コメ価格の急騰や品不足で市場が混乱した「令和のコメ騒動」が過ぎ去った。コメを供給してきた米穀(米麦)卸売業は4期前と比べて売上高が約2倍、利益(最終利益)は4.5倍と、業績が急拡大したことが東京商工リサーチ(TSR)の調査でわかった。
ところが、2026年度は「コメ余り」とコメ価格の下落で、高値で仕入れた在庫の逆ザヤに直面。一転して業績が急失速する可能性も出てきた。
2026年1-8月の米穀卸売の倒産は2件(前年同期4件)だが、新米シーズン到来を前に古米の損切り(安値処分)や「米粉」の市場開拓など、新たなビジネス展開で明暗が分かれそうだ。
5期連続で比較可能な全国の主な米穀卸売業411社の最新期(2025年度)は、売上高合計が2兆899億円(前年度比37.8%増)、利益は453億円(同115.7%増)だった。
4期前の2021年度は、売上高合計が1兆1,386億円、利益は99億円だった。21年度と「コメ騒動」の2025年度を比べると、売上高は約2倍、利益は4.5倍と異常な伸び率が浮かび上がる。それだけ米価高騰が米穀卸に恩恵を与えたことがわかる。
6割が増収増益
2025年度の増収企業は323社と約8割(構成比78.5%)に達した。減収は43社(同10.4%)、横ばいは45社(同10.9%)とそれぞれ1割にとどまる。また、売上高100億円以上の企業は、21年度では20社にとどまっていたが、23年度は24社、24年度は28社、25年度は42社と急増している。利益(25年度)は黒字369社(構成比89.7%)、赤字42社(同10.2%)で、約9割が黒字だった。
2025年度は売上、利益ともに大きく伸ばし、全体の6割(構成比60.1%)の247社が増収増益を果たした。
「コメ不足」のなかで、好調な業績を謳歌した格好の米穀卸だが、2026年度はコメ価格の下落で状況が一変している。
スーパーの棚に並ぶコメ価格は日に日に下がり、卸売業者の利幅を直撃している。
さらに、高値掴みの在庫を多く抱える卸売業者には、次の重しが降りかかってくる。
仕入価格が販売価格より高い場合、米価の逆ザヤも現実味を帯びてきた。流通在庫の積み上がり解消への手立ては、価格下落との兼ね合いもある。
新米供給と古米買戻しの動向を睨みながら、米価安定まではイバラの道が続きそうだ。
(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2026年9月11日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)

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