先天性の難病「レット症候群」の少女。支える家族の姿や、国内で始まった新薬の治験についても取材しました。
去年11月。愛知県に住む香乃さんに初めて会いました。
(大石邦彦アンカーマン)「こんにちは。お名前は?」
(香乃さん)「…」
(大石)「何歳ですか?」
(香乃さん)「…」
(母 美紗さん)「6歳です。香乃です」
愛知県に住む6歳の香乃さん。1万人に1人の確率で、主に女の子に発症する「レット症候群」という難病です。
(母 美紗さん)
「最初に気づいたのは2歳半くらい。自分の手をずっと触っている特徴的なしぐさが気になって」
2歳の頃は「ママ」「パパ」と呼んでくれた 今は…
レット症候群は生まれつきの遺伝子の変異で、脳などの神経細胞が正常に発達しない先天性の疾患です。
繰り返し手をもんだり、たたいたりする動きは特徴的な症状のひとつです。
(香乃さん 2歳ごろ)
「ママ~!」
(母 美紗さん)
「2歳くらいの頃はママとかパパとか呼んでくれていた。いろんな単語が2歳半くらいまでは出ていたんですけど、だんだんなくなっちゃって、今は…」
2歳の時にレット症候群と診断された7歳女の子
一方…
(大石)
「おとちゃん、おはようございます。あ、笑った」
岐阜市に住む、森おとさん(7)。
2歳の時にレット症候群と診断されました。その後歩けなくなり車椅子に乗っています。
会社員だった父親の康行さんは、いつも娘の近くにいるために仕事を辞め、福祉施設を作りました。さらに…
(大石)「ここ何坪ぐらい?」
(父 康行さん)「40坪くらい?」
(母 はるなさん)「45坪くらい」
(大石)「もっと広く感じる」
おとさんも暮らしやすい家を建てることにしたのです。
あれから8か月。7月に再び訪ねると…
(大石)
「ここですよ。前は更地だったので全然違うふうになった。ご無沙汰してます」
(父 康行さん)
「ご無沙汰してます」
(大石)
「いやあ、建ちましたね」
新居が完成していました。
娘が生活しやすいようバリアフリーの家を
(大石)
「うわーおしゃれ。入るといきなり洗面があって」
(母 はるなさん)
「おとがバギー(車いす)で入ったときに、そのまま手が洗えるように」
(大石)
「おとちゃんお久しぶりです。覚えてる?おうちはどうですか?」
小学3年生になったおとさんは、すこし大きくなったように見えます。
(大石)
「素敵ですね。こちらがキッチンで…」
(父 康行さん)
「こちらがリビング。あそこにテレビを置いて、寝転べたり、みんながくつろげるスペースを作ろうかなと」
車椅子でもスムーズに通れるよう、1階はバリアフリーに。
そして一番こだわった部分が…
脱衣所とトイレにも介助をしやすいようこだわりが
(大石)
「脱衣所が広い。普通、脱衣所に車椅子はこんなに余裕を持って入れない」
(母 はるなさん)
「お風呂に入った後、ここ(台)にゴロ―ンとします。前は『おと、出るよ~』って言われて受け取りに行っていたんですけれど、1人でもタオルを置いて、おとを寝かせてできるように広めに取りました」
浴室やトイレも、介助がしやすいよう、広くしました。
(はるなさん)
「おとが大きくなったときに、どんな生活になるんだろうと、前の家は不安になることも多かった。でもこれで、おとが大きくなったときでも、障害がちょっと重たくなったとしても、家族でサポートしながら住んでいける家になったので、今はちょっと肩の荷が降りたなと」
確立されていない治療法 期待が高まる“新薬”は…
神経が正常に発達しないことで、運動障害などさまざまな症状が起きるレット症候群。
国内に約1000人の患者(20歳以下の子ども)がいるとされていますが、治療法はいまだ確立されていません。
そんな中、症状の改善が期待できる、新薬の治験も始まっています。
レット症候群の研究や診察を行っている、名古屋大学病院小児科の城所博之医師に聞くと…
(名古屋大学病院小児科 城所博之医師)
「トロフィネチドという名前の薬で、1日2回経口投与することで、レット症候群の全般的な症状、あるいはコミュニケーションや行動・日常機能が回復するということが論文で報告されています。2023年には米国で2024年にはカナダで既に承認され、治療薬として発売されています」
日本での新薬承認はいつごろ?
(大石)
「日本では承認されるとしたら最速でいつごろ?」
(城所医師)
「1~2年後に承認されるといいなと思っている」
この薬を飲むことで神経細胞のつながりを改善し、症状の改善につながるということで、日本でも承認されれば初めての有効な治療薬となります。
(大石)
「この薬は、症状の緩和、改善に向けた薬だとは思うが、根本から治す薬っていうのは今後出てこない?」
(城所医師)
「(レット症候群は)MECP2という遺伝子に由来する病気なので、遺伝子治療に大きな期待を持たれている。その研究も今、着実に進んでいるので、今後、期待はできるんじゃないかと思っています」
弟の成長を見ると“複雑な思い”も…
愛知県に住む香乃さん(7)を8か月ぶりに訪ねると…
(母 美紗さん)
「運動機能がすごく上がったと実感している。階段の上り下りだったり、今まで取らなかった姿勢を取れるようになったかなと」
支援学校での訓練のためか、少しだけ運動能力の向上を感じることもあるといいますが、一方で弟 晴くん(4)の成長を見ると複雑な思いも。
(父 悟さん)
「息子が成長するのは嬉しい。
「早く日本でも…」遺伝子治療に期待
前は1人でできていた食事も、今は介助が必要な香乃さん。運動機能が低下する中、頼みの綱は研究中の遺伝子治療です。
(父 悟さん)
「かなり期待はある。本当に早く日本でも使えるようになってくれるといいと思う」
(母 美紗さん)
「どこまで期待して良いかわからないが、もっとコミュニケーションが取れるようになったら嬉しい」
レット症候群の子どもたち、そして支える家族の未来のためにも一日も早い治療法の確立が急がれます。

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