「うちにもある!」懐かしの木目調“昭和エアコン”が話題…「いまだにガンガン冷える」の声も専門家が指摘する“火災リスク”
「うちにもある!」懐かしの木目調“昭和エアコン”が話題…「いまだにガンガン冷える」の声も専門家が指摘する“火災リスク”

暑さが本格化し、全国的に熱中症警戒アラートが発表される中、Xに投稿された1枚の写真に反響が集まっている。そこには今でも現役で稼働しているという昔懐かしい木目調のエアコンが写っており、「うちにもあります」「懐かしい」といった反応が相次いだ。

 

当時のエアコンは冷却性能の高さや耐久性を評価する声も多い。しかし、長期間の使用に伴う経年劣化による事故リスクも指摘されている。投稿主に話を聞くとともに、そのリスクについて専門機関に取材した。

懐かしの木目調エアコン…SNSには愛用者から共感の声

「いまだにガンガンに冷えた風を出し続ける君には敬意を表するよ」

このコメントとともにXに投稿されたのは、木目調のデザインが特徴的な年季の入ったエアコンだ。一部がテープで補強されており、かなりの年数にわたって使用されている様子がうかがえる。

これに対して、「このタイプの冷房めっちゃ効きますよね!」「電気代は置いといて、昔のエアコンの(ほう)が持ちも断然いいですよね」など、昔のエアコンを愛用しているX民から共感の声が相次いだ。

画像を投稿したのは、京都で工務店「まるよし建築」を経営する吉田雄一朗氏だ。投稿した経緯について次のように話す。

「2年ほど前から工事で訪問しているお客様に『エアコンから少し水もれがするので見てほしい』と依頼を受け、メンテナンスにうかがいました」(吉田氏、以下同)

エアコンは二間続きの和室の片方の部屋に設置されており、まだ現役で稼働しているという。

「持ち主の方は夏の間だけ使用しているようで、すごく冷たい風が出ます。電気代に関しては、燃費という言い方で言うとあまりよくはないのかもしれません」

吉田氏は、京都という土地柄もあって古い家屋で仕事をすることが多く、こうした昭和に製造されたエアコンは何度か目にしたことがあるという。吉田氏の実家でも、同様のエアコンが最近まで稼働していたという。

「それほど大事に使っていたわけではありませんが、まったく普通に動いていました。

おそらく昔の家電は総じて強いのかもしれません」

夏に多いエアコン火災事故…「エアコンの使用機会の増加に伴うものと考えられます」

一方、エアコンの長期使用はリスクも伴う。

工業製品などに関する技術上の評価などを行なう「独立行政法人 製品評価技術基盤機構」(NITE)の担当者は、長期間使用したエアコンの事故リスクについて次のように説明する。

「長期間使用したエアコンは、内部の電気部品が経年劣化し、絶縁性能の低下や接触不良を起こすことがあります。その結果、異常発熱やショートが発生し、最悪の場合は発火や火災につながるおそれがあります。

また、電源コードや接続端子などの接続部では、酸化などによって電気抵抗が増して過熱が発生するため、長期間使用した機器は定期的な点検や適切な時期での更新が重要です」(NITE担当者、以下同)

これまで同機構には、「約25年間、使用したことで絶縁材料が劣化し、トラッキング現象が発生して発火に至った」などの事故事例が通知されているという。

事故全体は夏季に多く、345件のうち322件が火災事故だった。

「2021年度から2025年度にNITEに通知されたエアコンに関係する事故は345件ありました。発生傾向を月別に見ると、夏季に事故が多く、エアコンの使用機会の増加に伴うものと考えられます。特に、7~8月といった気温の高くなる時期の事故が目立っています。また、345件のうち322件と、事故の9割以上が火災事故になっています」

ただし、この集計には、エアコン自体から出火した事故だけでなく、外部の火災から室外機へ燃え移ったケースや、設置・作業上の問題など、製品そのものに起因しない事故も含まれている。

では長期間にわたって使用する場合、どのような点に注意すればいいのだろうか。

「消費者に長期使用時の注意喚起のための表示を義務付ける制度として、『長期使用製品安全表示制度』があります。経年劣化による事故件数が一定数発生しており、日常的な手入れと観察によって所有者が事故の兆候を見つけることができる製品が対象で、エアコンも対象になっています」

2009年に施行された「長期使用製品安全表示制度」とは

「長期使用製品安全表示制度」の対象製品には、製造・輸入事業者により設定された「設計上の標準使用期間」と、経年劣化についての注意喚起が表示されている。

「『設計上の標準使用期間』とは、製造年を始期として、使用環境・使用条件・使用頻度について標準的な数値を基礎に、科学的見地から行なわれる試験によって算定された数値に基づき、経年劣化により安全上の支障が生じるおそれが著しく少ないことを確認した時期(終期)までの期間です。

これは1つの目安にはなり『設計上の標準使用期間』を超えたときが、買い替えを検討する1つの機会になるかと思います」

経済産業省によれば、「長期使用製品安全表示制度」はエアコン以外に扇風機、換気扇、ブラウン管テレビ、全自動洗濯機、二槽式洗濯機が対象となっている。

しかし、2009年に施行された制度であるため、対象となるのは同年4月1日以降に製造・輸入された製品だ。制度施行前に製造されたエアコンには表示は付いておらず、長年使用している製品については使用者自身が状態を確認することが求められる。

「たとえば1980年代に製造されたエアコンは、制度が施行された2009年に至るまでにもう30年近く経っていることになりますので、経年劣化が進んでいる可能性が高いと考えられます。また省エネ性能という面でも、現在の製品とは差があると考えられます」

何十年も暑い夏を乗り切ってきたエアコンには、愛着を感じる人も多いだろう。しかし、どれほど丈夫な製品であっても、経年劣化による事故のリスクは避けられない。古いエアコンを使い続けている場合は、メーカーや専門業者に相談しながら点検を依頼し、必要に応じて買い替えを検討するのがよさそうだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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