日本を代表する株価指数の一つであるTOPIXが10月から姿を大きく変える。スタンダード市場およびグロース市場から組み入れが始まり、市場での「流動性」をもとに組み入れ銘柄が決まる。

現在、TOPIXの組み入れ銘柄は1,650銘柄程度だが、市場推計では1,000銘柄程度に大きく減る見通しだ。どのような変化が起きるか読み解く。


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<TOPIXの見直しの概要>
変わるTOPIX スタンダード・グロース市場からも採用、銘柄数は減少へ
TOPIXの見直しの概要

日本を代表する二つの指数、代表選手の「日経平均」、全体を映す「TOPIX」

 そもそも日本を代表する株価指数は二つある。日経平均株価と東証株価指数(TOPIX)だ。日経平均は日経225の略称も持つ。構成銘柄数は東証プライムに上場する225銘柄、定期的な入れ替えをしている。指数の特徴として値がさといわれる株価の高い銘柄の値動きの影響を受けやすい。


 一方のTOPIXはかつては東証一部全体が組み入れ銘柄だった。個別株の株価よりも時価総額が大きい銘柄の動向が指数に影響しやすく、定期入れ替えもなかった。日経平均が日本という国の「代表選手」、TOPIXは日本市場の全体を映しやすい指数だ。


 2026年は日経平均が7万2,831円まで水準を切り上げた後、半導体関連の下げを映して日経平均は水準を切り下げ、変動の大きい展開が続く。一方、TOPIXは8月12日に算出以来の高値を更新、その後は日経平均に比べると穏やかな推移となっている。


<日経平均の年初からの推移>
変わるTOPIX スタンダード・グロース市場からも採用、銘柄数は減少へ
日経平均の年初からの推移

<TOPIXの年初からの推移>
変わるTOPIX スタンダード・グロース市場からも採用、銘柄数は減少へ
TOPIXの年初からの推移

1回目の変化は完了済み、新たに導入される二つの基準は「流動性」を考慮

 TOPIXは1回目の変身を終えている。2022年の東京証券取引所による市場再編をきっかけに見直した。

いわゆる政策保有株を固定株とする浮動株比率の算定方法の見直し、東証プライム市場の上場基準である流通株式時価総額100億円未満の銘柄を段階的な除外を実施した。


 市場再編の前にTOPIXに組み入れられていた銘柄数は約2,200銘柄だったが、2025年1月にはおよそ1,700銘柄に減少した。


 2026年10月に控えるのは2回目の見直しとなり、市場区分にかかわらず東証の全市場がTOPIXの組み入れ対象になる。加えて、指数への新たな組み入れとなる「追加」、すでにTOPIXの構成銘柄を対象に「継続」の可否を決める二つの基準を導入する。


 市場での売買の活発さを示す年間売買代金回転率、市場で流通する株式でみた時価総額「浮動株時価総額の累積比率」という基準を設ける。初回の入れ替えは2026年10月、2027年10月には影響を緩和する観点から「再評価」のタイミングを設け、2028年10月からは「定期入れ替え」となり、基準に照らして中身を定期的に見直す。


 重要な基準は「浮動株時価総額の累積比率」だ。これまでTOPIXに入っていなかった銘柄が追加となるためには「上位96%以内」、これまでTOPIXに組み入れられている銘柄を継続して採用する場合は「上位97%以内」だ。


変わるTOPIX スタンダード・グロース市場からも採用、銘柄数は減少へ
次期TOPIXルール(主な変更内容)

 ざっくりかみ砕くと、(1)上場する市場に関係なく市場で流通する株式の時価総額が大きければTOPIXに採用になる、(2)現在TOPIXの採用銘柄であっても流通する時価総額が小さければTOPIXから外れる可能性がある。


「指数の連続性と機能性の向上」、意見公募ではおおむね「賛同」

 TOPIXを算出するJPX総研を傘下に持つ日本取引所グループ(8697)の山道裕己・最高経営責任者(CEO)はTOPIXの見直しについて「指数の連続性」を保ちつつ「市場代表性と投資対象としての機能性の向上」と説明してきた。


 JPX総研は見直しに際して市場参加者含め広く意見を募っている。2024年6~8月に意見を募った「指数コンサルテーション」では「多くの賛同意見」があった。TOPIXという指数の「広範網羅性」が維持されつつ、「投資対象としての機能性を高める」「運用者としてもメリットがある」との意見などだ。


どんな変化が起きるか 銘柄数の減少や「採用」銘柄に買い期待も

企業はTOPIXに残ろうと浮動株を引き上げ、時価総額の向上に腐心

 TOPIXの変身を前に上場する企業も対応策を講じてきた。その一つは基準の一つが市場で流通する「浮動株」のため、特定企業が持つ「政策保有株(持ち合い)」の削減だ。自社で保有する株式の「売り出し」などで個人投資家の保有を増やす動きなどがあった。企業によっては開示資料に「TOPIX構成銘柄の選定継続を意識」なども記述した。


 2026年10月の初回入れ替えに向けた浮動株の算定は例えば3月を期末とする企業の場合、2025年3月末時点が基準だ。2026年1月以降にも「浮動株」の引き上げを狙った施策を講じた企業もあったが、2027年10月の「再評価」での反映となる。


 初回選定に向けては「時価総額」の向上を狙い個人投資家からの評価を集めるために株主優待の「新設」や「拡充」などの動きもある。初回選定の基準となるのは2026年8月、実はTOPIXに現状採用されていて、時価総額が低い企業にとってはこの夏はアツい戦いの場となる。


新規採用は30程度、除外は700超、次期構成銘柄は1,000以下の可能性

 実際、どれくらいの企業がTOPIXに採用になり、現在組み入れられている銘柄が除外となる可能性があるか。市場推計では「採用」は30銘柄程度、「除外」は700銘柄程度との見立てだ。2026年6月末時点のTOPIX構成銘柄は1,638だったため、試算上では1,000銘柄以下になる可能性がある。


 当初、JPX総研がTOPIXの見直しを公表した際には1,100~1,200銘柄となるとの試算だった。その後にTOPIXが最高値を更新し、相対的に大型株への資金流入が大きくなる中、新たな基準である「上位」で構成銘柄を区切る仕組みが影響する。


変わるTOPIX スタンダード・グロース市場からも採用、銘柄数は減少へ
TOPIX採用銘柄数の推移

 仮に採用となった場合には投資信託や上場投資信託(ETF)などからの資金流入が見込まれ、株価にはプラスに作用しやすい。6月末時点を基準にすると、スタンダード市場から20銘柄程度、グロース市場から10銘柄程度が新たにTOPIX銘柄への採用が見込まれる。


 具体的にはスタンダード市場からは日本マクドナルドホールディングス(2702)やフェローテック(6890)、セリア(2782)、東映アニメーション(4816)、グロース市場からはパワーエックス(485A)などとなる。


 一方、現在TOPIXに採用されていて除外となる可能性がある銘柄の株価はTOPIXを下回る銘柄が多くなっている。あるアクティブな投資家は「TOPIXから外れる銘柄をショート(空売り)している」とも話していた。つまり先回りしている投資家が存在している。除外候補となる銘柄の基準は浮動株時価総額400億円程度だ。


 仮に10月から除外となると、段階的に組み入れられるウエートが下がり、2027年10月には「再評価」となる。「再評価」は円滑に移行を進めるための措置だ。いったん除外となってしまった銘柄には厳しい道のりが待っている。


 そもそも時価総額が相対的に小さく、日々の売買も大型株に比べて活況とはいい難い。その中でウエートが下がっていくと段階的に売り圧力が続く可能性がある。

先のアクティブな投資家のように先行して売り(ショート)している投資家の買い戻しが入る可能性はあるものの、日々の売買が薄い中では株価が不安定に動く可能性がある。


 10月の第5営業日には新たなTOPIXがどのようになるか公表される見込みだ。10月末にはいよいよ新たなTOPIXとして日本を代表する株価指数の枠組みが変わり、段階的な移行措置に入る。


 2028年10月からは定期入れ替えという形で1年に1度、組み入れ銘柄が変わっていく。TOPIXに残りたい、またはTOPIXに組み入れられて連動資産の売買という恩恵を受けたいという企業が株主還元の強化、成長投資に踏み込むなどの副次的効果が期待されている。


 機能性を高めた新たなTOPIXがどのようなパフォーマンスになるか上場企業の行動の変化につながるか、TOPIXの見直しは大きく長期のテーマだ。


(中山 桂一)

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