報道各社の世論調査で、高市内閣の支持率が過去最低を記録した。特別国会では、高市早苗総理の「議会軽視」の姿勢が原因で国会が空転し、会期延長に至った。
崩れつつある高市総理の支持率…40%台も
朝日新聞が7月18、19日の両日に実施した全国世論調査によれば、高市内閣の支持率は53%と、内閣発足後初めて60%台を割り込んだ。
「高市内閣の強みは“高支持率”でしたが、それが崩れつつあります。このトレンドは、朝日だけではありません。同時期に世論調査を行った毎日新聞では不支持率が44%となり、支持率(41%)を逆転した。
テレビ朝日も49.2%、時事通信も49.0%と軒並み過去最低でした」(全国紙政治部記者)
特別国会では、高市事務所の公設第一秘書が関与したとされる「サナエトークン問題」やいわゆる「中傷動画問題」をめぐって野党から追及を受けると、「(秘書への聞き取りなどで)ほとんど睡眠もとっていません」「総理としての業務時間も確保できなくなってきている」などと不快感をあらわにした。
「そもそも、国会答弁は、総理として最も重要な業務のはずですが……」(同前)
6月22日の衆院予算委員会で高市総理は「秘書の陳述書をもって詳細な問いへの答弁とさせてほしい」と発言し、「議会軽視」との批判が高まった。
野党が集中審議や党首討論を求める中、与党は、自民党と維新の連立合意政策である定数削減法案と副首都法案の衆院審議入りを一時強行。反発する野党は足並みをそろえるかたちで、委員会を欠席した。
「野党の審議拒否により、国会が空転する中で、頭を悩ませたのは自民党でした。とくに参院では与党が過半数を割り込む状況が続いており、野党に一定の譲歩をして、協力してもらわない限りは国会が動かない。
しかし、高市総理は一貫して、集中審議などの開催に後ろ向きでした」(自民党関係者)
高市総理にどうにか出てきてもらうために、参院自民党幹部が水面下で駆けずり回っていたという。
「官邸サイドとしては、予算委員会や決算委員会で質問してほしくない野党議員がいる。質問が厳しく、厄介な人が質問しないように、石井準一参院幹事長らが野党人脈を駆使しながら水面下で調整していた。
総理へのダメージを減らし、集中審議や党首討論に出てきやすい環境をつくっていったのです」(同前)
「議会の仕組みを全然わかっていない」国民にも自民にもバレた
結局、7月6日に、予算委員会の集中審議と、党首討論の開催を条件に、国会が正常化に向かった。しかし、10日間の「空転」は重くのしかかり、会期が8日間延長された。前代未聞の混乱となった国会を、自民党のベテラン議員はこう振り返る。
「衆院で圧勝し、高市さんは自分が掲げた公約はなんでもできると思っていた節がある。でも、当たり前のことですが、そのためには、議会で法案を通さないといけない。
残念ながら、この150日間の国会で判明したのは、高市さんが議会の仕組みを全然わかってないということ。それが国民にも自民党にもバレてしまったのです」
高市総理が、維新との連立合意政策にこだわることも、その表れだという。
「副首都構想法案については、チームみらいが賛成に回る方針ですから、成立の可能性も出てきていますが、いまだ流動的です。この法案に限らず、維新との連立合意政策は問題が多すぎる。そもそも衆院議員定数削減などは、野党の反発が大きく、成立する見込みもなかった。
高市さんは、参院側がいまだに過半数を確保できていないことへの認識が甘すぎます。
一方、秋の内閣改造を念頭に、維新の馬場伸幸元代表は「入閣するなら官房長官や総務相がいい」などと発言しはじめた。
「ポストがほしいことを露骨に発言するなんてありえない。あれが維新の本性でしょう。維新は、公明党の離脱後に、連立パートナーとなった。
高市総理としては自身を総理にしてくれた維新の吉村洋文代表や、藤田文武共同代表に、義理を返したい。しかし、党内では、早く維新と手を切って、国民民主党と連立の組み換えをすべきという意見は根強い」(別のベテラン議員)
「大事なのは…高市さんが失敗と思って反省するかどうか」
総理肝入りの「消費減税」にも暗雲が立ち込める。高市総理は、秋の臨時国会で、来年4月から2年間に限った飲食料品の1%への減税に関する法案の提出を視野に入れる。
しかし、その土台となるはずだった飲食料品の消費税減税を議論する超党派の社会保障国民会議は、意見集約を断念する見通しになった。
「実は、自民党の税制調査会でも、税の議論を分かっている人間は、誰ひとり、高市総理の減税案に賛成しなかった。野党側も、国民会議で反対しているわけで、これは通らない。そもそも、2年間に限る減税は、混乱を招くだけです。
国民の生活支援なら、減税相当分を現金給付するほうがはるかに効率的でスピーディ。
国民世論の反発をうけながらも、改正皇室典範の成立にこぎつけ、残る国会日程で、副首都構想法案に取り組む高市総理。だが、物価高が続く中で、高市内閣が、消費減税をはじめ、生活に直結する議論を後回しているという印象を与えてしまっているとの見方もある。
「大事なのは今回の特別国会における出来事を、高市さんが失敗だと認識して、反省するかどうかです。自民党は、高市さんを支えようとの思いでやってきた。しかし、このままでは国会のたびに混乱を招き、支持率は低下するだろうし、来年の総裁選で再選はありえない。
参院自民党をはじめ、汗をかいた人たちへの感謝がなければ、求心力も低下します」(総理周辺)
高市総理は7月20日に自身のXで、「総理就任以来、0~3時間睡眠が常態化」していると明かした。ただ、いま必要なのは、「根性論の自己アピール」ではなく、自身の政権運営を省みることかもしれない。
取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班

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