〈推しと目が合ったカラコンを保存〉SNSで賛否“ガチオタ”は「プロポーズされたバラを保存するのと同じ」と共感…メーカーは「保存は推奨してません」
〈推しと目が合ったカラコンを保存〉SNSで賛否“ガチオタ”は「プロポーズされたバラを保存するのと同じ」と共感…メーカーは「保存は推奨してません」

好きな芸能人やキャラクターなど、自分にとっての「推し」を応援する「推し活」。ライブやイベントに足を運ぶだけでなく、グッズを集めたり、記念日を祝ったりと、その楽しみ方は人それぞれだ。

そんななか、推し活の究極型ともいえる行動が話題となっている。「推しと目が合った日に着けていたカラコン(カラーコンタクトレンズ)」を捨てずに保存するという、思い出の残し方だ。

 

この一風変わった思い出の残し方を、長年推し活を続けてきた“ガチオタ”たちはどう見るのか。また、本来は目に装着するカラコンを、使用後も保管することに問題はないのか。ファンとメーカー、それぞれに話を聞いた。

「カラコン保存」に賛否…オタク歴約25年のベテランは「気持ちはわかります」

〈推しを見たカラコン普通に永久保存しよ〉
〈(推しを見たカラコンやりたいねんけどってどうやって保存したらいいん〉
〈推しと目が合ったカラコン保存するのは意味がわからないんだけど〉

「推しと目が合った日に着けていたカラコンを保存する」という推し活をめぐり、Xには賛否の声があがっている。これを“ガチオタ”はどう見るのか。

四半世紀にかけて女性アイドルを追い続ける、かちょすさん(54)は、かつてAKB48峯岸みなみさんや大場美奈さんを推し、選抜総選挙では投票券を求めて大量のCDを購入するなど、熱心な推し活を続けてきた。これまでに費やした金額は数千万円にのぼり、アイドルファンの間では、そのメンバーを推すファンの代表格を意味する「TO(トップ・オタク)」として知られる存在だ。

熱心な推し活を続けてきたかちょすさんだが、意外にもグッズなどの「物」を集めることには、あまり興味がないという。

「僕は基本的に物にはあまり固執しないタイプなんです。僕にとって価値があるのは、何かを手元に残すことよりも、本人と直接会って、その時間を過ごすことなので、メンバーと直接話したり、触れ合ったりするためにお金を使いたいと思っています。

最近は地下アイドルを中心に応援しているのですが、ライブの動画を撮影したり、推しと一緒にチェキを撮ったりする機会もあるので、それが思い出として残ります」

形に残る物よりも、推しと直接過ごす時間に価値を置くかちょすさん。

推しと目が合った日に着けていたカラコンを保存するという発想はなかったというが、その気持ちには理解を示す。

「僕自身はカラコンを着けないので、保存する発想はなかったですし、今回初めて聞きました。でも、気持ちはわかります。

僕も昔はメジャーなアイドルを追いかけていて、今のように直接会ったり、一緒に写真を撮ったりできる距離感ではありませんでした。そうなると、ライブで推しと目が合うこと自体が貴重ですし、その瞬間を写真に残せるわけでもないので、その日に身に着けていたカラコンが特別なものになって、残しておきたくなるのかなと思います」(かちょすさん)

女性のガチオタも共感…「その日の出来事と結びついたものを残しておきたい」

こうした感覚は、女性の“ガチオタ”にとっても、共感できるものだという。「職業ヲタク」として活動するまゆぴぴさんは、中学1年生の頃から女性アイドルの現場に通い続けてきた。自身も推しにまつわる品々を大切に保管しており、カラコンを保存する行為にも重なる部分があると話す。

「推し活をしていると、普通なら気にしないようなことでも、推しと関わった瞬間だけ特別に感じることがあるんです。私も昔、推しと握手した日は『どこまで手を洗わずにいられるかな』って思っていました。なるべく汚いものを触らないようにして、握手した感覚をできるだけ長く残しておきたかったんです。

物でいうと、ライブで飛んでくる銀テープも、推し活をしていない人からしたら、ただの銀色のテープじゃないですか。でもファンにとっては、その会場でしか手に入らないですし、お金を払っても買えないものなんです。『あの日、あの場所にいた』という特別感があるから、持ち帰って保存するんですよね。

私は、会場でもらったチラシや、遠征したときの飛行機や新幹線のチケットも取っています。カラコンとは少し違いますけど、その日の出来事と結びついたものを残しておきたいという意味では、近い感覚なのかなと思います」

さらに、物そのものではなく、そこに結びついた出来事に価値を感じることは、推し活に限った話ではないと続ける。

「プロポーズでもらったバラをプリザーブドフラワーにして残すことってあるじゃないですか。同じバラはまた買えても、そのときにもらった花だから残しておきたい気持ちになりますよね。子どもの抜けた歯や、初めて履いた靴を取っておく人もいますし、使い道がなくても捨てられないものってあると思うんです。そういうものに置き換えて考えると、カラコンを残すこともそんなに不思議ではない気がします」(まゆぴぴさん)

大手メーカーは「使用済みのカラーコンタクトレンズを思い出として保存することは推奨しておりません」

ただ、ファンにとっては大切な思い出の品でも、カラコンは本来、目に直接装着するものだ。70年以上にわたりコンタクトレンズを手がけてきた国内大手メーカー「メニコン」に問い合わせたところ、思い出としての保存は「想定外の使われ方」だという。

「コンタクトレンズは、眼に装用することを目的とした高度管理医療機器であり、思い出の品として長期間保存することを想定して設計されたものではありません。装用後のレンズには、涙に含まれる成分や汚れ、微生物などが付着している可能性があります。特に、使用済みレンズを水や液体に入れたまま保管すると、保管状態によっては微生物が増殖するおそれがあります。

また、乾燥させた場合も、レンズの変形や劣化が生じる可能性があります。このため、弊社としては、使用済みのカラーコンタクトレンズを思い出として保存することは推奨しておりません。

思い出として残したい場合は、使用済みレンズそのものではなく、未使用のレンズパッケージや写真、装用した日付・出来事の記録など、別の方法で残すことをご検討いただくのが望ましいと考えます」

「尊い一瞬」を形に残しておきたいというファンの思いが、本来は使用後に廃棄するはずのカラコンにまで特別な価値を与え始めている。推し活が思いもよらない形に広がるなか、その楽しみ方にも、本来の用途を忘れない視点は必要になりそうだ。

取材・文/鮫島りん 集英社オンライン編集部ニュース班

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