD(英語名:LA Holdings)は割安方向にずれています。


 現在LA HDの株価は長期的な上昇トレンドにある中で2,654円(PBR2.1)となっていますが、なお割安感があります。この状況で、この割安感が解消された場合のPBR(散布図の青破線に乗る水準)は3.9であり、相当する株価は4,900円(85%上昇)です。


<主なリノベーション企業12社のROEとPBRの関係>
東証グロース上場の「割安銘柄」トップ5を徹底分析(西 勇太郎)
出所:各社資料より作成

 なお、分析対象とした12社の中で、東証グロース銘柄ではありませんが、ムゲンエステートとあかつき本社(8737 東証スタンダード)はLA HD以上に割安感が大きい銘柄です。


 ムゲンエステートは首都圏中心に中古一棟マンション・オフィスの仕入れ再生販売を行う不動産会社で、再生不動産を主力に、賃貸・開発も展開していて、安定した収益基盤を持ちます。あかつき本社は、首都圏中心に不動産再生、賃貸、開発を行う企業で、中古一棟物件の仕入れ再生を主力とし、賃貸収益と売却益の両輪で事業を展開しています。


<リノベーション企業割安銘柄(グロース市場以外も含む)> 市場 社名 証券
コード 株価 PBR 割安感解消 PBR 株価 上昇率 G LA HD 2986 2,654 2.1 3.9 4,900 85% S ムゲンエステート 3299 1,708 1.2 2.8 3,800 122% S あかつき本社 8737 608 0.9 3.0 2,100 245% ※市場区分はPがプライム市場、Gがグロース市場、Sがスタンダード市場
出所:各社資料より作成

2位:シンメンテHD

 シンメンテホールディングス(6086 東証グロース)は、ビル・商業施設・マンションの設備保守・清掃・警備を統合的に提供する総合メンテナンス企業グループです。中核子会社シンメンテは、設備点検・修繕・清掃を一括で担う「ワンストップ型FM(ファシリティマネジメント)」を強みとし、全国の商業施設や大規模物件を対象に事業を展開しています。


 グループとして、人材育成と技術標準化を重視し、設備保守の品質向上と効率化を推進。さらにDXによる点検データの可視化や遠隔管理を進め、予防保全型のサービスモデルへ転換を図ることで、安定収益と長期契約の拡大を目指しています。


 シンメンテHDが行うビルメンテナンス事業の同業他社には、スターツコーポレーション(8850 東証プライム)、日本管財ホールディングス(9347 東証プライム)、日本空調サービス(4658 東証プライム)などの企業があります。


 これら上場ビルメンテナンス企業主要10社について、上述の通り、収益性についてはROEを、株価評価についてはPBRを適用した散布図を作成すると、おおむね比例関係にあることが分かります。


 その中で、シンメンテHD(英語名:Shin Maint Holdings)は割安方向にずれています。現在同社の株価は過去一年間レンジ相場にある中で1,063円(PBR4.3)となっていますが、同業他社比の割安感が解消された場合のPBR(散布図の青破線に乗る水準)は6.8であり、相当する株価は1,700円(60%上昇)です。


<主なビルメンテナンス企業10社のROEとPBRの関係>
東証グロース上場の「割安銘柄」トップ5を徹底分析(西 勇太郎)
出所:各社資料より作成

 なお、分析対象とした10社の中で、東証グロース銘柄ではありませんが、スターツコーポレーションとハリマビステム(9780 東証スタンダード)はシンメンテHD以上に割安感が大きい銘柄です。


 スターツコーポレーションは、賃貸管理、仲介、開発を中心に、住宅、オフィス、ホテル、介護、出版まで展開する総合生活サービス企業です。

ピタットハウスを全国展開し、管理戸数は国内最大級です。ハリマビステムは、ビル、商業施設、病院、学校などの設備管理、清掃、警備を行う総合ビルメンテナンス会社です。


<ビルメンテナンス企業割安銘柄(グロース市場以外も含む)> 市場 社名 証券コード 株価 PBR 割安感解消 PBR 株価 上昇率 G シンメンテHD 6086 1,063 4.3 6.8 1,700 60% P スターツコーポレーション 8850 4,595 1.2 2.4 9,400 105% S ハリマビステム 9780 948 0.8 1.9 2,200 132% ※市場区分はPがプライム市場、Gがグロース市場、Sがスタンダード市場
出所:各社資料より作成

3位:ポート

 ポート(7047 東証グロース)は、就職、転職、金融、不動産など複数の領域で集客支援(メディア×営業DX)を展開するマーケティングテック企業です。特に就職支援メディア「キャリアパーク!」を中心としたHR事業が収益の柱で、学生・求職者のデータを活用したマッチング精度の高さが強みです。


 金融領域ではカードローン・クレジットカード比較メディアを運営し、成果報酬型モデルで成長。さらに不動産領域では投資用不動産の集客支援を拡大し、複数領域での送客プラットフォーム化を進めています。


 営業DX支援では、企業の商談獲得を代行する「Sales Platform」を展開し、BtoB領域の成長も加速中です。複数事業のポートフォリオにより、景気変動に強い収益構造を構築しています。


 ポートが行う特化型サイト事業の同業他社には、チェンジホールディングス(3962 東証プライム)、じげん(3679 東証プライム)、ウェザーニューズ(4825 東証プライム)などの企業があります。


 これら上場特化型サイト企業主要10社について、上述の通り、収益性についてはROEを、株価評価についてはPBRを適用した散布図を作成すると、おおむね比例関係にあることが分かります。


 その中で、ポート(英語名:Port)は割安方向にずれています。現在ポートの株価は過去三年間レンジ相場にある中で2,593円(PBR3.2)となっていますが、同業他社比の割安感が解消された場合のPBR(散布図の青破線に乗る水準)は5.1であり、相当する株価は4,100円(58%上昇)です。


<主な特化型サイト企業10社のROEとPBRの関係>
東証グロース上場の「割安銘柄」トップ5を徹底分析(西 勇太郎)
出所:各社資料より作成

 なお、分析対象とした10社の中で、東証グロース銘柄ではありませんが、チェンジHD、じげん、ビーグリー(3981 東証スタンダード)はポート以上に割安感が大きい銘柄です。

チェンジHDは、行政・企業向けにDX支援やIT研修を提供するITサービス企業で、自治体向けにはふるさと納税プラットフォーム「ふるさとチョイス」運営を通じて地域DXを推進しています。


 公共領域で強い存在感を持ちます。じげんは、求人、不動産、旅行、美容など複数領域で集客メディアと営業支援を展開するライフメディア企業です。成果報酬型モデルを強みに、横断データを活用した送客プラットフォームを拡大しています。


 ビーグリーは、漫画アプリ「まんが王国」を主力とする電子コミック配信企業です。自社IP創出やメディアミックスにも注力し、出版・映像など周辺領域へ事業を拡大しています。


<特化型サイト企業割安銘柄(グロース市場以外も含む)> 市場 社名 証券
コード 株価 PBR 割安感解消 PBR 株価 上昇率 G ポート 7047 2,593 3.2 5.1 4,100 58% P チェンジHD 3962 952 1.4 2.7 1,800 89% P じげん 3679 419 1.8 3.4 800 91% S ビーグリー 3981 1,226 0.9 1.4 2,000 63% ※市場区分はPがプライム市場、Gがグロース市場、Sがスタンダード市場
出所:各社資料より作成

4位:日本スキー場開発

 日本スキー場開発(6040 東証グロース)は、全国のスキー場を買収・再生し、運営効率化と集客力向上で価値を高める観光インフラ企業です。白馬、菅平、鹿島槍など長野を中心に複数の大型スキー場を傘下に持ち、リフト更新、コース整備、雪づくり設備投資を通じて収益力を改善しています。


 さらに、共通リフト券や統一ブランド戦略で広域周遊を促し、年間を通じた観光需要を創出。夏季はマウンテンバイク、トレッキング、アクティビティを展開し、四季型リゾート化で収益の季節偏重を緩和しています。地域自治体・観光事業者との連携も強く、地方観光の再生モデルを代表する企業として位置づけられています。


 日本スキー場開発が行うアミューズメント施設事業の同業他社には、ラウンドワン(4680 東証プライム)、GENDA(9166 東証グロース)、イオンファンタジー(4343 東証プライム)などの企業があります。


 これら上場アミューズメント施設企業主要6社について、上述の通り、収益性についてはROEを、株価評価についてはPBRを適用した散布図を作成すると、おおむね比例関係にあることが分かります。


 その中で、日本スキー場開発(英語名:Nippon Ski Resort Development)は割安方向にずれています。現在日本スキー場開発の株価は過去一年間軟調な展開にある中で449円(PBR2.5)となっていますが、同業他社比の割安感が解消された場合のPBR(散布図の青破線に乗る水準)は3.3であり、相当する株価は600円(34%上昇)です。


<主なアミューズメント施設企業6社のROEとPBRの関係>
東証グロース上場の「割安銘柄」トップ5を徹底分析(西 勇太郎)
出所:各社資料より作成

 なお、分析対象とした6社の中で、東証グロース銘柄ではありませんが、共和コーポレーション(6570 東証スタンダード)は日本スキー場開発以上に割安感が大きい銘柄です。共和コーポレーションは、北陸中心にアミューズメント施設「アピナ」を展開する企業です。ゲームセンター、ボウリング、カラオケを運営し、地域密着型の総合レジャー事業で安定収益を確保しています。


<アミューズメント施設企業割安銘柄(グロース市場以外も含む)> 市場 社名 証券
コード 株価 PBR 割安感解消 PBR 株価 上昇率 G 日本スキー場開発 6040 449 2.5 3.3 600 34% S 共和コーポレーション 6570 2,102 2.2 3.3 3,200 52% ※市場区分はPがプライム市場、Gがグロース市場、Sがスタンダード市場
出所:各社資料より作成

5位:ナレルグループ

 ナレルグループ(9163 東証グロース)は、建設・IT領域の技術者派遣・技術支援を主力とする人材サービス企業です。建設技術者派遣では、施工管理、設備管理、CADオペレーターなど専門職の人材を全国に供給し、長期案件を中心に安定した収益基盤を持ちます。


 IT領域では、システム開発、インフラ構築、運用保守などのエンジニア派遣を展開し、DX需要の拡大を追い風に成長。自社で教育研修を行い、未経験者を育成して派遣する「育成型派遣モデル」を強みとします。さらに、建設×ITのクロス領域での人材供給を強化し、技術者不足が続く社会課題に対応。高稼働率と長期契約により、景気変動に強い収益構造を構築しています。


 ナレルグループが行う製造業・IT人材派遣事業の同業他社には、ワールドホールディングス(2429 東証プライム)、UTグループ(2146 東証プライム)、オープンアップグループ(2154 東証プライム)などの企業があります。


 これら上場製造業・IT人材派遣企業主要11社について、上述の通り、収益性についてはROEを、株価評価についてはPBRを適用した散布図を作成すると、おおむね比例関係にあることが分かります。


 その中で、ナレルグループ(英語名:Nareru Group)は割安方向にずれています。現在ナレルグループの株価は長期的に低迷している中で2,299円(PBR1.4)となっていますが、同業他社比の割安感が解消された場合のPBR(散布図の青破線に乗る水準)は1.7であり、相当する株価は2,900円(26%上昇)です。


<主な製造業・IT人材派遣企業11社のROEとPBRの関係>
東証グロース上場の「割安銘柄」トップ5を徹底分析(西 勇太郎)
出所:各社資料より作成

 なお、分析対象とした11社の中で、東証グロース銘柄ではありませんが、ワールドホールディングス(2429 東証プライム)とコプロ・ホールディングス(7059 東証プライム)はナレルグループ以上に割安感が大きい銘柄です。


 ワールドHDは、製造、物流、IT、建設の人材派遣を中心に、住宅、不動産、農業、地域創生まで展開する総合人材×生活支援グループです。多事業ポートフォリオで景気変動に強いです。コプロ・HDは、建設技術者派遣を主力とする人材サービス企業です。施工管理・設備管理など専門職の技術者を全国に供給し、育成型派遣と長期案件で安定成長を続けています。


<製造業・IT人材派遣企業割安銘柄(グロース市場以外も含む)> 市場 社名 証券
コード 株価 PBR 割安感解消 PBR 株価 上昇率 G ナレルグループ 9163 2,299 1.4 1.7 2,900 26% P ワールドHD 2429 2,690 1 1.6 4,500 67% P コプロ・HD 7059 806 3.1 4.3 1,100 36% ※市場区分はPがプライム市場、Gがグロース市場、Sがスタンダード市場
出所:各社資料より作成

(西 勇太郎)

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