「ゾンビ回収婦」(群像5月号)で第175回芥川賞(日本文学振興会主催)に輝いた小砂川チトさん(36)が15日、東京・内幸町の帝国ホテルで行われた受賞会見に登場した。
カチッとしたグレイのジャケットに黒のロングスカートで登壇した小砂川さんは「ちょっと今、胸がいっぱいで…。
現実世界とVARの世界をないまぜにした作品内容に絡め、「今、夢…、悪夢の中にいるような感覚。会場も非現実的な感じがしています。心拍数も今、大変なことになっていると思います」と話した。
選考委員を代表して講評会見に臨んだ奥泉光さんは「虚構に対する小説家としての徹底した力強さが評価された」と小砂川作品の魅力を語ったが近未来に予想される虚構世界について「活字を読まれない方が増えているということも聞かれるけど、古いメディアになっていったとしても紙のメディアで読みたいというニーズ、人間はいなくならないと思っているので、のんびり構えてます。時代時代で取り扱うテーマというのは変化していくけど、ドンと構えていていいんじゃないかと思います」と答えた。
「作品内でゲームの世界を扱うにあたって、立ち上げの大変さはありましたが、その辺も楽しんで作り上げられた作品かなと思います」と笑顔を見せると、故郷の岩手に向け「デビュー以降、岩手や秋田を取材させていただいたり、書店さんにも自分で想像していた以上に温かく応援していただけて、本当に温かい言葉をいただくたびにうれしかったです。また、すぐ戻りたいと思います」と感謝。
作品について「タイトルにそもそもゾンビって言葉が入ってしまっていて、ふざけすぎって怒られないかな?って気持ちもありました。今回、こうして賞をいただけたことに関してはいいのかしら?って半信半疑のところもあります」と正直に話した後、「一応、純文学といいう形で書いてますけど、かっこよさと、どこかにかわいらしさと…。
大好きと公言してきた太宰治が獲れなかった芥川賞を受賞したことについては「太宰の墓前に報告を…」と笑顔で話していた。
「ゾンビ回収婦」はAIに仕事を奪われた30代の女性が逃げるように飛び込んだVRゲームの世界で、ゾンビの死体を回収しながら人生の意味や生きがいを探していく物語。
小砂川さんは岩手・盛岡市生まれ。2022年「家庭用安心坑夫」で第65回群像新人文学賞を受賞しデビュー。同作が第167回芥川賞候補、「猿の戴冠式」が第170回芥川賞の候補作に選ばれており今回で3度目のノミネートだった。

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