7月15日、16日の二日間、横浜・ぴあアリーナMMにて、日向坂46「五期生LIVE」が開催される。2025年11月に行われた「新参者 二〇二五」以来となる五期生単独公演は、10人の現在地と、今後を占う試金石のステージとなるだろう。
今回は「五期生LIVE」に挑む10名全員が登場した『BRODY12月号』(2025年10月発売)より、全17,000字のドキュメンタリーを一部抜粋してお届け。「本当の自分を出すことができなかった」グループの未来を託された10名は“日向坂46”と出会い、何が変わったのか━━。
本当の私
日向坂46五期生10人に加入前のことを聞くと、「本当の自分を出すことができなかった」「自分のことが好きじゃなかった」といった言葉が返ってきた。自分に期待できなかった彼女たちは、日向坂46に出会い、こうなりたいと強い憧れを抱いた。
大田美月:子どもの頃から踊ることが好きで、中高6年間ダンス部に所属していたんです。自分たちで振付を考えることもありました。アイドルを観ることが好きで、時間ができたらライブなどに行って、推し活に励んでいたんです。
大野愛実:学校では毎日友達と楽しく過ごしていたんです。ただ、「勉強ができるね」「スポーツができるね」と言われると、「本当の自分はそうじゃない」と違和感を覚えました。本当は不器用なのに、形だけで評価されていると感じてしまって納得いかなくて。本当の自分をさらけ出したいのに、それができないジレンマを抱えていました。
蔵盛妃那乃:目立ちたくないタイプで、隅っこから元気な子たちを眺めていたんです。
片山紗希:私は自己嫌悪に陥るようなタイプじゃなくて、コンプレックスに感じていることがあれば、「改善していこう」と前向きに捉えることができるんです。高校時代はチアリーディング部に入って、「人前で踊るから常にかわいくいよう」と努力をしていました。
下田衣珠季:高校では、今と変わらず明るくて元気なタイプでした。ただ、中学生の時は人間関係に悩んでいた時期があって、自分のことが嫌いになった時期もありました。「このままじゃいけない」と思って、「自分を好きになろう」というマインドで生きることを決めたら、高校では楽しい生活を送れるようになったんです。「絶対にアイドルになるんだ」という覚悟にもつながって、ボイトレに通うようになりました。
坂井新奈:引っ込み思案で素の自分をさらけ出すことができなくて、理想の自分とかけ離れていた生活を送っていたんです。一歩踏み出す勇気がありませんでした。でも、物心ついた時から習っていたクラシックバレエでは、自分を出すことができたんです。
佐藤優羽:中学生の時は、教室の隅で絵を描いているようなタイプで。高校では、仲の良い友だち以外には人見知りを発揮していました。その仲の良い友だちのひとりとよく坂道グループの話をしていたんです。
高井俐香:自分の性格が好きじゃなくて、節目節目で「変わりたい」と一歩踏み出してみるんですけど、結局は変えることができなくて。いつまでもネガティブ思考のままでした。学校では目立たない存在で、仲のいい友だち一人と話しているような子だったんです。乗馬が好きで、馬と海岸や森林を駆け抜けている瞬間だけは、日常の嫌なことを忘れることができました。
松尾桜:いいことなのか悪いことなのかわからないけど、自分に興味がなかったんです。人からどう見られても何を言われても気にしない。ただ好きなことをしていたんです。アニメが好きだからアニメイトに行ったり、食べることが好きだから学校帰りに友だちとスイーツのビュッフェに行ったり、とにかく好きなことをして生きていました。
鶴崎仁香:中学3年生の時、人間関係に悩んで「学校に行きたくない」と思うくらい苦しさを感じていたんです。坂道グループの曲を聴いてる時間だけは幸せを感じることができました。「こんなにキラキラした世界があるんだ」と、正反対の世界にいたからこそ憧れを抱くようになったんです。その世界に足を踏み入れることができたら、まったく違う自分に出会えるんじゃないか。そんな微かな願いを胸に秘めていました。高校からは明るい自分になれたんですけど、日向坂46のオーディションがあると知った時、「その世界に入ることができるかもしれない」と思ったんです。
ある者は日向坂46に救われ、ある者は励まされ、ある者は憧れた。
大野愛実:3つの坂道グループの楽曲のなかに主人公が何かに悩み、壁にぶちあたる楽曲がそれぞれあると思うんです。その乗り越え方がグループによって違う印象があるんです。乃木坂46さんはそっと寄り添う、櫻坂46さんは負の感情を発散する、日向坂46は無我夢中で一緒に走る。私には日向坂46のガムシャラ感が合っていて、曲を聴きながら疾走しているうちに嫌なことを忘れて笑顔になれたんです。私も誰かと並走する存在になりたい、と思うようになりました。
片山紗希:日向坂46はポップな曲調からカッコいい曲、ゆったりした曲、いろんなジャンルがあって。自分の気分に合わせて聴くことができるんです。気分を上げたい時は『アザトカワイイ』、落ち着きたい時は『こんなに好きになっちゃっていいの?』みたいな。自分の生活のそばにいるけど、遠い存在でもありました。
大田美月:四期生さんをきっかけに日向坂46にハマったんです。近くで励ましてくれるような存在で、曲を聴いていると元気をもらうことができました。
下田衣珠季:中学1年生の頃、ハッピーオーラを放っている日向坂46を観て「こんな人たちになりたい」と思ったんです。日向坂46全体が好きなんですけど、高校3年の時に藤嶌果歩さんを見て「こんなに明るくてかわいい人になりたい」と憧れを抱きました。
蔵盛妃那乃:文化祭で日向坂46の曲が流れて、友だちと「この曲、いいよね」と話すほど、日向坂46が身近にあったんです。『キツネ』や『君しか勝たん』をプレイリストに入れて、『青春の馬』は何度もリピートしました。
鶴崎仁香:高校に入るくらいの時期に、日向坂46がシングルデビューすることを知って。『キュン』のリリース日が3月27日で私の誕生日だったことから、運命を感じたんです。『キュン』のMVに青春のキラキラを感じて、「憧れの世界がここにある」と思いました。センターの小坂菜緒さんに一目惚れしたんです。全国握手会のミニライブを観た時、「人の心ってこんなに動かされるんだ」と驚いて、「私も誰かの心を動かしたい」という気持ちにつながりました。特に好きな曲が『青春の馬』で、何百回もMVを観ています。受験やオーディションで挫折しそうなとき、「諦めなくていいんだ」とポジティブ思考になれたのは『青春の馬』の影響が大きいんです。
松尾桜:朝の情報番組で「期待の新星」として小坂さんが取り上げられていて、「とんでもなくかわいい方がいる!」と衝撃を受けたんです。日向坂46は明るいグループだけど、落ち着いた雰囲気の小坂さんの存在が私の心に刺さりました。小坂さんの所作や言葉を知れば知るほど深い方だなと感じていました。日向坂46は「頑張れ」と背中を押すだけじゃなく、手を引っ張って「一緒に頑張ろう」と励ましてくれるところが好きなんです。
坂井新奈:日向坂46は温かくて、元気をもらえる存在でした。誰かが落ち込んでいたら、誰かが手を差し伸べるところが好きなんです。日向坂46を知ったきっかけの『ドレミソラシド』は、聴いているだけでワクワクするし、歌詞を読み込むといろんな考え方ができる素敵な曲だと思います。
佐藤優羽:『ソンナコトナイヨ』を聴くと、懐かしいような切ないような気持ちになって、いつも泣きそうになるんです。特に加藤史帆さんと齊藤京子さんのパートが好きでした。歌声はもちろん好きですが、バラエティ番組や雑誌、お芝居……あらゆる場所で魅力を出すことができるところに憧れていました。
高井俐香:日向坂46のことが好きなんですけど、それと同時に苦しさも感じていました。明るくてキラキラしているみなさんは、根暗でネガティブな自分とは真逆でしたから。特に好きだった方が潮紗理菜さんと佐々木美玲さんで、現役メンバーだと藤嶌さんです。お三方ともとても明るくて、性格がまっすぐで、自分もそうなりたいと憧れるけど、そうはなれない苦しさがありました。いまはこんな私だけど、数年後には日向坂46によりふさわしい人間になれているんじゃないかという期待を胸に活動しています。
取材・文/大貫真之介
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