福田正博 フットボール原論

■シーズン移行により、8月7日にスタートしたJリーグ。序盤の各チームの戦いを福田正博氏はどう見たか。

注目のチームを挙げてもらった。

【優勝のために負けていい試合数は決まっている】

 Jリーグ2026-27シーズンは第6節が終了したが、今季も混戦の優勝争いを予感させるスタートになった。

【Jリーグ】福田正博が新シーズン序盤戦で注目するチーム「監督...の画像はこちら >>
 ここまで無敗なのは、首位のFC町田ゼルビアのみ(5勝1分、勝点16)。2位のヴィッセル神戸は4勝1分1敗で勝点13、3位の鹿島アントラーズと4位の柏レイソルは4勝0分2敗で勝点12。5位のサンフレッチェ広島と6位のFC東京は3勝2分1敗で勝点11だ。

 10位の川崎フロンターレと11位の水戸ホーリーホックも6試合を終えて1敗だが、両チームとも3分している。上位に食い込むには、勝ちきる試合を増やすことが課題になる。

 優勝争いを念頭に置くのなら、年間で獲得可能な勝点114のうち3分の2にあたる勝点76前後を獲得する必要がある。実際、2025年シーズンに優勝した鹿島は勝点76で、2位になった柏は勝点75だった。勝点1差ではあるが、視点を変えれば「シーズン獲得可能ポイントのうち3分の2に到達した鹿島」と「それを達成できなかった柏」という構図になる。

 もちろん、過去には優勝到達時の勝点が3分の2以下のシーズンもある。そういう場合は、3、4チームが団子状態のまま終盤までもつれ込んだケースだ。

 年間38試合を23勝7分8敗でいけば、獲得勝点は76になる。

つまり許容される敗戦は8試合ということだ。今シーズンは年内最後の12月19日の第20節で約2カ月中断となるが、ここを約半分と考えると年内で負けられるのは4試合という計算になる。

 こうした視点に立つと、2025年王者の鹿島がすでに2敗を喫しているのは気になるところだ。鬼木達監督就任1年目だった2025年は、鹿島らしい縦に攻める強さを取り戻して王座を奪還したが、今季は縦だけではなく、ボールをつなぐところにも取り組んでいることが苦戦の要因かもしれない。すでに失点が11と多いのは、その表れでもあるだろう。

 ボールを持ったら縦に行けばいいだけだったのが、パスを回して落ち着く時間をつくろうとすると、判断の選択肢が増える。しかも、ひとりだけではなく、チーム全体でその判断が共有されなくては、チグハグになってしまう。攻撃のバランスを取るというのは非常に難しいことなのだ。それもあってか、新加入のマテウス・ブエノ(前清水エスパルス)やヤン・マテウス(元横浜F・マリノス)が、以前のJリーグで見せていた本領をまだ発揮できていないのかもしれない。

 ただ、鬼木監督は2025年シーズンに3連敗を2度喫しながらも、鹿島を優勝まで導いた。きっと一定のところまでは我慢して成長を待つはずだが、見切りをつければ決断は早く、立て直す手腕もある。それまでに鹿島が新たな戦い方を自分たちのものにできるのか、興味深く見ていきたい。

【楽しみな2チーム】

 百年構想リーグ終了後に京都サンガF.C.から曺貴裁監督を迎えた浦和レッズは、曺監督のスタイルである縦方向にダイナミズムのあるサッカーへの変貌に取り組んでいる。

 開幕戦ではガンバ大阪に3−4で敗戦し、続く広島戦では1-4、第3節では町田に1-3で敗れて3連敗スタートになった。しかし、第4節の横浜FM戦を3-2で制して今季初勝利を挙げると、続くアビスパ福岡戦も3-2で勝利。さらに第6節の鹿島戦では1-0と相手を封じ込めて3連勝をマークした。

 6戦を終えて3勝3敗で勝点9の12位だが、内容は試合を重ねるごとによくなっている。鹿島戦では今季初の無失点だった。

 これまでの浦和はどういうサッカーをやりたいかがぼんやりしていたが、曺監督のもとでは明確になった。これは浦和にとってはポジティブなことだ。

 リーグ優勝が1回しかないクラブであることを見つめ直すキッカケになればいいと願っている。その上で肉づけをどうするかは、鹿島のように結果を出してからの話だ。優勝争いは難しくても、今季は最後まで自分たちのサッカーを徹底し、上位に食い込んでもらいたい。

 楽しみなのは横浜FMとFC東京だ。

 2025シーズンはJ2降格圏で喘いだ横浜FMだが、6月に就任したスティーブ・コリカ新監督のもとで、16歳の三井寺眞を開幕戦でスタメンで使うなど、新たな選手起用がハマっている。

指揮官が選手たちに対する固定観念を持っていないメリットを最大限に生かしていると言えるだろう。シーズンが進むにつれ、指揮官が理想とするスタメンが組めなくなった時に真価を問われるはずだ。

 FC東京は、6試合を終えて1敗。攻撃では縦へのスピード感がありながらも、ボールをつなぐバランスも備えている。選手層の厚みも優勝を狙えるだけのものがある。2025シーズンに就任した松橋力蔵監督のやりたいサッカーが、花開きつつあると見ていいだろう。

【水戸の大健闘】

 大健闘と言えるのが、水戸ホーリーホックだ。6試合終了時点で2勝3分1敗の勝点9で11位。粘り強く戦いながら勝点を積み重ねている。百年構想リーグでも内容のいいサッカーをしていたが、試合終盤に同点弾や勝ち越しゴールを決められることがあった。だが、補強したセンターバックの木本恭生によって守備陣が安定し、好調の波に乗った。ここからは木本がケガなどで戦線離脱をした時に、守備でどう粘り強く戦えるかがカギになってくるはずだ。

 いずれにしろ、Jリーグはまだ始まったばかり。各チームが長いシーズンでどう変容し、どんな成長を見せてくれるのかは楽しみなところだ。そのために各チームの戦いぶりや動向をしっかり追っていきたい。

>>後編「福田正博が挙げるJリーグ新シーズンの注目選手」へつづく

text by Ichiro Tsugane

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