TBSの10月期金曜ドラマ「LOST10」に主演する横浜流星が、取材に応じ、作品に懸ける思いや、撮影の様子について語った。本作は、北海道を舞台に、登山ツアー中に発生した遭難事故をきっかけに、それぞれの運命が複雑に絡み合い、物語が展開していく完全オリジナルのヒューマンサスペンス・エンターテインメント。

(場面写真は本稿が初公開)。

-大河ドラマ主演後、初のGP帯連続ドラマ主演になりますが、本作に懸ける思いを。

 大河ドラマの最中にどんな作品を作ろうかという話はしていました。大河後の1作目は、大事だと思っていたので、当初は映画をと思いましたが、やはり自分を見いだし、育ててくださったのは民放のドラマですし、そこには恩義があるし、ずっと大好きなチーム、(プロデューサーの)新井(順子)さん、(演出の)塚原(あゆ子)さん、(脚本の)奥寺(佐渡子)さんとご一緒できることに加えて、小栗(旬)さんともご一緒できることに胸が高まったので、全力でこの作品に挑もうという気持ちになりました。

-最初に脚本を読んだ印象と本作の魅力について。

 お三方の作品は全て見てきましたが、特に「Nのために」が好きな作品でした。初めて新井さんとお会いした時に「『Nのために』が好きなんです。ぜひご一緒させてください」とお話しをして、それが「着飾る恋には理由があって」につながって、また今回ご一緒できたことにご縁を感じます。脚本を読むと、サスペンスなんですけど、根底には人間愛があって、その緻密な心理描写に心が揺さぶられました。奥寺さんが書く脚本はどれも好きですけど、今回は、少し挑戦を感じました。もちろん人間を中心にという魅力は変わらず、社会に切り込んでいくようなところに、自分の中ではすごく挑戦を感じて、そこに乗っかれることを非常にうれしく思いました。

-現場の雰囲気はいかがですか。

 現場の空気感はとてもいいです。和気あいあいとした雰囲気で、ちゃんとスイッチのオンオフがありますし、何よりプロデューサーが常に現場にいてくださることはあまりないので、そこに信頼感があります。塚原さんも、われわれの感情の機微を救い取ってくださる方なので、自由でいられます。役者として幸せなことです。奥寺さんの脚本を読んだ時と実際に現場に立った時とでは大きく印象が変わりました。脚本は完成されているのですが、後は現場に任せたみたいな余白を感じるんです。だから、実際に小駒として現場に立って、塚原さんの演出があって、相手役がいて、今回はロケが多いので、ロケの空気や匂い、そういうものが全てが合わさった時に、ピースが埋まるような感覚があって、すごく楽しいです。その分悩むこともいろいろありますが、とても充実した時間を過ごせています。

-今回の小駒という役をどう捉えてアプローチをしていますか。

 小駒は、分かりやすいというか、正義感や行動力があって、豪胆で短絡的で、出世欲もあって、何度も異動届を出しているけど、それが認められず、地方の高齢化が進んでいる警察署の中では一番の若手。でも30歳なので、新米と中堅の間にいる。だからこその葛藤もあります。

自分も今年30歳なので、いろいろと経験を重ねてきたという思いと、まだまだという気持ちの間に挟まれているような感覚があるので、そこは自分とも重なるところがあります。警察という組織の理不尽さや、自分の誠意が前に出過ぎて衝突する中での葛藤や心の揺れもあるので、真っすぐな人物ですが、そういう繊細さはすごく大切かなと思います。あとは、彼の成長の物語でもあるので、そこは見てくださる方々にも見守っていただけるように、魅力的な小駒を生きられればと思って撮影しています。

-小栗旬さんの印象や、共演してみての感想や手応えを。

 この作品において2人の関係性はすごく大事だし、面白くしなければいけないと思っています。そんな中で小栗さんは、現場でも皆と同じ目線に立ってくださり、とても温かく引っ張ってくださいます。どんな人からも好かれるし、人間力がある方だなと思います。人としても芝居でも学ぶことが多いです。自分の中で今、役者として課題にしていることは、脱力感や抜け感みたいなこと。どうしても1つのことに集中して入り込んでしまうところがあるので。『国宝』の李(相日)監督とお会いした時に、「真っすぐさとかストイックさがあるのは十分に分かったけど、抜けや圧力感もあるといいよね」と言われて、どうしたらいいのだろうとすごく悩んでいました。小栗さんは、その抜け感とか脱力感を自由自在に操られる方で、まさに今自分が課題としている時に出会って、お芝居ができることは、すごく幸せなことだし、全部吸収しようと思っています。

役としても小駒は一直線で動くような人物なのに、組織にいるから身動きが取れない。でも、小栗さんが演じる直は自由に動く。それをうらやましく思う。小駒は北海道にいて、小さな世界しか知らないけど直は東京や自分の知らない世界も知っている。だからこそ、小駒は人としても魅力的な直に感化されていく。それは自分と小栗さんとの関係性にもすごく重なると思っています。

-北海道ロケのために準備していることはありますか。

 ちゃんとそこにいる人としてなじむようにと意識しています。体作りは体重を増やしています。刑事の役なので、常に体を動かせるように、筋トレをしたり、食事を多く取ったりして健康体に見えるようにしています。去年、48キロぐらいまで体重を落としてしまったので、そこから頑張って増やして臨んでいますが、保険調査員役である小栗さんの体が大きいので、それに負けないように、いつも小栗さんを見ながら自分を鼓舞しています。

-視聴者の方々へメッセージを。

 まずはこのチームでオリジナルの作品を皆さんに届けられることをうれしく思っています。サスペンスや考察が好きな方にもご満足していただけると思います。でも自分の中で一番大切な部分はヒューマンの部分です。毎回皆さんをハラハラさせながら、しっかりと心に届く作品をお届けできるよう日々撮影に挑んでいますのでご期待ください。

(取材・文/田中雄二)

編集部おすすめ