〈約10年ぶり新作『こち亀』〉新・両津勘吉役の落合福嗣「両さんが30代ってことにビックリ! あ、同年代なんだ!」
〈約10年ぶり新作『こち亀』〉新・両津勘吉役の落合福嗣「両さんが30代ってことにビックリ! あ、同年代なんだ!」

2026年に連載開始50周年を迎えた『こちら葛飾区亀有公園前派出所』。それを記念した新作アニメ『新こちら葛飾区亀有公園前派出所』がキャストを一新し、2027年から放送される。

9月5日に発表されたばかりの新キャストから、主人公・両津勘吉を演じる声優落合福嗣に、役作りの舞台裏や『こち亀』への想い、50年経っても色あせないキャラクターの魅力を聞いた。

初めて買ってもらった漫画は『こち亀』だった

──いつ頃から『こち亀』を読まれていたんですか?

落合福嗣(以下同) 小学校低学年ぐらいからですね。漫画の読み方が分かるようになってから、僕が最初に単行本で読んだ漫画が『こち亀』で、たぶん初めての「ジャンプ作品」でもあったと思います。『ジャンプ』を買う時は「『こち亀』が載ってるから」というのが、僕の中ではベースでした。

『こち亀』は連載でも単行本でもどちらも読んでいました。子どもだったので『ジャンプ』を毎週買えていたわけではなかったのですが、大きい誌面で見るのと、単行本で『こち亀』だけが凝縮されているものを読むのと、両方それぞれの良さを楽しめましたね。

──印象に残っているエピソードはありますか?

やっぱり「お化け煙突」(注:コミックス第59巻収録の「おばけ煙突が消えた日の巻」。両津の少年時代の思い出の風景として描かれ、シリーズ屈指の感動作として知られる)がすごい好きで。

子どもの頃と、中学生・高校生になってから、そして自分に子どもができてからでは、同じ話のはずなのに伝わってくるものが毎回違うんです。

これは「お化け煙突」に限った話ではなくて、『こち亀』って何度読んでも面白さのポイントが違う。何度も楽しめる作品だなと思います。

それと自分が小さい頃、葛飾区亀有という場所は実在しないと思っていたんですよ。漫画の中だけの世界だって。

だから、実在する場所だと知った時の衝撃はすごかったですね。「じゃあ両さんもいるんじゃないか」って思ったくらいで。

「連絡が来て、めちゃくちゃ嬉しかった」

──今回の役が決まった時の、率直な感想を伺えますか?

決まったって連絡が来て、めちゃくちゃ嬉しかったですね。小さい頃から読んでいる作品なので、本当に嬉しかったです。

──新しく『こち亀』の新作アニメが作られるということ自体に、どのように感じましたか?

また動く両さんや、いろんなキャラクターが動いているのを見られる。それだけで、僕はすごく嬉しかったです。演じていても、とても懐かしい気持ちになりますね。

「あ、同年代なんだ!」と気づいた瞬間。役作りと収録の舞台裏

──どのように役作りをされてきましたか?

まず、以前のアニメをリスペクトしつつ、引っ張られるキャラ作りはしないようにしました。自分がこの漫画を読んできて、脳内で流れている「両さんってこんな感じ」というのを前面に押し出そうと。

そしてオーディションの原稿には年齢設定が書いてあって、両さんって30代なんですよね。それにはびっくりしました。僕は今38歳で、8月で39歳になる。

すごく近いんですよ。

最初は「おじさんとしてやらなきゃ」と身構えていたんですけど、「あ、同年代なんだ!」と思った瞬間、両さんの方から近くに来てくれた感じがしたんです。それはすごくありがたかったですね。

小さい頃に読んでいた脳内の両さんを、今の自分というフィルターを通して演じる。あとはとにかくアグレッシブさを大事にしようと。

両さんって喜怒哀楽がすごく激しいので、ネガティブになる時も突き抜けている。何が来ても負けないこと、というのを根底に置いてお芝居しました。

──ご自身と共通点みたいなものを感じるところはありますか?

楽しいことがあると、もうガーッとのめり込むところですかね。両さんに比べたら全然足元にも及ばないんですけど、何かに熱中しやすい、ハマりやすいところは共通点だと思います。

両さんってサブカルにもすごく強いじゃないですか。台本を読むたびに「これ詳しいなぁ、すごいなぁ」って、自分でも感心してます。

──落合さんの「多趣味多芸」なところ、両さんを見て培われた部分もあるんでしょうか。

「もっと詳しくないと」「専門的じゃないとダメ」って言われるかもしれないけど、いろいろな事に興味を持って足を踏み入れていいんだというのは、やっぱり両さんを見て学びましたね。

いいこともするし、悪いこともして、ちゃんと叱られる。「悪いことってしちゃいけないんだな」というのも、そうやって学びました。部長がブルドーザーで突っ込んできたりしますし(笑)。

──新作アニメは原作を現代にアレンジしているところもあって、今の『こち亀』だと感じました。

スマホを使ってたりしますよね。でも、今の時代だと普通は言い換えられてしまうような原作の言葉を、そのまま使っているところもあって、それが嬉しいし素晴らしいと思いました。

でも、今のしゃべり言葉では分かりづらい箇所もあったので、セリフとしてどう違和感なく演じるか、という課題はありました。

──実際に収録されてみて、現場の雰囲気はいかがでしたか?

楽しかったですけど、僕、毎回テストが終わるたびに汗だくでヒーヒー言ってるので、周りから「大丈夫?」って心配されるくらいでした(笑)。

アフレコ後飲み会があるのは最近の現場では珍しいのかなと思いつつ、懐かしいなって。昔のアフレコ現場ってこんな感じだったよなって。

現場というか、作品としてのグルーヴみたいなものがありましたね。

懐かしい空気感のある現場でした。

「特殊刑事が出てくる回を全部やりたい」

──アニメ化してほしい、演じてみたいエピソードってありますか?

いや、ほぼ全部っすね(笑)。全部面白いんですもん。

でも、強いて挙げるなら、僕が大好きな「お化け煙突」の回。それとギャグなら「特殊刑事」ですね(注:原作に登場する、常識外れのエリート刑事集団「特殊刑事課」の通称。「こち亀」のギャグ回を代表する存在として人気が高い)。特殊刑事が出る回は全部やりたいです。

──これから『こち亀』に入っていくのに、おすすめのルートはありますか?

どんなルートでも、一番入りやすい形から入ってほしいです。今回の新しい『こち亀』でも、旧アニメでも、漫画も第1巻からでも途中の巻からでも全然いい。“ジャケ買い”みたいに「この表紙いいな」で読んでもらってもいいと思います。

そして、ぜひ葛飾区の亀有にも遊びに行ってほしいです。僕もこの役が決まる前にご飯を食べに行ったことがあるんですけど、本当に両さんがいるんですよ。

中川とかもいるんですよね。街の方々にこんなに愛されている作品なんだな、というのを感じられますよ。僕自身も、今回の新アニメの情報解禁後にまた足を運びたいなと思っています。

──最後に、今だからこそ『こち亀』から感じてもらいたいことを伺いたいです。

やっぱりアグレッシブさじゃないですかね。あのポジティブな気持ち。

悪いことをしたらちゃんと叱られるんですけど、それでも挑戦すること、一歩踏み出すことがすごく大事で。「立ち止まってるだけじゃダメなんだな」というのを、両さんを見てすごく教えてもらえる気がするんです。

皆さんが「両さんのこういうところ」「中川のこういうところ」「麗子のこういうところ」って、何か一つ、小さな宝物みたいなものを感じて持っていただけたら、すごく幸せなことだと思います。

取材・文/照沼健太 撮影/野﨑慧嗣

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