「小田急電鉄」買い手への転換が始動 ホテルに先駆け不動産でM&A

私鉄大手の小田急電鉄<9007>グループが、成長領域でのM&Aに乗り出した。

ホテル事業でM&Aを含む成長投資を掲げる中、傘下の小田急不動産は、首都圏でマンション管理事業を展開するリプレイス(東京都足立区)を子会社化した。



小田急電鉄グループでは、事業ポートフォリオの再構築や資産売却を経て成長投資に軸足を移しており、「買い手」への転換がホテルに先駆けて不動産分野で具体化した格好だ。

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管理戸数は1万戸超に

小田急不動産は2026年7月31日、リプレイスの全株式を取得した。

リプレイスは首都圏を中心に5000戸を超えるマンションを管理しており、管理組合に対するきめ細かな提案活動と高い顧客対応力を強みとする。

新規の管理受託を獲得する営業力に加え、大規模修繕工事の提案支援や、設備補修を担う専門事業者とのネットワークも持つ。

2025年9月期の売上高は9億3300万円だった。

小田急不動産は、マンションや戸建て住宅の開発・分譲、オフィスビルやマンションの賃貸、不動産仲介などを展開する。

傘下の小田急ハウジングは、マンション管理やリフォームを中心とする住生活サービス事業を展開しており、住宅の供給から入居後の維持管理、修繕、リフォームまで幅広い事業基盤を構築している。

リプレイスの子会社化により、小田急不動産グループのマンション管理戸数は1万戸を超え、マンション管理事業の規模を大きく拡大する。

売却局面から成長投資へ

小田急電鉄グループは、事業ポートフォリオの再構築を進めるとともに、積極的に資産を売却してきた。

2020年にはホテルセンチュリー静岡を運営するホテル小田急静岡をブリーズベイホテルに譲渡した。

2023年にはハイアット リージェンシー 東京を運営するホテル小田急を売却した。

2024年には、ホテルや旅館、飲食施設などの企画、設計、運営を手がける子会社のUDSを野村不動産ホールディングスに譲渡した。

足元では、こうした売却を中心とする局面から成長投資へと重心を移している。

小田急電鉄は2024年5月に2025年3月期から2027年3月期までの中期経営計画を公表し、2025年5月には2026年3月期から2027年3月期までを対象とする中期経営計画を改めて策定した。



2025年の計画では、ホテル事業で運営受託やM&Aを活用して2031年3月期までに新規案件3~4件を獲得する方針を示した。

さらに2026年5月13日に公表したアップデート版では、ホテル事業への投資額を360億円から420億円に引き上げた。

ただ、ホテル事業では現時点で、企業買収案件は公表されていない。

不動産に集中投資

これに対し、不動産分野ではリプレイスの子会社化が実現し、成長投資が具体化した。

2024年5月の中期経営計画では、不動産領域を収益の第一の柱と位置付け、集中的に資本を投下する方針を示した。

新宿や海老名などの沿線開発を進めるほか、物件の売却などで早期に資金を回収する投資や、国内外の不動産投資にも取り組み、2031年3月期に営業利益300億円を目指すとした。

アップデート版では、この方針を維持したうえで、2031年3月期の営業利益目標を300億円から320億円に引き上げた。

小田急不動産は、既存事業の成長に加え、事業戦略や強みとの親和性が高い分野でM&Aを成長手段として活用する方針を示した。

今回の子会社化は、開発用地や物件を取得する案件ではなく、安定した収益が見込めるマンション管理事業と顧客基盤を取り込むものとなる。

ホテルで計画するM&Aとは対象分野が異なるものの、資産や事業の売却を進めてきた小田急電鉄グループが、成長分野の企業を傘下に収める動きが具体化した案件といえそうだ。

「小田急電鉄」買い手への転換が始動 ホテルに先駆け不動産でM&A
小田急電鉄グループの主な事業売却と成長投資

文:M&A Online記者 松本亮一

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