日本対ブラジル戦は見る者すべてが90分間、ハラハラする一戦だった。ブラジルは日本のガチガチの守備に苦しめられた。
ブラジルは日本がそんなプレースタイルでくるとは予想していなかった。日本に追加点を奪われる危険はそれほどなかったが、ゴールへの道が見えない。その苦しさは試合後の選手たちのコメントにも表れていた。
それはカルロ・アンチェロッティ監督がブラジルの『TVグローボ』に語った言葉からもわかる。
「日本は我々の勝利をより価値の高いものにしてくれた。コンパクトなプレーでスピードがあり、ディフェンスは固く、彼らからゴールを奪うのは難しかった。特に後半はほぼ9人で守っていたので、用意していた戦術を変えなくてはならなかった。日本はこの大会の最初の3試合とはまるで違うチームで、それは私にとっては驚きだった。彼らはブラジルのゴールを脅かすことはほぼなかったが、ブラジルもゴールへの道を閉ざされ、かなり苦しめられた。たぶん、ここまでで一番難しい試合だったろう。何よりうれしかったのは、選手たちが終始落ち着いてプレーしてくれていたことだ。
「日本はまるで守備をするだけのために、ピッチに立ったような感じだった。守りは固く、やりたいことをやらせてくれない。彼らは自分たちのプレーをし、相手にもプレーをさせてくれるチームだと思っていたが、この試合では違った。正真正銘のいいサッカーではなかった。サッカーというゲームをするというより、守ると決めたチームとの戦いだった。そんな日本はたった一度の我々のミスを見逃さず先制した。ブラジルはまず同点に追いつくことを目指したが、大変だった。でも最終的には、きちんとサッカーをしたチームのほうが勝利を得たのだと思う」
【マテウス・クーニャ「あのジェスチャーは...」】
佐野海舟のゴールを呼ぶこととなったミスを犯したダニーロは、そのプレーを悔やんでいた。
「前半、中盤でパスをミスした。日本人はすかさずそれをカットし、ボールを自分たちのものにすると、その2秒後にはゴールしていた。すべて私のミスだ。
GKのアリソンもたった一度のミスを悔やんだ。
「日本のゴールは私のポジショニングの過ちでもあった。だが、その後はほとんどミスを犯すことはなかった。ピッチは終始、苛立ちが支配していたが、戦術的に最も統制の取れたチームに勝てたことはうれしい」
ミックスゾーンでブラジルの選手の話を聞くなかで、私はあることに気がついた。彼らの多くが、日本の塩貝健人が試合前にブラジルに対して放った発言について言及していることだ。
特にマテウス・クーニャは、ブラジルの勝利が確定した直後、塩貝に向けて五本の指を立て「自分たちは5回優勝している」というジェスチャーをして見せている。彼はその真意をこう説明した。
「僕たちはいつも日本をリスペクトしてきた。日本はここ最近、目覚ましく成長しており、対応するのが難しい、世界で一番いいプレーをするチームだと思う。だからこそ、彼の発言は残念だった。
その発言は傲慢だった。だから誰に向かって何を言っているのかをわかってもらうため、あのジェスチャーをした。別にミームにしてほしかったわけじゃなく、本当に知ってほしかった。我々はこのブラジルで、国を代表する選手として選ばれた。ブラジルを知らない者に馬鹿にされるのは我慢できなかった。彼には、黙って自分のやるべきことだけをやれと言いたい」
【マルキーニョス「DFは仕事がなかった」】
キャプテンのマルキーニョスも、日本の守りの固さを語るとともに、塩貝の発言にひと言を加えた。
「試合を見た人は、ブラジルのDFは仕事をする必要がなかったと思っただろう。日本が超守りのスタイルで来たから、我々の仕事は日本のボールキープのスタートを潰し、カウンターをさせないことだけだった。日本の選手が試合前にいろいろ言っていたことは残念だった。そのせいで試合にはどこか、苛立った空気があったのは本当だ。
途中交代で入ったファビーニョの感想もやはり同じだ。
「今日ブラジルが勝った相手は、負けないためにピッチに立ったチームだった。もちろんブラジルに対してそんなプレーをするチームは日本だけじゃないけどね。最初のゴールは、日本人にとっては宝くじに当たったみたいにうれしかっただろう。でも、我々は勝つためにここに来た。守るだけでは勝てない。ブラジルを消せると思っていたチームに勝ったことはうれしかったけど、ユニフォームを交換する気にはなれなかった」
この日、何度もシュートを放ったもののゴールを奪えなかったヴィニシウス・ジュニオールは、その悔しさを語った。
「決めようとした一番いいシュートを外したことには怒っている。試合前にいろいろなことを聞いたから、日本戦でゴールを決めたかった。日本は僕にふたりのマークをつけてきたけど、それは上策ではなかった。かわりに(ガブリエウ・)マルティネッリがフリーになったんだからね」
ミックスゾーンではネイマールにも話を聞けた。
「彼(塩貝)の発言は口先だけのものだ。
【ジーコ「日本のベストではなかった」】
最後にジーコの言葉を聞こう。彼は今大会、『ESPNブラジル』の解説者を務めているが、そこでこの試合をこう評した。
「ブラジルは前半、ゴールを奪われ、とても苦しめられた。しかし最終的には王者の風格を見せた。こういう試合がワールドカップでは非常に重要になる。我々はブラジルらしさと落ち着きでスコアを変えた。アンチェロッティの采配は天才的だった。
一方、日本については、試合の戦い方に疑問を呈した。
「日本の中盤はブラジルよりスピードがあるのだから、なぜその武器を使わなかったのか、疑問が残る。守ることだけしか考えていなかったのは残念だった。今日の試合は日本のベストではなかった」
ちなみに試合のMVPには逆転ゴールの立役者でもあったブルーノ・ギマランイスを挙げていた。
この試合について、私の言いたいことはすでに選手たちが言ってくれている。とにかく日本の"ほぼ守備"という戦い方には驚かされた。世界があれほど称賛してきたプレーをなぜここで捨てて、小さなチームのような戦い方を選んでしまったのか、理解に苦しむ。ブラジルと日本がぶつかり合う、本当のサッカーが見られることを楽しみにしていた世界中のサッカーファンの期待を裏切る形になったのは、本当に残念である。日本にはもっと自分たちに自信を持ってほしかった。

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