「成長する戦闘機」の意外な弱点

 世界各国で導入が進むステルス戦闘機「F-35」。ソフトウェアの更新によって能力を向上させられる「成長する戦闘機」として知られていますが、意外にも新しい装備を追加するのは簡単ではないという課題を抱えています。

そんなF-35の弱点ともいえる課題を解決するかもしれない装備が、イギリスで開催された「ファーンボロー国際航空ショー2026」で公開されました。

F-35に「デベソ」出現!? 進化し続けるステルス戦闘機、弱...の画像はこちら >>

 展示したのは、デンマークの防衛企業Terma(テルマ)が開発する「マルチミッションポッド」です。機体のお腹に取り付けるその姿は、まるで“デベソ”のようです。

 F-35は世界最先端のステルス戦闘機ですが、その進化には思わぬ壁がありました。機体内部には高性能なセンサーや電子機器が高密度に搭載されているため、新たな機器を追加するスペースがほとんどないのです。新しいレーダーや電子戦装置が開発されても、機体構造の変更や飛行試験、再認証といった大規模な改修が必要となり、高性能ゆえにアップグレードも簡単ではないというわけです。

 そこでTermaが着目したのが、すでに飛行試験や認証を受けているF-35用の25mm機関砲ポッドでした。じつは同社は、このガンポッドの開発・製造を担当してきたメーカーであり、これまでに100基以上を納入した実績を持ちます。Termaによると、同社はF-35用の認証済み外部ポッドを手掛ける唯一のメーカーだといいます。

 今回発表されたマルチミッションポッドは、このガンポッドとほとんど同じ形をしています。これにより、飛行特性やステルス性能への影響を抑えながら、新たな機器を比較的低リスクかつ低コストで搭載できるよう設計されています。展示では電子戦装置やSAR、長距離偵察センサー、追加電源モジュール、将来的な指向性エネルギー兵器などの搭載例が示されており、F-35へ新たな任務能力を付与することが期待されています。

「成熟期」に入ったF-35の進化のカタチ

 Termaの関係者は、F-35はベストセラー機であるF-16と同じように、運用を続けながらさまざまな能力を追加していく「成熟期」に入ったと説明します。将来、新しいセンサーや電子戦装置、さらにはレーザー兵器が実用化された場合でも、戦闘機そのものを大きく改修するのではなく、ポッドを交換するだけで能力を追加できるのです。

F-35に「デベソ」出現!? 進化し続けるステルス戦闘機、弱点を克服する“後付け”の新装備とは
ファンボローエアショーに展示されたマルチミッションポッドの実物大モックアップ(布留川 司撮影)。

 この方法であれば、機体そのものを改修する必要がなくなり、必要な機体だけへ新たな能力を付与できるため、導入コストの低減にもつながると期待されています。機体内部の改修が難しいF-35にとって、このポッドは有力な選択肢となりそうです。将来、F-35の進化は、機体そのものではなく“お腹のデベソ”から始まるのかもしれません。

【画像】えっ…これが「デベソモードのF-35」スゴい姿です

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